このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
注目の上昇銘柄(ウォッチリストから)
上昇銘柄:ウォッチリスト(2025/10/21 終値ベース)
名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
---|---|---|---|---|
ERJ(エンブラエル) | 63.83 | +5.16% | リージョナル機・ビジネス機 | 受注残$313億の過去最高更新 |
MMM(スリーエム) | 166.64 | +7.66% | 産業コングロマリット | 2025年通期ガイダンス上方修正・Q3想定超 |
RTX(アールティーエックス) | 173.04 | +7.67% | 航空宇宙・防衛 | Q3増収増益・通期見通し引き上げ |
OSCR(オスカー・ヘルス) | 21.77 | +7.88% | テック系医療保険 | 2026年向けAI機能と市場拡大発表の余韻 |
CTEV(クラリテブ) | 66.00 | +12.78% | 医療データ・収益最適化 | Citiが「買い」へ格上げ・目標$55提示 |
AVDL(アヴァデル・ファーマ) | 17.87 | +13.10% | 睡眠障害薬LUMRYZ | 52週高値更新・Q2好調後のモメンタム継続 |
VICR(バイコー) | 65.80 | +13.37% | 電源モジュール・パワー半導体 | Q3売上$1.10B*・EPS$0.63で予想超過(*$1.104億) |
下落銘柄
名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
---|---|---|---|---|
CRML(クリティカル・メタルズ) | 16.27 | -16.91% | レアアース・重要鉱物 | 官民出資観測相場の剥落・格下げ報道で需給悪化 |
CDE(クーア・マイニング) | 18.48 | -16.11% | 銀・金鉱山 | 金銀急落の連想安 |
ORBS(エイトコ・ホールディングス) | 7.41 | -15.31% | クリプト・デジタルID(Worldcoin) | 過熱相場の反動・材料一巡 |
PLG(プラチナム・グループ・メタルズ) | 2.21 | -14.01% | 白金・PGM鉱山 | 貴金属全面安の波及安 |
CCCX(チャーチル・キャピタルX) | 18.61 | -13.44% | SPAC・量子テック | WeissのSell評価報道・ボラ拡大 |
EXK(エンデバー・シルバー) | 8.09 | -13.29% | 銀・金鉱山 | 金銀下落に伴うセクター売り |
個人的所感
航空・防衛セクターでは、エンブラエル(ERJ)の受注残が過去最高というわかりやすいヘッドラインに加え、RTXがQ3好決算と通期上方修正を発表。
受注環境の強さと国防需要の底堅さが改めて意識される。
産業サイドのスリーエム(MMM)も利益見通しを再度引き上げ、
コスト抑制と高付加価値製品へのシフトが収益改善に結びついていることを示した。
医療テック分野では、クラリテブ(CTEV)がCitigroupの「買い」格上げを受け急伸。
データ活用と収益最適化という地味ながら実需の強い領域に注目が集まった。
オスカー・ヘルス(OSCR)は、AIエージェント導入と市場拡大発表を背景に、プロダクト面での明快な成長ストーリーが評価。
創薬のアヴァデル(AVDL)は52週高を更新。
LUMRYZ増収とガイダンス引き上げの流れを継続し、勢いを維持。
テック周辺のバイコー(VICR)は決算ビートで大幅高。
AIサーバー電源効率といった基盤領域への期待が、数字の裏付けとともに再浮上した。
一方で、金が年初来高値圏から一気に6%超下落、銀も8%前後の急落というヘッドラインが先行、クーア(CDE)やエンデバー(EXK)、プラチナムG(PLG)など貴金属株に機械的な売りが広がった。
レアアースのクリティカル・メタルズ(CRML)は、今月初旬の米政府出資観測で急騰した反動に加え、格下げ系の報道が出て需給が崩れやすい地合い。
クリプト関連のエイトコ(ORBS)も、Worldcoin連想で火がついた相場の熱気が一段落し、短期資金の巻き戻しに押された印象だ。
量子テックのSPACであるCCCXはSell評価が重石。総じて、コモディティの急変と格付け・思惑の整理が同時に起き、テーマ色の強い銘柄ほど振れ幅が大きく出た印象。
市場インサイト
【分析日】2025/10/21
全体ムード
米主要企業決算の上振れとダウ最高値更新の明暗、金の急落と原油の供給過剰観測によるリスク配分の再調整、独ZEW期待指数の持ち直しと米10年利回りの4%攻防がクロスアセットの方向感を規定、東京は政局イベント起点のリスクセンチメント改善と円の上振れ一服による買い戻し主導の地合い
エクイティ
指数 | 終値 | 前日比 | 背景 |
---|---|---|---|
ダウ | 46,924.74 | +218.16 (+0.47%) | 決算支援とディフェンシブ選好の併走 |
S&P500 | 6,735.35 | +0.22 (+0.00%) | 決算マチマチと金利膠着による方向感乏し |
ナスダック | 22,953.67 | −36.88 (−0.16%) | 大型テックの選別と金急落によるポジ調整 |
日経225 | 49,316.06 | +130.56 (+0.27%) | 政策期待と先物買い戻し |
STOXX600 | 568.20 | +0.43 (+0.08%) | ZEW改善と素材・ラグジュアリーの戻り |
債券
国 | 10年利回り | 前日比(bp) | コメント |
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米国 | 4.03 % | +4 | 4%近辺の攻防と株高連動の小反発 |
ドイツ | 2.58 % | +2 | 景況感持ち直しと供給要因の上振れ |
日本 | 1.64 % | +1 | リスクオン気味の金利正常化観測 |
為替
- USD/JPY 151.36(+0.83%):米金利4%攻防と介入警戒の綱引き
- EUR/USD 1.1685(−0.45%):ZEW持ち直しもドル高地合いで上値重さ
- USD/CNY 7.1220(+0.06%):強め仲値運用と景気底打ち期待のレンジ推移
コモディティ
品目 | 終値 | 前日比 | ドライバー |
---|---|---|---|
WTI原油 | $57.22/bbl | −0.03% | 供給過剰観測と需要減速懸念の綱引き |
Brent原油 | $61.32/bbl | +0.44% | 建玉調整とスプレッド弱含み |
天然ガス | $2.96/MMBtu | −0.67% | 在庫見通しと気温予想の修正 |
金(現物) | $4,115.26/oz | −3.66% | 過熱修正とドル高による利食い優勢 |
銀 | $48.49/oz | −10.03% | 金急落連動と工業需給不透明感 |
銅 | $4.92000/lb | −0.73% | 在庫低位も中国需要不確実の重石 |
クリプト
- ビットコイン $108,200.00(−0.45%):ドル高地合いと安全資産回帰の逆風
- イーサリアム $3,975.00(−0.13%):材料乏しくアルト資金細りの様子見
マクロイベント焦点(今後3–4営業日)
- 2025/10/22(水)米・既存住宅販売:高金利後の需給調整の度合い
- 2025/10/23(木)グローバルPMI速報(米・欧・英):需要鈍化と価格指数の転機
- 2025/10/24(金)日本・全国CPI:基調インフレの減速度合い
- 2025/10/28(火)米・消費者信頼感(Conference Board):家計マインドと雇用見通しの反映
インサイトまとめ
- クリプト:BTCは105–110kレンジでの値固め観察、ETHは軽量スタンス継続が良さげ
- 株式:クオリティ成長×ディフェンシブの配分維持が無難
- 債券:米10年は4%攻防レンジ想定、デュレーション中立やや長めが妥当
- 為替:ドル高基調の一服待ち、USD/JPYは150台後半の押し目拾いが良さげ
- 原油:需給緩み優勢で戻り売りが妥当
- 貴金属:金はボラ拡大前提の段階買い、銀は短期回転が無難