このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
注目の上昇銘柄(ウォッチリストから)
上昇銘柄ウォッチリスト(2025/11/18 終値ベース)
| 名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
|---|---|---|---|---|
| ONDS(オンダス・ホールディングス) | 7.84 | +25.34% | ドローン・空港警備 | Sentrycs買収完了と欧州空港向け8.2百万ドル受注報道を材料にドローン防衛期待高まる |
| NNOX(ナノックス・イメージング) | 3.31 | +16.96% | 医療画像・X線装置 | 3DR Labsとの戦略提携発表とアナリストの買い継続評価で事業拡大期待再燃 |
| ICG(イントチェインズ・グループ) | 1.60 | +15.11% | 暗号資産マイニング半導体 | 暗号資産評価益で純利益急増となったQ3決算と買い継続レポートを手掛かりに割安修正進行 |
| GRRR(ゴリラ・テクノロジー・グループ) | 13.81 | +9.43% | AI映像解析・セキュリティ | 記録的なQ3売上とほぼ損益トントン転換、26年ガイダンス上振れ評価した買い集中 |
| BBAI(ビッグベア・エーアイ) | 5.98 | +7.36% | 国防向けAI解析 | Q3決算とAsk Sage買収発表後の調整一巡で国防向けAI成長期待への押し目買い |
| LENZ(レンズ・セラピューティクス) | 27.23 | +5.95% | 眼科バイオ・老眼治療 | 特になし |
下落銘柄
| 名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
|---|---|---|---|---|
| LFMD(ライフエムディ) | 4.09 | -13.53% | テレヘルス・オンライン診療 | Q3決算の売上・EPS予想未達と通期売上ガイダンス大幅下方修正を嫌気した失望売り |
| SNDK(サンディスク) | 244.93 | -7.88% | NANDフラッシュ・メモリ | 競合日本メーカーの弱い決算報告と利益率悪化懸念を背景としたNANDメモリ株全体の調整 |
| SYM(シンボティック) | 52.94 | -6.94% | 倉庫自動化ロボット | 目標株価が現株価を下回る中でインサイダー売りと高バリュエーション警戒が意識された調整 |
| MRVL(マーベル・テクノロジー) | 78.68 | -5.72% | データセンター向け半導体 | 好決算後の戻り高値圏で半導体株全体の利益確定売りが出たテクニカルな押し |
| MU(マイクロン・テクノロジー) | 228.50 | -5.56% | メモリ半導体・AI向けHBM | AI関連メモリ循環の持続性懸念と半導体セクター格下げ報道をきっかけとした高値圏からの調整 |
個人的所感
市場は不安一色で下落の様相ですが、個別では、オンダス・ホールディングス(ONDS)は、カウンターUAS企業Sentrycsの買収完了と、欧州大規模空港向けIron Drone Raiderシステムの約820万ドル受注が同時期に報じられ、防衛・インフラ向けドローン警備ビジネス拡大への期待が一気に織り込まれた展開。
ナノックス・イメージング(NNOX)は、3DR Labsとの戦略提携発表に加えてアナリストの買い継続レーティングが重なり、長期停滞していた医療画像プラットフォームへの再評価が進んだ様子。
イントチェインズ・グループ(ICG)は、売上減少にもかかわらず暗号資産評価益でQ3純利益が大きく伸びた決算を受け、割安感と暗号資産関連の再評価が意識された動き。
ゴリラ・テクノロジー・グループ(GRRR)は、Q3売上が過去最高となり、営業損益もほぼトントンまで改善したうえで2025〜26年の強気ガイダンスと大型AI案件パイプラインを示したことが評価され、決算翌営業日の本格的な評価買いが入った展開。
ビッグベア・エーアイ(BBAI)は、11月10日のQ3決算とAsk Sage買収発表後に一時的な失望売りで崩れていたが、その後の調整を経て防衛向け生成AIプラットフォーム拡大ストーリーへの押し目買いが優勢。LENZセラピューティクス(LENZ)はこの日に特段の材料が確認できないが、直近のボラティリティの中でテクニカルな戻りが中心と判断。
特にドローン防衛のオンダス・ホールディングス(ONDS)、AIセキュリティのゴリラ・テクノロジー(GRRR)、国防向けAI解析のビッグベア・エーアイ(BBAI)といった「安全保障×テクノロジー」軸の銘柄がそろって買われており、地政学リスク下での防衛テック需要拡大テーマの継続を示唆する動きに見える。
一方、下落銘柄は、ライフエムディ(LFMD)はQ3決算で売上・EPSともに市場予想を下回り、通期売上ガイダンスも2億50〜2億55百万ドルから1億92〜1億93百万ドルへ大きく引き下げたうえ、BTIGなどが目標株価を引き下げたことが重なり、成長期待修正を迫られたテレヘルス株の典型的な失望売りの動き。
サンディスク(SNDK)は、日本の共同事業パートナーを含む競合メモリメーカーの弱い決算をきっかけに、NAND市況と利益率の先行き不透明感が意識されたうえで、自社もマージン低下と高バリュエーションが指摘されており、メモリセクター全体の調整の一角という位置づけ。
マイクロン・テクノロジー(MU)も同じメモリ領域で、好決算で直近まで大きく上昇していた反動の中、AI関連半導体セクターへの格下げレポートやAI需要の持続性に対する警戒が報じられ、高値圏からのまとまった利益確定売りの流れ。
シンボティック(SYM)は決算発表前の高値圏で、アナリストコンセンサスが「ホールド」で平均目標株価も現株価を下回る水準にある一方、過去90日間のインサイダー売り越しが目立つ状況が紹介されており、需給と評価のミスマッチを意識した調整色の強い下落と解釈される局面。
マーベル・テクノロジー(MRVL)は、売上成長と自社株買い枠拡大など内容自体は良好な決算を出しているにもかかわらず、直近の上昇で株価が移動平均線乖離を広げていたタイミングで出来高を伴う下落となっており、AI・データセンター向け半導体全体の過熱感を冷ますテクニカルな押しの一部と見るのが妥当な動き。
市場インサイト
【分析日】2025/11/17
全体ムード
米株は広範に反落、AI関連の決算前警戒と金利・為替の不確実性が重石。水曜のNVIDIA決算とFOMC議事要旨を前に、ハイベータから資金退避の流れ。米10年金利は小幅低下ながら4.13%台、ドルは対円で155円台維持。欧州は景況感の伸び悩みと原油の戻り鈍化が上値抑制要因。日本は実質GDPマイナスと円安継続のはざま、指数は小反落にとどまる。原油はロシア輸出ハブの荷揚げ再開報で軟化、金はドル高・利下げ観測後退で上値重い。暗号資産はリスク回避の波及で続落。
エクイティ
| 指数 | 終値 | 前日比 | 背景 |
|---|---|---|---|
| ダウ | 46,590.24 | -557.24 (-1.18%) | AI関連イベント前の手仕舞いと金融主導の下押し |
| S&P500 | 6,672.41 | -61.70 (-0.92%) | メガテックの過熱感警戒とディフェンシブ回帰 |
| ナスダック | 22,708.07 | -192.52 (-0.84%) | 半導体・生成AI関連のポジション軽量化 |
| 日経225 | 50,323.91 | -52.62 (-0.10%) | マクロ減速懸念と円安一服の綱引き |
| STOXX600 | 571.68 | -3.10 (-0.54%) | 成長鈍化観測と資源株の戻り鈍化 |
債券
| 国 | 10年利回り | 前日比(bp) | コメント |
|---|---|---|---|
| 米国 | 4.13 % | -1 | 議事要旨前の様子見と需給の買い優勢 |
| ドイツ | 2.71 % | 0 | 成長不安と米金利動向の綱引き |
| 日本 | 1.73 % | +3 | 物価粘着性と財政運営への警戒残存 |
為替
- USD/JPY 155.26(+0.46%):米金利優位とイベント前のドル需要。
- EUR/USD 1.1591(-0.26%):欧成長鈍化観測でユーロ重さ。
- USD/CNY 7.1069(+0.08%):当局のレンジ管理下で小幅ドル高。
コモディティ
| 品目 | 終値 | 前日比 | ドライバー |
|---|---|---|---|
| WTI原油 | $59.91/bbl | -0.05% | 供給不安後退とポジション整理 |
| Brent原油 | $64.20/bbl | -0.30% | 同上と需要見通しの下方修正 |
| 天然ガス | $4.361/MMBtu | -4.49% | 在庫高水準と気温見通し |
| 金(現物) | $4,072.50/oz | +0.03% | 実質金利微上昇下の戻り鈍化 |
| 銀 | $51.05/oz | -1.84% | 金連動の調整と工業需要不安 |
| 銅 | $5.01200/lb | -1.01% | リスク回避と中国データ待ち |
クリプト
- ビットコイン $92,195.00(-2.50%):株安連鎖と流動性後退の圧力。
- イーサリアム $3,030.18(-2.66%):イベント前のリスク縮小と需給悪化。
マクロイベント焦点(今後3–4営業日)
- 2025/11/19(水)FOMC議事要旨:利下げ時期の手掛かり。
- 2025/11/19(水)NVIDIA決算:AI投資サイクルの耐久度確認。
- 2025/11/20(木)米EIA原油在庫:需給の緩みとレンジ確認。
- 2025/11/21(金)日本 全国CPI(10月):コアの粘着度とサービス価格の確認。
インサイトまとめ
- イベント通過までAI関連は比重軽めが無難。ガイダンス不確実性への備え。
- 米長期金利は4%台前半の往来想定。ディフェンシブ・高配当の一時的厚みが良さげ。
- 原油は60ドル近辺の戻り売り優勢。ガスは反発待ちの辛抱が妥当。
- 金は押し目拾い、銀はボラ警戒の軽量配分。段階利食いの徹底が無難。
- ドル円は155台の上抜け警戒。イベント跨ぎのヘッジ厚めが良さげ。


