このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
市場インサイト
概況
市場はイラン・イスラエル停戦報道を受けリスク資産は反発、エネルギー相場は急落、債券と金は底堅い。米ハイテク主導の上昇が続く一方、原油急落でインフレ懸念が後退しドル高が一服。欧州は政治不透明、日本は円安継続の中で株高。資金は選別的にテック・コモディティ関連へ、同時に安全資産への分散が継続。レッド縮小。
全体ムード
中東停戦観測で地政学リスクが低減。S&P500前日比+1.0%、ナスダック+0.9%と米株反発。原油はBrent70.65ドルへ急落、リスク指標のVIX低下。ドルは主要通貨に対して弱含み、円は146円台で推移。債券利回りは米4.40%、独2.52%、日1.41%と高止まりながらスプレッド縮小。
エクイティ
- 米国: S&P500 +1.0%、ハイテク・半導体主導の買い戻し。エネルギー株は原油急落で下落。
- 日本: 日経225は寄り付き38,779→38,949円、円安とAI関連期待で続伸。
- 欧州: STOXX600 536.6(▲0.01%)、防衛株軟調もテック堅調で下げ渋り。
- 中国・香港: 上海総合は小幅高、景気対策期待と不動産懸念の綱引き。ハンセン指数はテック支援策で続伸。
- 資金フロー:AI・軍需・EV素材・銅関連へ資金集中、β系ETFからテーマETFへの切替進行。
債券債券
国・地域 | 10年債利回り | コメント |
---|---|---|
米国 | 4.40% | 停戦安心感でリスクオンだが早期利下げ観測後退 |
ドイツ | 2.52% | ECBハト派スタンス維持、利回り小幅低下余地 |
日本 | 1.41% | コアCPI3%台で追加利上げ思惑強まる |
安全資産需要は金・短期国債へ分散、米債への一極集中は後退。
為替
- ドル/円: 146.15付近、米金利高と日米実質金利差で円売り残存。
- ユーロ/ドル: 1.1548、停戦でリスクオンのユーロ買い優勢。
- ドル/人民元(CNH): 7.25近辺、追加景気対策観測で元底堅さ継続。
総じてドル高一服、資源国通貨・ユーロが反発、円のみ軟調。
コモディティ
商品 | 価格 | 前日比 | ドライバー |
---|---|---|---|
Brent原油 | 70.65 $/bbl | ▲1.2% | 停戦報道でリスクプレミアム剥落 |
WTI原油 | 68.51 $/bbl | ▲7.2% | イラン報復限定で需給懸念後退 |
金 | 3,354 $/oz | ▲0.4% | ドル高圧力も地政学不安支え |
銅 (LME3M) | 9,667 $/t | +0.35% | 在庫低水準とAI関連需要 |
天然ガス (NYMEX) | 3.896 $/MMBtu | +0.05% | 夏場需要期待と在庫統計 |
クリプト
- ビットコイン: 106,000 $付近、24時間+0.9%。停戦と米規制緩和期待でファンド流入続く。
- イーサリアム: 2,244 $、短期反発も上値2,380 $に抵抗。
機関投資家の資金流入が継続し、ボラティリティは株式並みに低下。
マクロイベント焦点
- 6/24 米・ユーロ圏 PMI速報値:製造業・サービス業の景況感転換点を確認
- 6/25 米 新築住宅販売(5月):金利高影響を測定
- 6/26 米 耐久財受注(5月):企業設備投資の方向性
- 6/27 米 PCEデフレーター(5月):FRBの物価目標指標、コア減速なら利下げ観測再燃
- 6/27 ECBフォーラム(シントラ):主要中銀総裁パネルで政策手掛かり
インサイトまとめ
- テック+銅+AI関連の選好:停戦でリスクオン回帰、生成AIとEV素材銘柄へオーバーウェイトが有効。
- 債券デュレーションの分散:米10年4.4%水準は実質利回り確保。独・日とのスプレッド縮小を利用しクロス債投資を推奨。
- 原油安を活用したヘッジ縮小:Brent70ドル台ではエネルギー株の利益確定を検討し、セクターローテーションを加速。
- FX戦略:円は146円前後でボラティリティ上昇余地限定。介入警戒は145円割れまで低下。ユーロ1.15台維持なら押し目買い。
- クリプト分散:BTC・ETHをポートフォリオの5%以内で保有し、ボラ低下メリットとヘッジ機能を享受。
市場インサイトのインフォグラフィック
2025年6月24日:停戦報道が市場心理を改善
主要指標ダッシュボード
中東の停戦観測を受け、地政学リスクが後退。リスク資産が買われる一方、原油価格は急落し、市場全体のムードが変化しています。以下の主要指標は、現在の市場センチメントを象徴しています。
S&P 500
5,530.0
+1.0%
Brent 原油
$70.65
-1.2%
ドル/円
146.15
ドル高一服
株式市場:ハイテク主導の選別物色
世界的に株式市場は反発しましたが、その中身は大きく異なります。米国ではハイテク・半導体関連が相場を牽引する一方、原油価格の急落を受けてエネルギーセクターは下落。AIやEVといったテーマへの資金集中が鮮明になっています。
金利・為替:ドル高一服と円の軟調
インフレ懸念の後退から米国の長期金利の上昇は一服しましたが、依然として高い水準を維持しています。日欧との金利差を背景に為替市場ではドル高の流れが弱まり、リスクオンムードでユーロが買われる一方、円は軟調な展開が続いています。
ユーロ/ドル
1.1548 ▲
ドル/円
146.15 →
コモディティ市場:原油急落と銅の上昇
コモディティ市場では価格の二極化が鮮明です。地政学リスクのプレミアムが剥落した原油は急落。一方で、AIやEV関連需要を背景に銅価格は上昇し、金も安全資産需要に支えられ底堅く推移しています。
商品 | 価格 | 前日比 | ドライバー |
---|---|---|---|
WTI 原油 | $68.51 | -7.2% | 需給懸念の後退 |
金 | $3,354 | -0.4% | 地政学不安とドル高圧力の綱引き |
銅 | $9,667 | +0.35% | AI・EV関連需要 |
今後の焦点:重要経済指標が目白押し
市場の関心は地政学リスクから、再び金融政策の方向性を占う経済指標へと移ります。特に週末にかけて発表される米国のインフレ指標(PCEデフレーター)は、FRBの利下げ期待に影響を与えるため最大の注目点です。
6/24:米・ユーロ圏 PMI速報値
製造業・サービス業の景況感を確認
6/26:米 耐久財受注
企業の設備投資の方向性を示す
6/27:米 PCEデフレーター
FRBが重視する物価指標、利下げ観測を左右