このサイトは、私(@mifsee)が個人的に学びながら企業分析や銘柄分析を進め、その成果をまとめたものです。
あくまで私の個人的な分析記録であり、内容には誤りや実際と異なる情報が含まれているかもしれません。ご覧になる場合は予めご了承ください。
はじめに
これまで市場は、エヌビディアをはじめとする半導体やサーバーといったAIを支える基盤に注目してきました。しかし、次のステージとして、これらの技術を活用してどのような革新的なサービスが生まれるのかが焦点になりつつあります。
その中でも、特に注目を集めているのが、AIの驚異的な進化とともに高まるセキュリティのリスクです。AIの利便性が増す一方で、それが悪用されるリスクも大きくなっています。企業には、これらのリスクを未然に防ぐための取り組みがますます求められています。
サイバーセキュリティは、今後の成長が確実視される分野です。
ここでは、私自身がセキュリティ関連銘柄を選択する上で、調査した先進的な技術と高い成長ポテンシャルを持つサイバーセキュリティ銘柄をピックアップします。
サイバーセキュリティ市場は、なぜ急成長しているのか?
サイバーセキュリティ市場が急成長している理由は、以下の要因が影響しています。
デジタル化の加速
デジタル化の加速がサイバーセキュリティ市場の成長を後押ししています。
企業や政府、個人が日常的に利用するデジタルツールやインフラの拡大に伴い、サイバー攻撃のリスクも増大しています。リモートワークの普及やクラウドコンピューティングの利用が拡大する中で、これらのシステムを保護するためのセキュリティ対策がますます重要になっています。
また、IoT(モノのインターネット)デバイスの増加により、ネットワークに接続される機器の数が急増し、これもセキュリティリスクの要因となっています。
サイバー攻撃の増加と複雑化
サイバー攻撃の増加とその手口の複雑化も、市場の成長を促しています。
過去数年でランサムウェア攻撃やフィッシング攻撃などのサイバー攻撃が急増し、その手法も高度化しています。攻撃者はAIを駆使して新たな攻撃方法を開発し、防御側もこれに対応するために最新の技術とソリューションを求めています。このような背景から、サイバーセキュリティ企業はより高度な防御策を提供する必要があり、市場が拡大しているのです。
規制と法的要件の強化
多くの国や地域でサイバーセキュリティに関する規制が強化されていることも、成長の一因です。
欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)や米国のCISA(サイバーインフラストラクチャセキュリティ庁)など、データ保護とサイバーセキュリティに対する法的要件が厳格化されており、企業はこれに対応するためのソリューションを導入する必要に迫られています。
AIと先端技術の導入
AI(人工知能)や機械学習技術の進化により、サイバーセキュリティ対策も高度化しています。AIは大量のデータから異常な行動をリアルタイムで検出する能力があり、従来の防御策では検出できなかった攻撃を識別することが可能です。
このため、サイバーセキュリティ企業は新しい脅威に対しても迅速に対応できるようになり、需要が増大しています。
国家間のサイバー戦争と地政学リスク
国家間でのサイバー戦争や地政学的な緊張も、サイバーセキュリティ市場の成長に寄与しています。国家主導のサイバー攻撃やインフラへのサイバー攻撃のリスクが高まる中、各国政府や企業は防御体制を強化する必要性に迫られ、セキュリティ対策の需要が一層増しています。
デジタル資産と仮想通貨の台頭
仮想通貨やデジタル資産の普及も、サイバーセキュリティ市場の成長要因となっています。デジタル通貨の取引や保有には、高度なセキュリティが必要であり、これが市場の成長を後押ししています。
これらの要因が相まって、サイバーセキュリティ市場は急速に成長しており、今後もデジタル化の進展とともに、市場の拡大が続くと予想されています。
AIの急成長でもたらす新たなセキュリティの脅威とは
AI技術の発展は多くの分野で革新をもたらしていますが、それと同時にサイバーセキュリティの新たな課題も生み出しています。
AIを悪用した高度なサイバー攻撃
AI技術の進化により、攻撃者は従来よりも高度で巧妙なサイバー攻撃を実行できるようになっています。たとえば、AIを活用したフィッシング攻撃では、ターゲットの行動パターンや嗜好を学習し、その情報に基づいてより個別化された攻撃を仕掛けることが可能です。
このように、フィッシングメールの成功率が向上し、より多くの情報が盗まれるリスクが高まっています。
また、AIを使った「自動攻撃」も増加しています。
AIはネットワークの脆弱性を自動で探索し、短時間で大量の攻撃を実行することができます。このような攻撃は、高速かつ広範囲で行われるため、防御側が対応するのが非常に難しくなります。
さらに、日本ではこれまで日本語の特殊性が詐欺的な攻撃のハードルとなっていましたが、AIの言語処理能力の飛躍的な向上により、外国人でも流暢な日本語を使った攻撃が可能になり、詐欺やサイバー攻撃のリスクが一層高まることが懸念されています。
ディープフェイク技術の悪用
AIによって生成された偽の画像や動画、音声、いわゆる「ディープフェイク」は、サイバーセキュリティにおいて新たなリスクを生み出しています。
ディープフェイク技術は、著名な人物の顔や声を偽造して、詐欺や情報操作を行うために利用されることがあります。
例えば、経営者の顔や声を模したディープフェイク動画を使って、従業員に偽の指示を出し、機密情報を引き出すといった攻撃が可能です。
このような攻撃は、従来の防御策では検出が困難であり、AI自身を使ったディープフェイクの検出技術が求められていますが、それでも完全な防御は難しいとされています。
AIモデルに対する攻撃(敵対的攻撃)
AIシステム自体を標的にした攻撃も増えています。敵対的攻撃(Adversarial Attack)と呼ばれる手法では、AIの学習データに微小な変更を加えることで、AIモデルが誤った判断を下すように仕向けます。
例えば、画像認識AIに対して、人間には認識できない微細なノイズを画像に加えることで、AIがその画像を全く別の物として誤認するように仕向けることができます。
このように、AIの予測精度を低下させたり、誤った動作を引き起こしたりすることが可能です。
AIを用いた脆弱性の探索とエクスプロイト
AIは、大量のデータを解析し、ネットワークやシステムの脆弱性を効率的に探し出すことができます。この技術は、本来であればセキュリティ強化のために使用されるべきものですが、悪意のあるハッカーが同様の技術を使って脆弱性を発見し、攻撃に利用するケースが増えています。
AIによって自動的に生成された攻撃コードやエクスプロイト(脆弱性を利用するための手法)は、人間が手動で行うよりも迅速で広範囲に影響を及ぼす可能性があります。
AIの急成長により、サイバーセキュリティの分野には新たな脅威が登場しています。これらの新たな脅威に対応するためには、AI技術を利用した防御策の強化や、新たなセキュリティ戦略の構築が不可欠です。
サイバーセキュリティの分野はどのようなものがある?
サイバーセキュリティ関連銘柄は、事業内容や提供するサービスの種類によっていくつかのカテゴリに分けることができます。
ネットワークセキュリティ
ネットワークセキュリティ企業は、企業や個人のネットワークの安全性を保つためのソリューションを提供しています。これには、ファイアウォール、VPN(仮想プライベートネットワーク)、侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)などが含まれます。
クラウドセキュリティ
クラウドセキュリティ企業は、クラウド環境でのデータ保護やアプリケーションのセキュリティ対策を提供しています。クラウドの利用が増える中で、これらの企業はデータの暗号化、アクセス制御、脅威検知といったサービスを強化しています。
エンドポイントセキュリティ
エンドポイントセキュリティ企業は、PCやスマートフォン、サーバーなどの個々のデバイスを保護するためのソフトウェアやサービスを提供しています。これには、ウイルス対策ソフトウェア、マルウェア検出、データ暗号化ソリューションが含まれます。
アイデンティティとアクセス管理(IAM)
IAM企業は、ユーザーの認証とアクセス権管理を強化するためのソリューションを提供します。これにより、正しいユーザーのみがシステムやデータにアクセスできるようにします。
データセキュリティと暗号化
データセキュリティ企業は、データの漏洩や不正アクセスを防ぐための暗号化技術やデータ損失防止(DLP)ソリューションを提供します。これらの企業は、データの保護に特化しており、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境でのセキュリティニーズに対応しています。
脅威インテリジェンスとセキュリティオペレーションセンター(SOC)
これらの企業は、サイバー攻撃の脅威情報を収集し、予測分析やリアルタイムでの脅威対応を提供するサービスを行っています。多くの場合、セキュリティオペレーションセンター(SOC)を運営し、顧客に24時間365日の監視サービスを提供しています。
サイバーセキュリティコンサルティング
コンサルティング企業は、サイバーセキュリティの専門知識を持ち、企業に対して戦略的なアドバイスや実装支援を提供します。これには、リスク評価、規制コンプライアンス、インシデントレスポンス計画の策定が含まれます。
これらのカテゴリにより、サイバーセキュリティ関連銘柄の多様性が理解でき、それぞれの企業がどの分野に特化しているかを把握することができます。投資家は自分の投資戦略に最も適したカテゴリに焦点を当てることが可能です。
サイバーセキュリティ業界の規模と成長性は?
業界の規模
サイバーセキュリティ業界は、2023年時点で約1,730億米ドル(約23兆円)とされています。
この市場は、企業、政府機関、個人のデータやシステムを守るために、さまざまなソリューション(ネットワークセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、クラウドセキュリティ、アイデンティティ管理など)を提供する企業によって支えられています。
特に、AIや機械学習を活用した新しい技術の導入により、サイバーセキュリティの需要は年々増加しています。
成長予測
サイバーセキュリティ市場は、2024年から2029年までに年平均成長率(CAGR)11.2%で成長すると予測されており、2029年には市場規模が約3,030億米ドル(約40兆円)に達すると見込まれています。
この急成長の要因には、リモートワークの普及、クラウドサービスの急速な採用、IoT(モノのインターネット)の増加、サイバー攻撃の巧妙化と頻発化が挙げられます
業界別の成長分野
- クラウドセキュリティ: クラウドへの移行が進む中で、クラウドセキュリティの需要は急増しています。特にSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)など、クラウドベースのサービスに対応するためのセキュリティソリューションが求められています。
- エンドポイントセキュリティ: リモートワークの普及に伴い、個々のデバイス(エンドポイント)を守るためのセキュリティが必要不可欠となっています。
特にゼロトラストセキュリティモデルの採用が進む中で、エンドポイントの保護が注目されています。 - AIと自動化: AIを活用した脅威検出と応答の自動化が進んでおり、これによりセキュリティの効率と精度が向上しています。これらの新しい技術に対する投資は今後も増加する見込みです。
サイバーセキュリティ市場は、急速な成長を続けており、AIの進化、リモートワークの普及、クラウドサービスの拡大、サイバー攻撃の増加により、今後も高い成長が期待されています。
サイバーセキュリティ関連銘 (米株)
サイバーセキュリティの関連銘柄の中で、個人的に注目している銘柄を挙げます。
パロアルト・ネットワークス【PANW】
企業の強みと特徴
パロアルト・ネットワークスは、世界的なサイバーセキュリティリーダーとして、ネットワークセキュリティ、クラウドセキュリティ、セキュリティオペレーションにおいてAI駆動型の先進的なソリューションを提供しています。
同社の「Precision AI」技術は、精度の高い脅威検出と迅速な対応を可能にし、誤検知を最小限に抑えることでセキュリティの効果を最大化しています。また、さまざまなセキュリティソリューションを統合し、管理を簡素化し、包括的な保護を提供することで、企業のゼロトラストセキュリティの実現を支援しています。
パロアルトは、デジタルトランスフォーメーションを進める企業にとって不可欠なパートナーとなっています。
注目を集める理由
パロアルトは2024年度の売上が前年比16%増の80億ドルに達し、堅調な成長を続けています。特に「次世代セキュリティ」(Next-Generation Security)部門の年次再生収益(ARR)が前年比43%増の42億ドルに達し、クラウドやAI技術を活用したセキュリティソリューションへの需要の高まりが反映されています。
この成長は、企業のセキュリティニーズの多様化と高度化に対応する戦略的な取り組みが成功していることを示しています。
財務状況や成長性
2024年度の最終収益は前年比16%増の80億ドル、営業利益は約6億8,390万ドルに達しています。特に「次世代セキュリティ」ポートフォリオが全体の収益に大きく貢献しており、将来的にも収益の主なドライバーとなると見込まれています。
さらに、2025年度の売上成長見通しも高く、引き続き市場での成長が期待されています。
クラウドストライク・ホールディングス【CRWD】
企業の強みと特徴
CrowdStrikeは、AIを駆使したクラウドベースのセキュリティプラットフォーム「Falcon」で、リアルタイムの脅威検出と防御を提供します。同社はDellなどのパートナーシップを通じて影響力を拡大し、さらに「Falcon Data Protection」や「Charlotte AI」など新製品をリリースすることで、成長市場での競争力を強化しています。
注目を集める理由
クラウドストライクは2024年度に前年比33%増の売上を記録し、収益性と成長性を兼ね備えています。年間リカーリング収益の増加が見込まれ、特にAIネイティブのプラットフォームが市場に受け入れられていることが投資家の関心を集めています。また、Fortune Future 50で第3位にランクされるなど、将来性の高い企業と評価されています。
財務状況や成長性
2025年度の売上ガイダンスは39億から40億ドルの範囲で設定されており、引き続き成長が予測されています。さらに、営業利益(Non-GAAPベース)も約8億6,360万から9億1,300万ドルが見込まれ、同社の利益拡大が続く見通しです
しかし、2024年7月に発生したソフトウェア・アップデートの欠陥により、世界的なシステム障害が発生し、同社の株価は一時的に大幅に下落しました。
このインシデントにより、セキュリティプラットフォームの信頼性に対する懸念が浮上していますこれらの影響が今後どの程度改善されるかを注視する必要があります。システムの安定性回復と信頼回復に向けた対応が、今後の株価パフォーマンスの鍵となるでしょう。
センチネル・ワン【S】
企業の強みと特徴
センチネル・ワンは、AIを駆使したサイバーセキュリティプラットフォーム「Singularity」で、組織のエンドポイント、クラウドワークロード、アイデンティティにわたる自動脅威防止、検出、対応機能を提供しています。
同社の技術は、高度な脅威に対して迅速かつ効果的に対応できる自動化された保護を提供し、幅広い顧客層から支持されています。
注目を集める理由
2024年度には、売上が前年比47%増の6億2,120万ドルに達し、業界平均を上回る成長を遂げました。また、年間リカーリング収益(ARR)は39%増の7億2,440万ドルとなり、顧客基盤の拡大と市場浸透が進んでいることが示されています。
特に、初めて四半期でプラスのフリーキャッシュフローを達成し、投資家の期待を高めています。
財務状況や成長性
センチネル・ワンは、財務指標の改善に注力し、営業損失を縮小しつつ高い成長を続けています。今後も市場での成長が期待され、特に新規顧客の獲得と既存顧客との関係強化により、引き続き収益基盤を拡大していくと予測されています。
クリア・セキュア【YOU】
企業の強みと特徴
クリア・セキュアは、バイオメトリクス技術を活用して、空港やスポーツ会場などで迅速かつ安全な身分認証サービスを提供しています。
同社は、「フリクションレス(摩擦のない)体験」を重視し、アイデンティティ管理の効率化に特化しています。また、同社はTSA PreCheckとの連携などにより、さらに多くの場所での利用拡大を進めています。
注目を集める理由
2024年第2四半期の収益は前年同期比で25%増の1億8,670万ドル、純利益は2,410万ドルと大幅に改善しました。これにより、同社の株価は投資家の期待を集めています。特に、旅行やイベントの回復に伴う市場需要の増加が成長の要因となっています。
財務状況や成長性
クリア・セキュアの財務状況は順調で、収益と利益の両方で強い成長を見せています。利益率も13%に向上し、フリーキャッシュフローも改善されており、今後の成長が期待されています。
CACIインターナショナル【CACI】
企業の強みと特徴
CACIインターナショナルは、主に米国政府向けに専門知識と技術を提供する企業で、国家安全保障や政府のモダナイゼーションを支援しています。
特に、AIとサイバーセキュリティソリューションに注力し、独自の技術力で差別化を図っています。優れた社員と革新性、長年の実績により、フォーチュン誌の「世界で最も称賛される企業」にも選ばれています。
注目を集める理由
2024年度の売上高は前年比14%増の77億ドル、純利益は4億1,990万ドルで、安定した成長を示しています。特に、新規契約の増加や米国政府との強固な関係が同社の収益拡大を支えています。投資家にとって魅力的な点は、安定したキャッシュフローと、今後の成長を見据えた高い収益性です。
財務状況や成長性
2024年度の営業利益は前年比16.9%増で、成長が続いています。キャッシュフローも安定しており、今後も市場での地位を強化し続けることが期待されています。
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ【CHKP】
企業の強みと特徴
Check Point Software Technologiesは、AIを活用したクラウドベースのセキュリティソリューションを提供する世界的なリーダーです。同社はネットワーク、クラウド、エンドポイント全体を保護する包括的なセキュリティアーキテクチャを構築し、企業がサイバー攻撃から安全でいるための最先端技術を提供しています。
注目を集める理由
2024年第2四半期の売上は6億2,740万ドルで前年比6.6%増加し、安定した成長を示しています。EPS(1株あたり利益)は2.17ドルで、市場予想を上回りました。また、今後のEPS成長率は10.6%と見込まれており、投資家の注目を集めています。
財務状況や成長性
過去1年間で1株あたり7.20ドルの利益を計上し、2024年度の成長が見込まれています。今後の収益予測の改善と堅調な財務パフォーマンスが、引き続き関心を引いています。
バロニス・システムズ【VRNS】
企業の強みと特徴
バロニス・システムズは、企業のデータ管理とセキュリティに特化したソフトウェアソリューションを提供する企業です。特に、エンタープライズデータの可視性、アクセス制御、データ漏洩の防止に優れた技術を持っています。
最近では、SaaS(Software as a Service)への移行を進めており、データセキュリティの強化を自動化する新しいソリューションを展開しています。
また、AWS(Amazon Web Services)におけるデータセキュリティ強化のための自動化ツールを導入し、顧客のデータ漏洩リスクを未然に防ぐ新たな機能を提供しています。
注目を集める理由
2024年の第2四半期において、Varonis Systemsは年次再生収益(ARR)が前年同期比18%増の5億8,420万ドルに達し、SaaS収益の割合が急増しています。収益は1億3,030万ドルで前年同期比13%増加し、アナリストの予測を上回りました。
また、データセキュリティと自動化ソリューションの強化が顧客から高く評価され、SaaSプラットフォームへの移行が順調に進んでいることが、今後の成長のカギと見られています。
財務状況や成長性
バロニスの2024年度の財務指標は、引き続き堅調です。同社は第2四半期において、営業利益が前年の90万ドルから210万ドルに増加しました。年間フリーキャッシュフローも4,000万ドルから6,730万ドルに増加し、キャッシュフローの改善が目立ちます。
また、今後の見通しとして、2024年の年間収益は5億4,400万ドルから5億5,200万ドルの範囲で成長すると予測されており、引き続き強い成長が期待されています。
これらの指標と戦略的な転換は、Varonisが今後もデータセキュリティ市場での地位を強化し続けるための重要な要素となっています。
サイバーアーク・ソフトウェア【CYBR】
企業の強みと特徴
サイバーアーク・ソフトウェアは、アイデンティティセキュリティのリーダーであり、人間と機械の両方のアイデンティティを保護するための包括的なセキュリティソリューションを提供しています。同社は、特権アクセス管理(PAM)において強力な地位を占めており、重要な資産を保護するために必要なアクセス制御を実現しています。
最近では、AIを活用した「CyberArk CORA AI」など新しいセキュリティ製品を導入し、アイデンティティ脅威検出と対応を強化しています。また、Venafi社の買収により、機械のアイデンティティ管理分野での能力をさらに拡充する予定です。
注目を集める理由
2024年第2四半期の売上は前年比28%増の2億2,470万ドルに達し、すべての指標でガイダンスを上回る成績を収めました。特にサブスクリプション収益は前年比49%増の1億5,840万ドル、年間再生収益(ARR)は前年比33%増の8億6,800万ドルと、強い成長を示しています。
また、サブスクリプション部分のARRは50%増加し、将来の成長性が高いことが確認されています。これらの業績は、同社のプラットフォームへの顧客の信頼と「ラン・アンド・エクスパンド(顧客基盤の拡大)」戦略の成功を反映しています。
財務状況や成長性
2024年の通年ガイダンスでは、売上が9億3,200万ドルから9億4,200万ドルの範囲で成長する見通しで、前年比24%から25%の増加を見込んでいます。非GAAPベースの営業利益は1億750万ドルから1億1,650万ドル、年間フリーキャッシュフローは1億4,500万ドルから1億5,500万ドルが予測されています。
これらの指標は、同社が引き続き高い収益性と成長性を保持していることを示しており、アイデンティティセキュリティの需要が今後も増大すると予想されています。
これらの要素から、サイバーアークは注目を集めています。特にアイデンティティ保護の重要性が増す中で、同社の戦略と技術が評価されています。
フォーティネット【FTNT】
企業の強みと特徴
フォーティネットは、ネットワーキングとセキュリティの融合をリードする世界的なサイバーセキュリティ企業です。同社の「FortiGate」シリーズのファイアウォールや、「Unified SASE(Secure Access Service Edge)」ソリューションを含む包括的な製品ポートフォリオは、企業のネットワーク全体をシームレスに保護します。
特に、セキュリティとネットワーク機能を統合するための革新的なアプローチにより、幅広い顧客層から信頼を得ています。Fortinetは、ガートナーのマジック・クアドラントで複数のカテゴリでリーダーに選ばれており、その技術力と市場の地位を強化しています。
注目を集める理由
フォーティネットの2024年第2四半期の収益は14.3億ドルで、前年同期比で10.9%増加しました。サービス収益は19.8%増の9.82億ドルとなり、製品収益はわずかに減少しましたが、全体の成長は堅調です。
また、GAAPベースの営業利益率は30.5%と、前年同期の21.6%から大幅に改善しました。非GAAPベースの営業利益率も35.1%と、前年同期の26.9%から大幅に向上しています。
これらの成績は、同社が効率的に成長と収益性のバランスを取っていることを示しています。
財務状況や成長性
フォーティネットは、2024年第2四半期のフリーキャッシュフローが3億1,890万ドル、運用キャッシュフローが3億4,200万ドルであることを報告しており、依然として強固な財務状況を維持しています。
また、2024年度の売上予測は58億〜59億ドルの範囲で、サービス収益の増加が主な成長ドライバーとされています。同社は、今後もUnified SASEとセキュリティオペレーション市場での投資を継続し、市場シェアの拡大を目指しています。
サイバーセキュリティ関連で人気のETFは?
サイバーセキュリティ関連の個別銘柄に投資する場合、企業の成長によって高いリターンを期待できる一方で、業績の低迷や不測のインシデント(例えば、CrowdStrikeのような世界的に影響を及ぼすリスク)などが発生する可能性もあり、リスクが高くなることがあります。
そのようなリスクを抑えつつ、サイバーセキュリティ業界全体の成長を享受するためには、ETF(上場投資信託)への投資が効果的です。ETFを利用することで、個別の銘柄リスクを分散しながら、業界全体の成長ポテンシャルを活用することができます。
以下に、サイバーセキュリティ関連の主なETFをいくつか紹介します。どのETFもパフォーマンスに大きな差はありませんが、選ぶ際には経費率が低く、配当利回りが高めのもの(例えば、CIBR)を選ぶのが安全と言えるでしょう。
ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティETF 【CIBR】)
- 概要: CIBRは、NASDAQ CTAサイバーセキュリティインデックスに連動するETFで、サイバーセキュリティ関連の企業に特化して投資しています。主要な保有銘柄には、CrowdStrike、Palo Alto Networks、Fortinetなどが含まれます。
- 特徴: 約40〜50銘柄で構成され、多様な企業に分散投資しています。CIBRは、特に成長性の高い企業に焦点を当てており、AIやクラウドセキュリティの革新を進める企業への投資を重視しています。
- 配当利回り: 約1.02%
- 経費率: 0.60%
グローバルXサイバーセキュリティETF【BUG】
- 概要: BUGは、Indxx Cybersecurity Indexに基づいて投資を行い、サイバーセキュリティに特化した企業を中心に構成されています。主な保有銘柄には、Zscaler、CrowdStrike、Oktaなどが含まれます。
- 特徴: 比較的新しいETFですが、急速に人気を集めています。主に、サイバー攻撃に対する防御ソリューションを提供する企業や、クラウドベースのセキュリティプロバイダーに投資しています。
- 配当利回り: 約0.30%
- 経費率: 0.50%
iシェアーズ・サイバーセキュリティ・アンド・テクノロジーETF【IHAK】
- 概要: IHAKは、NYSE FactSet Global Cyber Security Indexを追跡し、サイバーセキュリティ関連の企業に幅広く投資します。主要な保有銘柄には、Fortinet、Check Point Software Technologies、NortonLifeLockなどがあります。
- 特徴: グローバルなテクノロジー企業にも投資しているため、サイバーセキュリティ以外のテクノロジー企業の成長も取り込みつつ、サイバーセキュリティ市場の成長を狙うETFです。
- 配当利回り: 約0.45%
- 経費率: 0.47%
ウィズダムツリー・サイバーセキュリティ・ファンド【WCBR】
- 概要: WCBRは、WisdomTree Team8 Cybersecurity Indexに連動するETFで、主にサイバーセキュリティに関連する中小型企業に投資しています。Rapid7やVaronis Systemsなどが主要な保有銘柄です。
- 特徴: 革新的な中小企業に焦点を当てており、高成長が期待される企業への投資を行うことで、リスクとリターンのバランスを取っています。
- 配当利回り: 配当なし
- 経費率: 0.45%
サイバーセキュリティの関連銘柄(日本株)
私は日本株に関してはほとんど投資をしていませんが、一部のセキュリティ関連で注目している銘柄があります。これらの企業は、技術力や成長性で優れており、今後の市場動向をウォッチする価値があると感じています。
網屋【4258】
企業の強みと特徴
網屋は、日本国内に拠点を置くサイバーセキュリティ企業で、主に「データセキュリティ事業」と「ネットワークセキュリティ事業」に特化しています。データセキュリティ事業では、サーバアクセスログ管理製品「ALog」シリーズが主力で、国内市場でトップシェアを維持しています。また、ネットワークセキュリティ事業では、クラウドベースで通信インフラを構築・制御するサービスを提供し、人手を介さずにセキュリティを管理できる点が特徴です。
網屋は、2024年度にオールサブスクリプションモデルを導入し、ライセンス販売からサブスクリプションへの移行を進めており、これによりストック収益を拡大しています。特に、AIを活用した自動化技術を強化することで、サイバーセキュリティの自動化分野におけるリーダーシップを狙っています。
注目を集める理由
網屋は、2024年度第2四半期の業績で前年比3%の増益を達成し、過去最高の売上高と営業利益を記録しました。特に、サブスクリプションモデルへの移行により、ARR(年間リカーリング収益)は前年比で30%増加し、成長を続けています。また、同社の製品である「ALog」がサイバー攻撃対策のニーズ拡大を背景に好調で、引き合いが増えているようです。
財務状況や成長性
2024年度第2四半期では、網屋の純利益は前年同期比で増加し、業績予想の進捗率は70%達しています。同社は引き続き、データセキュリティおよびネットワークセキュリティ事業の拡大に注力しており、ARRをさらに増加させる計画です。また、自己資本比率も高く、積極的な投資を通じて将来的な成長を目指しています。
株価(4528)チャートを見る(Yahoo!JAPAN ファイナンス)
FFRIセキュリティ【3692】
企業の強みと特徴
FFRIセキュリティは、日本のサイバーセキュリティ分野で研究開発とコンサルティングを行う企業です。主にコンピュータセキュリティ製品の研究・開発、販売、メンテナンス、教育を手がけており、サイバーセキュリティ関連の幅広いソリューションを提供しています。
同社は、特にゼロデイ攻撃に対する脅威の検出技術と防御策に強みを持ち、日本国内外での顧客基盤を拡大しています。また、特許や著作権の取得、管理も積極的に行い、技術の差別化を図っています。
注目を集める理由
FFRIセキュリティは、2024年度の売上が前年比25.31%増の25億4,000万円に達し、収益性が向上しています。特に、過去1年間で利益が157.6%増加し、純利益が4億5,600万円となりました。
この急成長は、同社の高度なセキュリティ技術への需要が高まっていることを反映しています。
また、政府機関や大手企業との契約が増え、サイバー攻撃に対する防御策の提供が進んでいるため、今後も成長が見込まれています。
財務状況や成長性
FFRIセキュリティの2024年度の財務状況は堅調で、EPS(1株あたり利益)は57.65円、純利益率は17.93%と高い水準を維持しています。また、同社は無借金経営を続けており、財務健全性が高いことも評価されています。2025年第1四半期の決算では、前年同期の4.05円の損失から1.01円の損失に縮小し、収益改善の兆しが見えています。
特に、サイバーセキュリティへの関心が高まる中で、さらなる成長が期待されています。
株価(3692)チャートを見る(Yahoo!JAPAN ファイナンス)
ボードルア【4413】
企業の強みと特徴
ボードルアは、ITソリューション分野で成長を続ける日本の企業で、特にネットワークセキュリティおよびクラウドソリューションに強みを持っています。
同社は、高度なサイバー攻撃に対する防御技術を開発し、企業のデータやネットワークの安全性を確保するための包括的なセキュリティサービスを提供しています。ボードルアのサービスは、特に中小企業や地方自治体のセキュリティ対策の強化に貢献しており、その技術力は業界内で高く評価されています。
注目を集める理由
2024年度の業績では、ボードルアは9月期第3四半期で前年同期比62%の経常利益増加を達成しました。また、9月から11月期も34%の増益を記録しており、非常に堅調な成長を示しています。
特に、政府機関や地方自治体向けのサイバーセキュリティ需要の高まりを背景に、同社の製品とサービスの需要が増加していることが、収益増加の要因となっています。
財務状況や成長性
2024年度の連結売上高は前年比27.52%増の69億3912万円となり、純利益も安定的に増加しています。同社は自己資本比率を61.3%と高水準に維持しており、財務の健全性が確保されています。
また、のれんの増加(+153.72%)からも、戦略的な買収や技術投資を通じた成長が期待されていることがうかがえます。さらに、2024年のキャッシュフロー改善も見られ、企業の成長ポテンシャルが高いことを示唆しています。
株価(4413)チャートを見る(Yahoo!JAPAN ファイナンス)
グローバルセキュリティエキスパート【4417】
企業の強みと特徴
グローバルセキュリティエキスパート(GSE)は、日本のサイバーセキュリティ企業で、特に企業や政府機関向けに高度なセキュリティソリューションとコンサルティングサービスを提供しています。同社の強みは、セキュリティ教育や運用支援の専門性にあります。
また、独自のセキュリティ対策を組み込んだサービスを展開し、官民ともに信頼を得ています。特に中小企業や地方自治体においては、コスト効率の高いセキュリティソリューションが支持されています。
注目を集める理由
2024年4月から6月の第1四半期において、グローバルセキュリティエキスパートの経常利益は前年同期比で32%増の2.4億円に達しました。売上高も前年同期比25%増で、過去最高を記録しています。
この増益の背景には、サイバー攻撃に対する警戒感が高まる中での企業や自治体からの需要増があり、同社の提供するセキュリティサービスが広く利用されていることが大きな要因となっています。
財務状況や成長性
グローバルセキュリティエキスパートの2025年3月期の業績予想では、売上高88億円(前年の70億円から増加)、営業利益15.8億円、純利益10.3億円と、すべての指標で前年を上回る見込みです。
このように、同社は引き続き高い成長を続けており、業績も安定しています。さらに、コスト管理の徹底によって利益率の向上も実現しています。
株価(64417)チャートを見る(Yahoo!JAPAN ファイナンス)
JBCCホールディングス【9889】
企業の強みと特徴
JBCCホールディングスは、日本の情報技術(IT)サービスプロバイダーで、企業向けにITコンサルティング、システムの設計・構築、運用・保守などの総合的なサービスを提供しています。
同社は、クラウドソリューション、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サイバーセキュリティの分野で強みを持ち、特に中小企業や公共機関向けのITサービスで信頼を得ています。近年は、クラウドサービスの拡大とセキュリティサービスの強化に注力し、事業を拡大しています。
注目を集める理由
2024年度の第1四半期の決算では、JBCCホールディングスの売上高が前年同期比で11%増の181億円となり、純利益は32%増の11.2億円を記録しました。営業利益率も前年同期の5.2%から6.2%に改善しており、収益性の向上が見られます。
同社の収益成長は、主にクラウドサービスやデジタル化のニーズの高まりによるもので、今後もITサービス需要の増加が見込まれています。
財務状況や成長性
2024年度通期の業績では、売上高が前年比12%増の652億円、純利益が19%増の31.9億円となり、いずれも予想を上回る成長を達成しました。しかし、売上とEPSはアナリスト予想を若干下回り、EPS(1株当たり利益)は203円となっています。
今後3年間の平均成長率は年8.2%と予測されており、これは日本のIT業界全体の平均成長率5.0%を上回っています。これらの数値は、同社が安定した成長基盤を持ち、今後も成長が期待できる企業であることを示しています。
株価(9889)チャートを見る(Yahoo!JAPAN ファイナンス)
まとめ
サイバーセキュリティの投資テーマとしての魅力や成長性、投資対象となる個別銘柄、ETF、日本株について見てきました。セキュリティ関連銘柄にはさまざまな選択肢がありますが、どの銘柄に投資するかは悩ましいところです。
私は個人的にこれまで、パロアルト・ネットワークスとクラウドストライクに投資してきましたが、現在はクラウドストライクの投資を一旦手仕舞いし、再投資のタイミングを見計らっている状況です。
ただし、セキュリティ分野は、AIの成長やテクノロジーの進化とともに今後も必要とされる分野であり、長期的な投資ポートフォリオに組み入れておくことが望ましいと考えています。そのため、「CIBR」などのセキュリティ関連ETFを、定期的に積み立てていくことも視野に入れています。