このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
市場インサイト全体ムード
米独立記念日前の短縮取引週はハイテク主導の米株が連日で最高値を更新し、S&P500 は 6,279.36(週 +1.2%)で終了。ドル指数は 97 前後で下げ渋り、長期金利は米国↑・独↓・日↑と方向感が分岐。資源インフレ懸念が後退する一方で金・ビットコインなど実物・デジタル資産にも資金が分散し、選別的リスクオンが続く週となった。
エクイティ
指数 | 6/30 終値 | 7/3 終値 | 週次変化 | 背景 |
---|---|---|---|---|
S&P500 | 6,204.95 | 6,279.36 | +1.2% | 生成AI・半導体買いが牽引 |
ナスダック総合 | 20,369.73 | 20,601.10 | +1.1% | エヌビディア時価総額4兆ドル接近 |
ダウ平均 | 44,094.77 | 44,828.53 | +1.7% | 防衛・金融に循環物色 |
日経225 | 40,487.39 | 39,785.90 | -1.7% | 円安鈍化で利益確定売り優勢 |
ストックス欧州600 | 541.37 | 543.76 | +0.4% | 防衛株高・エネルギーまちまち |
資金フロー
米国では AI 半導体・サイバーセキュリティへ資金集中。一方、防衛需要期待で欧州ディフェンス株がしっかり。日本株は円安効果を織り込み一服。
債券
国 | 10年利回り 6/30 | 10年利回り 7/3 | 方向 | 解説 |
---|---|---|---|---|
米国 | 4.23% | 4.35% | ↑ | 強い雇用統計で利下げ観測後退 |
ドイツ | 2.60% | 2.58% | ↓ | 欧州インフレ鈍化期待 |
日本 | 1.43% | 1.45% | ↑ | BOJ 減額買入観測で金利上昇 |
安全資産選好は限定的で、米債売り・独債買いが交錯。
為替
- ドル指数:96.88 → 97.18(小反発)
- USD/JPY:144.04 → 144.93(円安進行)
- EUR/USD:1.18 台前半で揉み合い(週変化ほぼなし)
米金利上昇でドル売り一服も、リスク選好が重なり方向感は限定的。
コモディティ
商品 | 6/30 終値 | 7/3 終値 | 週次変化 | ドライバー |
---|---|---|---|---|
WTI 原油 ($/bbl) | 65.11 | 67.00 | +2.9% | 在庫減少・OPEC+ 監視強化 |
ブレント原油 | 67.61 | 68.80 | +1.8% | 中東停戦維持も供給懸念残る |
金 ($/oz) | 3,307.70 | 3,342.90 | +1.1% | ドル安余韻とヘッジ需要 |
銅 ($/lb) | 5.0825 | 5.1415 | +1.2% | 中国刺激策期待で反発 |
クリプト
- ビットコイン:107,171 → 109,600(週 +2.3%)
- イーサリアム:2,486 → 2,591(週 +4.2%)
株高とドル安余韻でリスク資産にキャピタル回帰。主要アルトも連れ高。
マクロイベント焦点(~7/08)
- 7/05 OPEC+ JMMC:追加減産協議の行方
- 7/08 米 ISM 非製造業 PMI:サービス景況感次第で金利観測変動
- 7/08 中国 PPI・CPI:ディスインフレ継続か、資源相場に影響
- 7/08-09 FOMC 議事要旨:9 月利下げ期待の温度感を確認
インサイトまとめ
- 米株最高値でもバリュエーションは金利上昇で頭打ち。大型テック偏重リスクに留意。
- 債券は米国売り・欧州買いのクロスコア戦略で金利差逆張りが有効。
- コモディティは原油上振れ限定、金・銅の押し目拾いを中心に実物ヘッジを厚く。
- 為替は円ショート過熱警戒。144-145 円台では戻り売り、ドル指数は 97 台後半で失速しやすい。
- クリプトの上値は米規制議論次第。分散ポートフォリオで 2–3% 程度の保有比率が妥当。
市場インサイトのインフォグラフィック
分析日: 2025/06/30 – 07/03
今週の全体ムード
米独立記念日前の短縮取引週は、ハイテク主導の米株が連日最高値を更新。長期金利は主要国で方向感が分かれ、資金は実物・デジタル資産にも分散。選別的なリスクオンムードが続く週となりました。
米ハイテク株が最高値
生成AI・半導体セクターが市場を牽引し、S&P500、ナスダックが連日で最高値を更新しました。
長期金利の分岐
米国の金利が上昇する一方、ドイツは低下、日本は上昇と、各国の金融政策見通しを反映し方向が分かれました。
選別的リスクオン
株式市場の中でも物色対象は限定的。金やビットコインといった代替資産へも資金が向かいました。
主要株価指数の動向
今週の世界の株式市場は、国やセクターによって異なる動きを見せました。以下のグラフは、各主要指数の週間変化率を示しています。米国市場が好調だった一方、日本市場は利益確定売りに押されました。
アセットクラス別動向
株式、債券、為替、コモディティ、クリプトの各市場の詳細な動向です。タブをクリックして、各アセットクラスの分析を見ることができます。
今後の注目マクロイベント
来週にかけて、以下の経済指標やイベントが市場の方向性を左右する可能性があります。特にOPEC+の会合と米国の経済指標が焦点となります。
OPEC+ JMMC
追加減産協議の行方に注目が集まります。
米ISM非製造業PMI / 中国PPI・CPI
米国のサービス業景況感と中国の物価動向が、金利や資源相場に影響を与える可能性があります。
FOMC議事要旨
9月の利下げに対するFRB内の温度感を確認する上で重要な材料となります。
投資インサイトまとめ
今週の市場動向を踏まえた、各アセットクラスに関する投資戦略の要点です。リスク管理を意識しつつ、機会を探るための視点を提供します。
🏢米株の注意点
株価は最高値圏ですが、金利上昇がバリュエーションの重しになる可能性。大型ハイテク株への過度な集中には注意が必要です。
⚖️債券戦略
金利が上昇している米国債を売り、金利が低下している欧州債を買う「クロスコア戦略」が有効な可能性があります。
🥇コモディティ戦略
原油価格の上値は限定的とみられます。ポートフォリオのヘッジとして、価格が調整した局面で金や銅を買い増す戦略が考えられます。
💱為替戦略
円を売るポジションが過熱気味。1ドル144-145円台では利益確定の売りが出やすいでしょう。ドル指数は97台後半で上昇の勢いが鈍る可能性があります。
🔗クリプト戦略
今後の価格は米国の規制議論に左右されます。ポートフォリオ全体のリスクを考慮し、2-3%程度の比率で分散投資するのが妥当でしょう。