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2025年6月21日 市場インサイト|米金利低下でドル全面安、ハイテク株と金に資金集中

2025年6月21日の市場は、中東情勢緊張と米関税インフレ懸念が交錯し株式はまちまち。米長期金利低下でドル選好続く一方、原油・銅など実物資産と金が底堅い。資金は大型テック、資源株、防衛的銘柄へ集中。市場分析

このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。

市場インサイト

全体ムード

中東リスクと米国関税の物価押上げ懸念が交錯し、株式はまちまち、安全資産とコモディティが底堅い展開。米10年債利回りは4.37%へ低下しつつも、日独金利は上昇基調を維持し金利格差が拡大。原油・金属市況は供給警戒で高値圏を回遊し、ビットコインは10万ドル割れを試す軟調推移。市場は「インフレ再燃 vs. 景気減速」という二律背反の中でキャッシュと大型テック・資源株へ選別的に資金を移動する局面である。

エクイティ

  • 米国: S&P500 5,980.87(-0.22%)で続落、決算プレミアム剥落と中東情勢警戒が重石。ナスダック 19,447.41(-0.51%)は大型AI関連に利益確定売りが波及。ダウ 42,206.82(+0.08%)はディフェンシブ高で下支え。
  • 日本: 日経225 38,403.23(-0.22%)。長期金利上昇と円安一服が重荷。
  • アジア新興: ハンセン 23,530.48(+1.26%)が金融主導で反発、上海総合は政策期待薄で3,359.90(-0.07%)。
  • 欧州: STOXX600 536.53(+0.13%)。鉱業と公益に買い、航空セクターは原油高で軟調。
  • 資金フローは「米メガテック+資源株」へ偏重し、防衛的セクターにも分散が続く。

債券

国・銘柄10年利回り日中騰落コメント
米国4.374%-2.2bp指標発表前のリスク回避買い
ドイツ2.52%+0.5bp政治不透明感で上値重い
日本1.465%+1.5bp財務省の超長期削減案で需給逼迫懸念

実質金利は米独で低下し、安全資産志向が強まる一方で日本は独歩高。

為替

  • ドル/円 146.05(+0.45%):日米金利差拡大を映す強含み。
  • ユーロ/ドル 1.1526(+0.22%):欧州インフレ鈍化で買戻し優勢。
  • ドル/人民元 7.178:当局の介入思惑でレンジ推移。

ドル高が進む中でもユーロは持ち直し、円のみ一段安。

コモディティ

コモディティ現在値前日比背景ドライバー
WTI原油73.91$/bbl+0.10%中東緊張と米シェール増産鈍化
ブレント原油77.23$/bbl+0.07%ホルムズ海峡リスク顕在化
金先物3,369.9$/oz-0.7%利回り低下で底堅さ維持
銀先物35.96$/oz-2.6%工業需要懸念で調整
銅先物4.83$/lb-0.4%在庫逼迫もLME制限で高値警戒
天然ガス(HH)3.896$/mmbtu-2.3%高在庫と穏やかな気温予報

クリプト

  • ビットコイン 103,911ドル(-1.98%):オプション大量満期を前に投機ポジション整理。
  • イーサリアム 2,441.93ドル(-4.34%):ETF流入鈍化とボラ上昇で下押し。

リスク許容度低下が暗号資産全般のレバレッジ解消を促進。

マクロイベント焦点

  • 6/24 米・6月コンファレンスボード消費者信頼感:関税影響で低調予想。
  • 6/24 米・欧州 S&Pグローバル6月PMI速報:製造業の在庫調整度合いに注目。
  • 6/25 米5月耐久財受注 & 1Q GDP確定値:企業設備投資の粘りがカギ。
  • 6/26 米5月PCEデフレーター:インフレ再加速か確認ポイント。
  • 6/26 ドイツ6月Ifo景況感:欧州景気底入れの有無を示唆。

インサイトまとめ

  • 原油・銅を中心とする実物資産のリスクプレミアム拡大が続く一方、米長期債と金はディフェンシブ需要が強く、バリュー・コモディティ・クオリティTechの三極分散が有効。
  • 為替では円キャリー復活に伴い、外貨建て資産オーバーウェイト継続が妥当。
  • クリプトはイベントドリブンでボラ高止まり、短期トレーディング限定が無難。
  • 直近イベントでPCEが再加速する場合、長期債利回りの反騰→グロース株調整の連鎖を警戒。逆に沈静化すれば、米大型テックが再度牽引するシナリオ。
  • 総じて、「インフレ警戒下のバリュー防御+テーマ成長の二刀流」が当面の最適ポートフォリオ戦略である。

市場インサイトのインフォグラフィック

分析日: 2025/06/21

市場概況

現在の市場は「インフレ再燃」と「景気減速」という相反する懸念が交錯する複雑な局面です。中東リスクや関税問題が不透明感を増す中、資金は安全資産と一部の成長分野へ選別的に向かっています。

全体ムード

二律背反の市場環境

インフレと景気減速の綱引きの中で、キャッシュ、大型テック、資源株へ資金が移動。

S&P 500

5,980.87

-0.22%

ドル/円

146.05

+0.45%

WTI原油

$73.91

+0.10%

株式市場

世界の株式市場は地域ごとに異なる動きを見せました。米国では利益確定売りが出た一方、アジアでは金融主導で反発するなど、まだら模様の展開です。資金は引き続き米国の大型テック株と資源株に偏重しています。

米国

S&P500とナスダックは、決算期待の剥落と中東情勢への警戒から続落。大型AI関連には利益確定売りが波及。

日本・欧州

日本は長期金利の上昇が重荷となり軟調。欧州は鉱業・公益セクターが買われ小幅高となりました。

アジア新興国

香港ハンセンは金融株が主導し反発。一方、中国上海総合は政策期待が薄く、ほぼ横ばいで引けました。

債券 & 為替市場

債券市場では、リスク回避の動きから米国債が買われ利回りが低下しました。為替市場では、日米金利差を背景に円安が進行する一方、ユーロは対ドルで持ち直すなど、通貨ごとに方向性が分かれています。

主要10年債利回り

主要為替レート

ドル / 円

146.05 (+0.45%)

日米金利差の拡大を反映し強含み。

ユーロ / ドル

1.1526 (+0.22%)

欧州インフレ鈍化観測で買い戻し優勢。

ドル / 人民元

7.178

当局の介入思惑からレンジ推移。

コモディティ & クリプト市場

コモディティは供給サイドへの警戒感から原油が高値圏で推移。一方、暗号資産はオプション満期を前にポジション整理の売りが優勢となり、リスク許容度の低下が鮮明になりました。

コモディティ価格変動 (前日比)

主要暗号資産

ビットコイン (BTC)

$103,911

-1.98%

オプション満期を前に投機ポジション整理売り。

イーサリアム (ETH)

$2,441.93

-4.34%

ETFへの資金流入鈍化とボラティリティ上昇で下押し。

インサイト & 今後の焦点

今後の市場は、重要経済指標、特に米国のPCEデフレーターの結果に大きく左右される見込みです。「インフレ警戒下のバリュー防御」と「テーマ成長」の二刀流戦略が引き続き有効と考えられます。

マクロイベント焦点(今後3~4営業日)

  1. 6/24: 消費者信頼感 & PMI

    米・欧州の景況感を確認

    米消費者信頼感と米・欧州PMI速報値に注目。関税影響と製造業の在庫調整度合いが焦点。

  2. 6/25: 米国GDP & 耐久財受注

    企業投資の勢いを測定

    第1四半期GDP確定値と5月耐久財受注で、米国経済のファンダメンタルズを再評価。

  3. 6/26: 米国PCE & 独Ifo (最重要)

    インフレの行方を占う

    FRBが重視するPCEデフレーターが最大の注目材料。インフレ再加速なら市場は調整、沈静化ならグロース株主導の展開も。

ポートフォリオ戦略

🛡️

三極分散

バリュー・コモディティ・クオリティTechへの分散が有効。

💹

為替戦略

円キャリー復活。外貨建て資産のオーバーウェイトを継続。

⚡️

クリプト戦略

ボラティリティ高止まり。短期トレーディングに限定するのが無難。

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