2026:Q2 2026/08/04 発表(寄り前)
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ASPI 2026年Q2決算:PET LabsとRenergenが「利益化の起点」に、ヘリウム市場の逼迫が事業機会に
ASPIの決算ハイライト
今回の株主向けレターは業績数値そのものよりも、複数の事業部門が同時に商業化の入口に差し掛かっていることを伝える内容になっている。PET Labsは2026年上半期に前年同期比50%超の有機成長を記録し、通期売上高は約1,400万ドルへ拡大する見通しだ。2025年の600万ドルからの伸びであり、既存事業の中では最も進捗が明確な部門といえる。
Renergenのヘリウム事業は2026年9月30日までに生産開始を見込み、フェーズ1完了後の年間換算売上高は約2,700万ドルと想定されている。世界のヘリウム供給の約半分が事実上止まっているとされる異常な市場環境の中で、地政学的に中立な新規供給源として名乗りを上げるタイミングにあることが、今回のレターの核心的なメッセージだ。
一方でシリコン28とイッテルビウム176の enrichment 施設は、旧OEMサプライヤーの機器性能問題によって遅延が続いており、初出荷は2026年後半にずれ込む見通しとなった。会社側は自社のASP技術自体には問題がないと説明しているが、度重なる延期は投資家の忍耐を試す局面が続いていることも事実だ。
抑えておくべきKPI
- PET Labs通期売上高見通し: 約1,400万ドル(2025年の600万ドルから拡大、1H2026は前年同期比50%超の有機成長)
- Renergenヘリウム・LNG想定年間売上高: 約2,700万ドル(フェーズ1完了後、2026年後半から計上見込み)
- フェーズ2想定年間売上高: 名目生産能力達成時に3.6億ドル超(フェーズ1の約13倍の規模、建設期間は約44カ月)
- 長期EBITDA目標: 2031年に3億ドル超(PET LabsとRenergenが中核を担う想定)
インサイト
今回のレターで最も注目すべきは、ヘリウム市場そのものの構造変化がRenergenの商機を後押ししているという点だ。カタール施設の戦争被害、ロシアの輸出規制強化、中国の再輸出制限、米国連邦ヘリウム備蓄の法的受託管理入りといった要因が重なり、業界では塩水洞窟による緩衝在庫が2026年後半には枯渇する可能性が指摘されている。アジアの半導体メーカーの緊急バッファーがほぼ枯渇しているとの報道もあり、Renergenがアジアの産業ガス会社と結んだオフテイク契約(1Mcfあたり600ドル超の基準価格)は、この供給逼迫を反映した価格設定と読める。
他方でシリコン28事業は、8年前に旧OEMが発注したコンプレッサーの仕様不備という、技術以外の要因による遅延が長期化している点はローライトとして無視できない。200台超のコンプレッサーを改修し、48段のカスケードで98%濃縮まで到達しているとの説明はあるが、量子コンピューティング向けに必要な99.995%濃縮にはさらなる段の増設が必要で、商業出荷の確度はまだ実績で確認する段階にある。
QLE(Quantum Leap Energy)に関しては、第三者保有の転換社債の約半分をASPI株式に交換し、ASPIがQLE普通株式の100%を保有する体制を整えたことが、将来的な株主への分配を税務上効率的に進めるための布石として位置づけられている。南アフリカでの濃縮関連認可取得や米国での大手電力会社とのMOU締結など、部門としての進捗は着実に積み上がっている。
今後の見どころ
次の四半期では、Renergenのヘリウム生産が実際に開始されるかどうかが最大の分岐点になる。フェーズ1のオフテイク契約(Phase 1生産能力の50〜75%を長期契約で確保する計画)がどこまで実際に締結されるか、ヘリウム相場の逼迫がどの程度売上に反映されるかを確認したい。
また、シリコン28とイッテルビウム176の商業出荷が2026年後半に本当に実現するかも重要な検証ポイントだ。加えて、ENDRAとのリバースマージンによるNoble Africaのナスダック上場、そしてQLEの単独上場に向けた進捗も、事業のsum-of-the-parts評価を左右する材料として注視が必要だろう。
