このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
注目の上昇銘柄(ウォッチリストから)
ウォッチリスト(2025/09/02 終値ベース)
名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
---|---|---|---|---|
MNKD(マンカインド) | 5.74 | +25.05% | 吸入薬・循環代謝 | scPharmaceuticals買収$3.6億とBlackstone最大$5億調達の評価 |
SBSW(シバニー・スティルウォーター) | 8.28 | +9.38% | 金・PGM鉱山 | 金価格史上高とBMO目標引き上げの追い風 |
ULTA(ウルタ・ビューティ) | 532.52 | +8.08% | ビューティ小売 | Q2好決算・通期上方修正と強気評価でのリカバリー |
SMR(ニュースケール・パワー) | 37.24 | +7.47% | 小型原子炉SMR | TVA×ENTRA1のNuScale採用6GW協定の発表 |
KSS(コールズ) | 16.13 | +7.10% | 百貨・オムニ小売 | Q2決算ビート後のモメンタムとショートカバー |
個人的所感
比較的ウオッチリストでは、いつも見る名柄が少ない印象。
貴金属高と政策イベントのマクロ要因に、M&A・協業といった確度の高い個別材料が重なる地合い。金価格は史上高更新で金鉱株に資金回帰。SBSWの上昇は金高+目標引き上げの合わせ技ですね。
エネルギーではSMR大型協定が象徴。TVA×ENTRA1がNuScale採用で最大6GWと、需要可視化が進むインパクト。関連セクターのテーマ性再点火かも。
消費関連は好決算起点のリカバリー。ULTAの通期上方修正を材料に再評価。KSSは決算後のモメンタム継続で小売全体のセンチメント改善を示唆。
バイオは戦略M&A+資金調達で将来収益化の道筋を提示。MNKDは買収と非希薄化資金のセットでバリュエーション再定義の局面。
市場インサイト
【分析日】2025/09/02
全体ムード
米株は主要3指数そろって反落、グロース主導の調整基調。背景は 長期金利上昇×政策不確実性(関税・FRB人事) の再燃によるバリュエーション圧力。欧州は幅広安で年初来レンジ下限に接近、日本は小幅続伸で相対堅調。債券は米独金利上昇・JGB小反落の 利回り拡散、為替は ドル高優位 の戻り。コモディティは 原油安×金が史上高値圏、リスク回避と実需見通しの分岐。短期は クオリティ・ディフェンシブ優位、高ベータの戻りは限定的な地合い。
エクイティ
指数 | 終値 | 前日比 | 背景 |
---|---|---|---|
ダウ | 45,295.81 | -249.07 (-0.55%) | 金利上昇と政策ノイズで広範安、ディフェンシブ相対強。 |
S&P500 | 6,415.54 | -44.72 (-0.69%) | メガテックの調整主導、金利上昇でバリュエーション圧力。 |
ナスダック | 21,279.63 | -175.92 (-0.82%) | グロース比重の高さが逆風、テックに売り先行。 |
日経225 | 42,310.49 | +121.70 (+0.29%) | 円安一服下の押し目買いと米イベント観測で相対堅調。 |
STOXX600 | 543.35 | -8.11 (-1.47%) | 債券利回り上昇と財政不安で広範売り。 |
債券
国 | 10年利回り | 前日比(bp) | コメント |
---|---|---|---|
米国 | 4.28 % | +2 | リスクセンチメント悪化と供給観測でじり高。 |
ドイツ | 2.75 % | +3 | 欧州財政・インフレ警戒で欧州金利も上昇。 |
日本 | 1.61 % | -2 | 入札通過後の需給と政策据え置き観測で小反落。 |
為替
- USD/JPY 147.20(+0.26%):米金利上昇を背景にドル高優位。
- EUR/USD 1.1680(-0.20%):欧州景気不安・金利上昇のクロスでユーロ軟化。
- USD/CNY 7.1470(+0.02%):当局ガイダンス下の狭いレンジ推移。
コモディティ
品目 | 終値 | 前日比 | ドライバー |
---|---|---|---|
WTI原油 | $63.40/bbl | -1.86% | 金利上昇と需要見通し鈍化で反落。 |
Brent原油 | $67.40/bbl | -1.78% | 欧州経済不安とリスクオフで軟化。 |
天然ガス | $2.75/MMBtu | -1.43% | 在庫・天候要因見合いの戻り売り優勢。 |
金(現物) | $3,505.00/oz | +2.60% | 政策不確実性とヘッジ需要で史上高値圏。 |
銀 | $39.50/oz | +2.54% | 金高追随と工業需要観測の支援。 |
銅 | $4.38000/lb | -0.57% | マクロ不透明感と在庫増観測で上値重い。 |
クリプト
- ビットコイン $111,980.00(-0.83%):リスクオフと金高の併存で上値重い。
- イーサリアム $4,560.00(-0.61%):アルト含む広範調整も基調は高値圏。
マクロイベント焦点(今後3–4営業日)
- 2025/09/03(水)米・JOLTS求人(7月)—労働需給の緩み度合いの点検
- 2025/09/04(木)米・新規失業保険申請件数—雇用の減速シグナルの確認
- 2025/09/04(木)ユーロ圏・小売売上(7月)—内需の持ち直し度合いの検証
- 2025/09/05(金)米・ISM非製造業(8月)—需要の粘りと価格指数の趨勢確認
インサイトまとめ
- 金利上昇×政策不確実性 の再燃局面、株式はベータ抑制・クオリティ/ディフェンシブの相対優位継続。
- 米10年は4.3%近傍の上値試し、中期デュレーションの段階積み増し 有効。
- 為替は__ドル高優位の戻り__、ドル円は147台後半の戻り売り・146台後半の押し目拾いのレンジ戦略。
- コモディティは__原油の戻り売り×金の押し目買い__ のペア構築、インフレ期待の再上振れにはヘッジ縮小で機動対応。
- クリプトはボラ高止まり、サイズ抑制の回転 とBTC相対強の維持を基本方針。