2026:Q2 2026/11/04 発表(引け後)
- 発表翌営業日-13.08%寄付 -10.30%
ARM 2026年Q2決算:増収率27%もシェア報酬コストと一時益剥落で純利益は45%減
本決算のポイント
アームホールディングスの2026年度第2四半期(7〜9月期)は、総売上高が前年同期比27%増の14.43億ドルとなり、ライセンス収益・ロイヤリティ収益の両輪がともに伸びた。ライセンス・その他収益は50%増の7.73億ドル、ロイヤリティ収益は8%増の6.70億ドルで、Armv9やCSS技術など高単価製品への移行とデータセンター向け採用拡大が寄与した。
一方で営業利益は2.01億ドル(営業利益率14%)と前年並みの水準にとどまり、研究開発費が24%増の8.57億ドル、販管費も36%増の3.43億ドルに膨らみ、増収のわりに利益の伸びは鈍い。純利益は1.3億ドルで前年同期の2.38億ドルから45%減少したが、これは前年に計上されたArtisan事業売却に伴う1.31億ドルの一時益がなくなったことと、株式投資の評価損が響いたためだ。
通期ガイダンスへの言及は本文になく、会社として据え置き・改定の表明は確認できない。なお7月にはネットワーキング技術を持つDreamBig Semiconductorを2.65億ドルで買収し、AGI CPUなど新規シリコン事業への布石を積み増している。
抑えておくべきKPI
- 総売上高: 14.43億ドル(前年同期比27%増)
- ライセンス・その他収益: 7.73億ドル(前年同期比50%増)
- ロイヤリティ収益: 6.70億ドル(前年同期比8%増)
- 営業利益率: 14%(前年同期も14%で横ばい)
- 純利益: 1.3億ドル(前年同期の2.38億ドルから45%減)
インサイト
売上面ではライセンス収益の急伸がハイライトで、高額ライセンス契約の規模とタイミングのばらつき、過去契約からのバックログ寄与が重なった格好だ。ロイヤリティも着実に伸びているが、スマートフォン市場でのメモリ価格上昇の影響が一部相殺要因として言及されており、構造的な力強さと短期的なブレが混在する内容と言える。
純利益の大幅減少は、事業の失速というより前年の一時的な売却益がなくなったことと、研究開発・販管費の継続的な積み増しが主因で、収益性そのものの毀損とは言い切れない。ただし研究開発費・販管費の伸びが売上の伸びを上回っており、投資先行フェーズが続いている点は注視したい。
ローライトとしては、関連当事者であるArm Chinaからのライセンス収益が、高額契約のタイミング要因で減少したことが明記されている。ロイヤリティは改善したものの、中国事業の変動性は今後も業績のブレ要因になり得る。
今後の見どころ
今回の本文には通期売上ガイダンスの記載がなく、次四半期以降にどのような業績見通しが示されるかが焦点になる。また、AGI CPUをはじめとする生産シリコン事業の立ち上がりが、従来のIPライセンスモデルとは異なる粗利構造・収益認識・販売サイクルを伴うとされており、この新規事業が業績にどう反映され始めるかが重要な観察点だ。
加えて、クアルコム・Nuviaとの訴訟は陪審・裁判官審理で一部アームに有利な判断が出ているが、未決着の争点も残る。10月以降には半導体サプライヤーとの新たな大型購買契約も発表されており、これらのキャッシュアウトフローが今後の投資キャッシュフローにどう影響するかも追いたい。
出典
2026:Q1 2026/07/29 発表(引け後)
- 発表翌営業日+7.40%寄付 +14.72%
- 5営業日+22.10%
ARM 2026年Q1(2026年4〜6月)決算:売上高は前年同期比22%増の12.89億ドル、研究開発費の拡大で営業利益は減少
ARMの決算ハイライト
アームホールディングスの2026年第1四半期(4〜6月)は、売上高が前年同期比22%増の12.89億ドルとなった。ライセンス収入ほかが5.74億ドル(23%増)、ロイヤルティ収入が7.15億ドル(22%増)と、両輪がそろって伸びた。
一方、営業利益は9,100万ドルと前年同期の1.14億ドルから減り、営業利益率は11%から7%に低下した。研究開発費が8.38億ドル(29%増)に膨らんだためで、増収が利益に結びつかない構造がはっきり出た四半期といえる。
純利益は2.70億ドルと前年同期の1.30億ドルから増えた。ただし押し上げたのは本業ではなく、持分投資からの利益1.28億ドル(前年同期は400万ドル)で、上場企業への出資の評価益が中心だ。
抑えておくべきKPI
- 売上高: 12.89億ドル(前年同期は10.53億ドル、22%増)
- ロイヤルティ収入: 7.15億ドル(前年同期は5.85億ドル、22%増)
- 営業利益率: 7%(前年同期は11%)
- 営業活動によるキャッシュフロー: 9.02億ドル(前年同期は3.32億ドル)
重要なインサイト
ロイヤルティ収入の増加について、本文はArmv9やArm CSSなど1チップあたりの単価が高い製品の構成比上昇と、データセンターでのArmベースのチップの採用拡大を要因に挙げている。ライセンス収入ほかも、高額契約の時期や規模の振れが寄与したと説明されており、一部は期ずれの影響を含む点に注意したい。
費用面では、研究開発費が次世代製品への投資で29%増、販管費が3.17億ドル(22%増)となり、売上高に対する研究開発費の比率は62%から65%に上昇した。この投資負担が営業利益率の低下の直接の原因だ。株式報酬費用も3.43億ドル(前年同期は2.41億ドル)に増えている。
キャッシュフローは売上債権の回収が進み、営業活動で9.02億ドルを創出した。地域別では日本向けが2.76億ドル(前年同期は1.54億ドル)と伸びた一方、中国は2.00億ドルと前年同期の2.09億ドルから微減した。
今後の見どころ
本文では2026年3月に発表したArm AGI CPUについて、量産は2026年末までに見込まれていると説明されている。自社設計のチップ製品は従来のIPライセンスと利益率や売上計上の性質が大きく異なる可能性があるとも記されており、研究開発費の増加ペースと営業利益率の関係が焦点になる。
また、7月1日には約2.65億ドルでDreamBig Semiconductorの買収が完了した。クアルコムとの訴訟は2026年第4四半期に審理入りの見込みとされている。未履行の契約に対応する残存履行義務は6月末時点で21.2億ドルで、そのうち約24%を今後12か月で売上に計上する見通しだ。現預金は30.58億ドルとなっている。
出典
2025:Q1 2025/07/30 発表(引け後)
- 発表翌営業日-13.44%寄付 -9.17%
- 5営業日-16.66%
アーム・ホールディングス(ARM)の2025年Q1(2025年4〜6月)決算サマリー
売上高と収益
- 四半期売上高: 10億5300万ドル(前年比+12%)
- ロイヤルティ収入: 5億8500万ドル(前年比+25%)
- ライセンス収入: 4億6800万ドル(前年比-1%)
- GAAP純利益: 1億3000万ドル(前年同期比-42%)
- 調整後純利益(Non-GAAP): 3億7400万ドル(前年同期比-11%)
- 1株あたり利益(Non-GAAP): 0.35ドル(前年同期比-13%)
営業費用と利益
- GAAP営業費用: 9億900万ドル(前年同期比+26%)
- Non-GAAP営業費用: 6億1900万ドル(前年同期比+33%)
- GAAP営業利益: 1億1400万ドル(前年同期比-37%)
- Non-GAAP営業利益: 4億1200万ドル(前年同期比-8%)
- 営業利益率(Non-GAAP): 39.1%(前年同期比-8.6pt)
契約と受注(Bookings)
- 年間契約額(ACV): 15億2800万ドル(前年比+28%)
- 残存パフォーマンス義務(RPO): 22億3200万ドル(前年同期比+3%)
- Arm Total Access契約数: 45(前四半期比+1)
- Arm Flexible Access契約数: 313(前四半期比-1)
キャッシュと財務状況
- 営業キャッシュフロー: 3億3200万ドル(前年同期:-2億9000万ドル)
- 自由キャッシュフロー(FCF): 1億5000万ドル(前年同期:-3億4800万ドル)
- 現金および短期投資: 29億600万ドル
技術・事業ハイライト
- AI分野での成長: Arm Neoverseベースのチップが、Google、Microsoft、AWSなどの主要クラウドでAIトレーニング・推論に活用。Grace Blackwellチップでx86比25倍のエネルギー効率。
- 新製品: 自動車向けZena CSSを発表し、すでに初の設計受注を獲得。グローバルOEMの1/3と商談中。
- Edge AI: 新型Ethos-U85 NPUにより前世代比4〜8倍の性能、20%省電力。スマホやIoT向けのAI実装が加速。
- GPUとCPU技術: Immortalis GPUおよびScalable Matrix Extension対応のArmv9 CPUにより、オンデバイスAI性能を強化。
2025年Q2(2025年7〜9月)のガイダンス
- 売上見通し: 10億1000万~11億ドル(横ばい〜+5%成長レンジ)
- 調整後EPS見通し: 0.29~0.37ドル
- Non-GAAP営業費用見通し: 約6億5500万ドル(前四半期比+5%)
Armは第1四半期に続き、AI需要を追い風にロイヤルティ収益を大きく伸ばし、過去最高のQ1売上を記録した。調整後利益とFCFも改善し、健全な財務基盤を維持している。クラウドAI、エッジAI、自動車分野すべてにおいて強いパートナーシップと製品ラインを拡充しており、プラットフォームとしての支配力を確実に強めている。次四半期は成長の一服が予想されるが、中長期的な成長ポテンシャルは非常に高い。黒字体質を維持しながら、AI時代の中心的企業としての地位を固めている。
2024:Q3 2025/02/05 発表(引け後)
- 発表翌営業日-3.34%寄付 -6.50%
- 5営業日-10.30%
Arm(アーム)の2024年Q3(2024年10〜12月)決算サマリー
売上高と収益
- 総売上高:9億8,300万ドル(前年同期比19%増)で過去最高を記録
- ロイヤルティ収益:5億8,000万ドル(前年同期比23%増)
- ライセンスおよびその他の収益:4億300万ドル(前年同期比14%増)
利益
- GAAP営業利益:1億7,500万ドル(前年同期比31%増)
- Non-GAAP営業利益:4億4,200万ドル(前年同期比22%増)
- GAAP純利益:2億5,200万ドル(前年同期比190%増)
- Non-GAAP純利益:4億1,700万ドル(前年同期比29%増)
- Non-GAAP EPS(1株当たり利益):0.39ドル(前年同期比26%増)
キャッシュフロー
- 営業キャッシュフロー:4億2,300万ドル(前年同期比36%増)
- フリーキャッシュフロー:3億4,900万ドル(前年同期比39%増)
- 現金および短期投資総額:26億7,100万ドル
成長の要因
- Armv9アーキテクチャの採用拡大
データセンター、IoT、エンタープライズ向けに採用が進み、収益増加に貢献
- Compute Subsystems(CSS)の出荷増加
モバイルおよびクラウド市場での成長がロイヤルティ収益を押し上げた
- AI市場の拡大
ArmベースのAIチップ需要が増加し、特にオンデバイスAI向けのプロセッサが伸長
- データセンター向けカスタムシリコン
AWS、Google、MicrosoftがArmベースのプロセッサをデータセンターで採用し、ライセンス収益を後押し
将来の展望
- AI分野でのさらなる拡大
OpenAI、NVIDIA、Microsoft、Oracleと共同で「Stargate Project」に参画し、AIインフラ整備を推進
- ライセンス・ロイヤルティの安定成長
Arm Flexible Accessプログラムの利用顧客数が増加し、継続的なロイヤルティ収益を確保
- 高性能・省電力アーキテクチャの推進
Armベースのスマートフォン、PC、自動車、クラウド向けプロセッサが拡大し、成長の原動力となる
ガイダンス(Q4および通期)
- 2024年Q4(2025年1〜3月)売上予測:11億7,500万ドル〜12億7,500万ドル
- 2025年3月期の通期売上予測:39億4,000万ドル〜40億4,000万ドル
- Non-GAAP EPS予測:1.56ドル〜1.64ドル
アームは、AI市場の拡大とともに強力な成長を続けており、特にデータセンターおよびモバイル向けプロセッサが収益を牽引。今後もライセンス収益とロイヤルティ収益の安定した成長が期待される。データセンター向けのカスタムシリコンやCompute Subsystems(CSS)の普及拡大が、さらなる業績向上の鍵となる。
これより前の決算を表示(2期分)
2024:Q2 2024/11/07 発表(引け後)
- 発表翌営業日-2.10%寄付 -1.29%
- 5営業日-9.49%
ARM 2024年Q2(2024年7〜9月)決算:ロイヤルティ収入が23%増、前年の営業赤字から黒字へ
本決算のポイント
アームホールディングスの2024年7〜9月期の売上高は8.44億ドルで、前年同期の8.06億ドルから5%増えた。内訳は明暗が分かれ、ロイヤルティ収入は5.14億ドルで前年同期比23%増となった一方、ライセンスその他の収入は3.30億ドルで15%減った。会社はライセンス収入の減少を、高額な契約の時期と規模の通常の変動によるものと説明している。
利益面では、営業損益が前年同期の1.56億ドルの赤字から0.64億ドルの黒字へ転じた。研究開発費が5.07億ドルと前年同期の6.26億ドルから19%減ったことが大きい。会社はその主因を株式報酬費用の減少としており、次世代製品への投資自体は人員増などで増えている。純利益は1.07億ドル(前年同期は1.10億ドルの赤字)、希薄化後EPSは0.10ドルだった。
なお、この四半期は税務調査の決着に伴う2,500万ドルの引当金の戻し入れがあり、法人税が利益を押し上げている。
抑えておくべきKPI
- 売上高: 8.44億ドル(前年同期比+5%)
- ロイヤルティ収入: 5.14億ドル(前年同期比+23%)
- ライセンスその他の収入: 3.30億ドル(前年同期比-15%)
- 営業利益: 0.64億ドル(前年同期は1.56億ドルの赤字、営業利益率は約7.6%)
重要なインサイト
ロイヤルティ収入の伸びについて、会社はスマートフォン市場の回復と、Armv9のようにチップ1個あたりのロイヤルティ料率が高い製品の比率上昇を挙げている。出荷数量の回復だけでなく、1個あたりの単価が上がる構造的な要因が含まれている点が重要である。
一方、ライセンス収入は大型契約の計上時期に左右されるため、四半期ごとの振れが大きい。上半期(4〜9月)の累計で見ると、ライセンスその他の収入は8.02億ドルで前年同期比21%増であり、7〜9月期の減少は時期のずれによる面が大きいと読める。
利益の改善は、研究開発費と販売管理費の両方で株式報酬費用が減ったことによる部分が大きく、会社は販売管理費の減少要因に上場準備費用の減少も挙げている。売上総利益率は約96%と高く、費用の水準が利益を大きく左右する体質である。
今後の見どころ
上半期の営業キャッシュフローは2.84億ドルの流出で、前年同期の1.13億ドルの流入から悪化した。会社は売掛金の増加(顧客からの入金時期)や、権利確定した株式に関わる源泉税の支払いを要因に挙げている。入金時期のずれが下半期に解消するかが確認点になる。
また、中国の合弁先 Arm China からの売上は1.477億ドルで、前年同期の1.620億ドルから減った。上半期には Arm China 関連で1,600万ドルの予想信用損失も計上しており、中国向けの取引の動向は引き続き注意して見る必要がある。
出典
2024:Q1 2024/08/01 発表(引け後)
- 発表翌営業日-6.63%寄付 -5.57%
- 5営業日-2.53%
Arm(アーム)の2024年Q1(2024年4〜6月)決算サマリー
売上高と収益
- 売上高: 第1四半期の売上高は9億3,900万ドルで、前年同期比39%増加。主にライセンス収入とロイヤリティ収入の増加が寄与。
- ライセンス収入: 4億7,200万ドルで、前年同期比72%増。AI関連技術やスマートフォン向けの需要拡大が後押し。
- ロイヤリティ収入: 4億6,700万ドルで、前年同期比17%増。Armv9技術の普及が進み、スマートフォン市場における高性能デバイスでの採用が増加。
営業利益と純利益
- 営業利益: GAAPベースで1億8,200万ドル、前年同期比64%増。Non-GAAPベースでは4億4,800万ドル。
- 純利益: GAAPベースで2億2,300万ドル、前年同期比112%増加。Non-GAAPベースでは4億1,900万ドルに達する。
キャッシュフローおよび財務状況
- 営業キャッシュフロー: -2億9,000万ドルで、前四半期に比べキャッシュ使用が増加。前年同期もマイナスであったが、減少傾向。
- フリーキャッシュフロー: マイナス3億4,800万ドルで、特に一時的な要因として、前年の大規模なIPO関連コストが影響。
重要な事業および技術動向
- AIおよび高性能コンピューティング市場への注力: Armv9ベースのチップがスマートフォン、クラウドサーバー、IoTデバイスに広く採用され、特にAI対応デバイスにおけるエネルギー効率の向上が評価されている。
- 次世代チップ技術の開発: AIデータセンター向けのAxion製品やMicrosoftのCopilot+ PCの登場により、AI分野での強固な地位が確立されている。
- 自動車市場での進展: CSS(Compute Subsystem)を活用したArmの新たな自動車用プラットフォームは、高性能運転支援システム(ADAS)などに適用され、将来的な収益拡大が期待される。
将来ガイダンス
- 年間売上予測: 2025年3月期の売上高は38億ドルから41億ドルを見込み、スマートフォン、データセンター、IoT市場での成長を背景にした強気の見通し。
- 利益見通し: Non-GAAPベースの年間純利益は1株当たり1.45ドルから1.65ドルに設定。エネルギー効率と高性能を両立する製品需要により、引き続き堅調な成長が見込まれる。
