このサイトは、私(@mifsee)が個人的に学びながら企業分析や銘柄分析を進め、その成果をまとめたものです。
あくまで私の個人的な分析記録であり、内容には誤りや実際と異なる情報が含まれているかもしれません。ご覧になる場合は予めご了承ください。
- はじめに
- クアンタム・スケープとは何の会社、どのような事業をしている?
- 全固体電池とは?リチウムイオン電池と何が違う?
- クアンタム・スケープが開発する全固体電池の特徴は?
- クアンタム・スケープの会社設立の経緯は?
- 取引市場は?
- 配当は?
- クアンタム・スケープのセクター、業種、属するテーマは?
- クアンタム・スケープが属する業界の規模と成長性
- クアンタム・スケープは再生可能エネルギー分野としても注目されている
- クアンタム・スケープの競合企業は?
- クアンタム・スケープの競合との差別化要素と優位性は?
- クアンタム・スケープの今後の展開
- クアンタム・スケープの業績について
- クアンタム・スケープの現在株価
- クアンタム・スケープの2023年Q2決算報告書の内容
- クアンタム・スケープの2023年Q3決算報告書の内容
- クアンタム・スケープ(QS)の2024年度Q1決算サマリー
- トヨタ自動車の全固体電池開発について
- まとめ
- クアンタムスケープの株を取り扱っている証券会社一覧
はじめに
投資や財務、決算に関する基礎知識がない方(私も含め)にも理解しやすい内容で、全固体電池のスタートアップ企業、クアンタム・スケープ(QS)の企業情報と事業内容、将来性について詳しく見ていきます。
この記事で、クアンタム・スケープ(QS)の事業内容や特徴、今後の株価の見通しの参考として確認していただけます。
クアンタム・スケープとは何の会社、どのような事業をしている?
- クアンタムスケープ(QuantumScape)は、2010年に設立されたアメリカのスタンフォード大学発のスタートアップでEVバッテリー開発企業。
- 企業の主な事業は、固体電解質を使用したリチウム金属電池の開発。
- 電気自動車(EV)のバッテリー技術として注目されている。
- クアンタムスケープのリチウム金属電池は、従来のリチウムイオン電池と比較して高いエネルギー密度を持ち、電気自動車の航続距離を大幅に伸ばすことが可能。
- その電池技術は充電時間の短縮や長寿命化も見込まれている。
- 2020年には特殊目的取得会社(SPAC)を通じてニューヨーク証券取引所に上場した。
- 電気自動車大手のフォルクスワーゲンとのパートナーシップを発表しており、その技術とビジョンが注目を集めている。
クアンタムスケープの企業情報は以下。
- 会社名: クアンタムスケープ(QuantumScape Corporation)
- 設立年月: 2010年
- 代表者名: ジャグディープ・シン(Jagdeep Singh)
- 公式サイト: https://www.quantumscape.com
- 主な事業内容:固体電解質を使用したリチウム金属電池の開発と製造
全固体電池とは?リチウムイオン電池と何が違う?
リチウムイオン電池は、電解質として液体を使用している。
電池を充電または放電するとき、リチウムイオンがこの液体を通って移動します。
しかし、液体電解質は発火のリスクがあるため、安全性の観点から問題がある。
また、液体電解質を使用すると、電池のエネルギー密度(電池の大きさに対するエネルギーの量)が限られてしまう。
一方、全固体電池は、電解質として固体を使用する。リチウムイオンはこの固体を通って移動する。
固体電解質は発火のリスクが低く、安全性が高いとされている。
さらに、固体電解質を使用することで、電池のエネルギー密度を大幅に向上させることが可能。
このため、同じ大きさの電池でも、より多くのエネルギーを蓄えることができる。
リチウムイオン電池と固体電池の主な違いは、「電解質が液体か固体か」であり、これにより「安全性」と「エネルギー密度」に大きな差が生じる。
参考:村田製作所時術記事
全固体リチウム金属電池技術は、普通のリチウムイオン電池と比べて以下の利点がある。
エネルギー密度が高い
全固体電池は、従来のリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を持つ可能性がある。
これにより、電池の容量が増え、電気自動車の航続距離を延ばすことが可能になる。
安全性が高い
全固体電池は、液体電解質を使用するリチウムイオン電池と比較して、短絡や発火のリスクが低いとされる。
電解質が固体であるため、液体電解質が漏れ出すことがなく、また電解質が過熱して発火するリスクも低い。
充電時間の削減
全固体電池は、理論的にはリチウムイオン電池よりも高速に充電できるとされている。固体電解質がイオンの移動をより効率的に行うことが可能であるため。
電池寿命が長い
全固体電池は、固体電解質が電池の劣化を抑制するため、リチウムイオン電池と比較して長寿命であるとされる。
クアンタム・スケープが開発する全固体電池の特徴は?
クアンタムスケープが開発している全固体電池は簡単に言うと、通常、電池にはマイナス極(負極:アノード)とプラス極(陽極:カソード)があり、セパレータによって分割している。
クアンタム・スケープの技術では、アノード構造を必要としない「アノードフリー」という特徴がある。
これは、電池が作られたときにはマイナス側:負極(アノード)が存在せず、電池を初めて充電するときに、その場でアノードが作られる。
これにより、サイズを小さくでき、電池の製造がより簡単になり、コスト削減につながり、さらに電池の性能も向上する。
高エネルギー密度と電池の小型化
クアンタムスケープの全固体電池は、リチウム金属を電極とすることで、従来のリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を実現している。
同じ重さの電池でより長い航続距離を可能にするとともに、電池のサイズを小型化することも可能です。
高速充電
クアンタムスケープの全固体電池は、高速充電を可能にしている。
アノードホスト材料でのリチウム拡散ボトルネックを排除することで、電池の80%を15分で充電することが可能とされている。
長寿命
クアンタムスケープの全固体電池は、アノードインターフェースでの容量損失を排除することで、電池の寿命を大幅に延ばすことが可能。会社のテストでは、800回の充放電サイクル後も、電池の容量が80%以上保持されることが確認されている。
またマイナス30度でも動作可能となっている。
コスト削減
アノードホスト材料と製造コストを排除することで、コストを削減している。
安全性
全固体電池は、液体電解質を使用するリチウムイオン電池と比較して、短絡や発火のリスクが低い。
クアンタムスケープの電池は、不燃性で耐熱性の高いセラミックによる固体電解質(セパレーター)を使用することで、これらのリスクをさらに低減している。
出典:QuamtumScape
クアンタム・スケープの会社設立の経緯は?
- クアンタムスケープは、2010年にJagdeep Singh、Tim Holme、そしてスタンフォード大学のFritz Prinz教授によって設立された。
- 2012年、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンとの協業を開始。
- 2018年、フォルクスワーゲンがクアンタムスケープに1億ドルを投資し、最大の株主となる。
同年、フォルクスワーゲンとクアンタムスケープは全固体電池の大量生産に向けた共同プロジェクトの設立を発表。 - 2020年6月、フォルクスワーゲンが追加で2億ドルを投資。
- 2020年9月3日、クアンタムスケープは特殊目的取得会社(SPAC)であるKensington Capital Acquisitionとの合併を発表し、10億ドルの資金調達を実現。その中にはフォルクスワーゲンとカタール投資庁からの資金も含まれている。
- 合併の結果、クアンタムスケープの株式はニューヨーク証券取引所で「QS」のシンボルで上場。この取引は2020年11月に完了し、バッテリーの量産に向けた資本を調達しました。
- 2020年の最終四半期には、クアンタムスケープは一時的に商業製品がない収益がゼロの状態で、フォード・モーターの評価を上回った。
取引市場は?
- クアンタムスケープの株式は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている。
- ティッカーシンボルは「QS」。
配当は?
現時点では、クアンタムスケープは配当を支払っていない。
これは、多くの成長段階にあるテクノロジー企業が利益を再投資し、事業の拡大を優先するために配当を支払わないという一般的な傾向に一致。
クアンタム・スケープのセクター、業種、属するテーマは?
クアンタムスケープのセクター、業種、および属するテーマは以下の通り。
セクター
クアンタムスケープは、消費者サイクリカル(Consumer Cyclical)セクターに分類される。これは、経済の循環に大きく影響を受ける業種を含むセクターで、自動車産業もその一部。
業種
クアンタムスケープは、自動車部品(Auto Parts)業界に分類される。これは、自動車の製造や修理に使用される部品を製造・販売する企業を含む業界。
属するテーマ
クアンタムスケープは、電気自動車(EV)とエネルギー貯蔵技術のテーマに関連している。
特に、クアンタムスケープの全固体電池技術は、電気自動車の性能向上と普及に大きな影響を与える可能性がある。
クアンタム・スケープが属する業界の規模と成長性
クアンタムスケープが属する全固体電池業界の規模と成長性については、複数の報告により異なる見解がありますが、全体的には高い成長率が見込まれている。
- Allied Market Researchによれば、全球の全固体電池市場は2020年に約5億ドルで、2030年には34億ドルに達すると予測されており、その間の年間成長率(CAGR)は18%と見込まれている。
- Vantage Market Researchによれば、全固体電池市場は2022年に約1億1390万ドルで、2030年には約1301.98億ドルに達すると予測されており、その間の年間成長率(CAGR)は35.60%と見込まれている。
- Markets and Marketsによれば、全固体電池市場は2022年に約5800万ドルで、2028年には約3億1400万ドルに達すると予測されており、その間の年間成長率(CAGR)は32.5%と見込まれている。
- Grand View Researchによれば、全固体電池市場は2020年に約5億9090万ドルで、その後の年間成長率(CAGR)は36.0%と見込まれている。
これらの情報から、全固体電池業界は急速に成長しており、その規模も大きくなると予測されている。
これは、電気自動車の需要増加やエネルギー貯蔵技術の進歩によるもので、クアンタムスケープのような全固体電池技術を開発している企業にとっては大きな機会を示している。
クアンタム・スケープは再生可能エネルギー分野としても注目されている
- クアンタム・スケープは、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏ら世界の資産家33名による、再生可能エネルギー分野の推進や技術開発に投資するファンド「Breakthrough Energy Ventures (BEV) 」の投資先として公開されている。
- BEVは、ビル・ゲイツ氏の他、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏ら、孫正義氏らも賛同している。
クアンタム・スケープの競合企業は?
- Cymbet Corporation:リチウムイオン電池の製造を手掛ける企業で、全固体電池の開発にも取り組んでいます。
- Prieto Battery:3D構造の全固体電池を開発しているスタートアップ企業です。
- BrightVolt:フレキシブルな薄型全固体電池を開発している企業です。
- Factorial Energy:高エネルギー密度の全固体電池を開発しているスタートアップ企業です。
- Electrovaya(ELVA): リチウムイオン電池の製造を手掛ける企業で、全固体電池の開発にも取り組んでいます。
- ProLogium:台湾の全固体電池メーカーで、自動車や携帯電話などの用途に対応した製品を提供しています。
- Sakuu: 3Dプリンティング技術を用いて全固体電池を製造している企業です。
- Solid Power, Inc(SLDP).:リチウム金属を使用した全固体電池の開発を行っている企業です。
- トヨタ自動車(7203):世界最大の自動車メーカーで、全固体電池の開発にも積極的に取り組んでいます。
これらの企業は、全固体電池の開発におけるクアンタムスケープの直接的な競合になりえる。
クアンタム・スケープの競合との差別化要素と優位性は?
クアンタムスケープの競合との差別化要素と優位性は以下の通り。
技術的優位性
クアンタムスケープの全固体電池技術は、高エネルギー密度、長寿命、高速充電、そして安全性という、電気自動車バッテリーに求められる主要な要素をすべて満たしている。
これにより、クアンタムスケープのバッテリーは、従来のリチウムイオン電池や他の全固体電池と比較して優れた性能を発揮する。
パートナーシップ
クアンタムスケープは、世界最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンとの強力なパートナーシップを持っている。クアンタムスケープは自社の技術を大量生産するための資金とリソースを確保できている。
特許
クアンタムスケープは、全固体電池技術に関する200以上の特許と出願を作成している。クアンタムスケープは自社の技術を保護し、競合他社による模倣を防ぐことができる。
製品開発の進行状況
クアンタムスケープは、全固体電池の製品開発を進めており、既に一部のバッテリーサンプルを公開している。クアンタムスケープは市場への製品投入に向けて具体的な進展を示している。
クアンタム・スケープの今後の展開
クアンタムスケープの今後の展開は以下の通り。
新たなパートナーシップ
クアンタムスケープは、ポルシェとの潜在的なパートナーシップの噂が浮上しており、ポルシェは、クアンタムスケープの固体電池技術を新しい電動911モデルに統合することを検討していると言われている。
これにより、既にフォルクスワーゲンを含む複数の主要顧客との協力関係をさらに強化することが期待されている。
全固体電池の開発
クアンタムスケープは、現在使用されているリチウムイオン電池よりもはるかにエネルギー密度が高い全固体電池の開発を進めている。同じバッテリーサイズで電気自動車の走行範囲が大幅に向上する可能性がある。
製品開発の進行状況
クアンタムスケープは、2021年のマイルストーンを計画通りに達成し、10層のセルのテストに成功。2024年には、Alpha-2プロトタイプの出荷を開始し、商業化に向けた重要なステップを踏み出した。これらのプロトタイプは、以前の24層A0プロトタイプセルと比べてエネルギー密度が高くなっており、主により高密度のカソードと効率的なパッケージング技術によって実現されている。
さらに、多層セルの開発も進んでおり、最終的には各バッテリーパックに数十層が必要になる可能性がある。
製品の市場投入
クアンタムスケープは、2023年にテスト車両用のセルを生産し、2024年に商業生産を開始する予定。
2024年7月に、フォルクスワーゲンの電池関連会社PowerCo社と固体リチウム金属電池技術を産業化する契約を締結。QuantumScapeの技術に基づくバッテリーセルを大量生産するライセンスを供与する。
クアンタム・スケープの業績について
クアンタムスケープは、まだ開発段階のスタートアップ企業であり、販売も行っていないため、売上実績もありません。
そのため、業績分析はここでは割愛します。
クアンタム・スケープの現在株価
クアンタム・スケープ(QS)の現在のリアルタイム株価チャート(TradingView)を表示しています。
チャートには、RSI(Relative Strength Index)を表示しています。相場の過熱感の指標として参考。
※RSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎの目安。
クアンタム・スケープの2023年Q2決算報告書の内容
- 2023年第2四半期末時点での流動性は9億ドル以上で、強固な財務状況を維持しつつ、支出の最適化と資本市場からの資金調達を通じてキャッシュランウェイを2025年後半まで延長するとの見通しを維持している。
- 長期的な資本要件は、完全所有の生産、合弁事業、ライセンス関係を組み合わせた産業化ビジネスモデルによるものと考えられている。
- 2023年初頭には、2022年末に出荷した最初の24層A0プロトタイプから、初の商用製品設計への移行を目指し、初期の低ボリュームB0サンプル生産を来年に予定している。
- 2023年半ばには、以下の目標に対する進捗を想定。
- 高ローディングカソードを使用した800サイクルをユニットセルで実証し、高ローディングユニットセルのサンプリングを自動車OEMの見込み顧客に開始。
- Raptor設備が完全にインストールされ、資格を取得し始めたことで、より速いセパレータ生産プロセスの実装に向けて良好な進捗を遂げている。
- パッケージング効率については、QSE-5製品はA0パッケージングのスリム版を目指して開発されており、エネルギー密度とパワーパフォーマンスの組み合わせが800Wh/L以上で、10%から80%までの充電が約15分で可能となると考えている。
- 品質向上の取り組みの結果、製造プロセスと計測システムにインライン改善を組み込み、信頼性については良好な進展を示している。
以上の結果から、800人以上のエンジニア、技術者、ビジネス担当者からなるチームが、初の商用製品を市場に投入するために必要な作業に集中していることがわかる。
プロトタイプから製品への道のりにはまだ多くの作業が残されており、予期しない課題が必ずしも発生するわけではないが、Q2終了時点で、商用化への道のりに残された課題に取り組んでいる。
クアンタム・スケープの2023年Q3決算報告書の内容
- 2022年第4四半期に、会社は最初のA0プロトタイプセルを見込みの顧客に出荷し、24層の無アノード固体リチウム金属バッテリーセルの概念実証を目指しました。
- 商業目標は800サイクルで80%のエネルギー保持ですが、ある見込みの顧客のバッテリーテストラボで最高性能のA0プロトタイプセルは、1,000サイクル以上で95%以上の放電エネルギー保持を達成しました。これは、顧客指定のテスト条件(C/3充電およびC/2放電、標準的な温度および圧力条件、100%の放電深度)を使用した結果です。
- この結果は、同等のサイクル数でこのような高い放電エネルギー保持を示した自動車用リチウム金属バッテリーは他になく、リチウム金属との安定性を示す固体または液体の電解質も存在しないとされている。
- A0プロトタイプセルは、製造意図のセルと同じ層数を持ち、独自のセルフォーマットを使用しています。これは、生産意図のセルデザインの3つの重要な側面(24層、より高いカソード負荷、新しいセルフォーマット)を別々に実証したことを意味する。
- これらの側面をパッケージ効率の向上、製造プロセスの制御と自動化の改善と組み合わせることで、会社の最初の商業製品であるQSE-5の核心を形成する。QSE-5は約5アンペア時(Ah)の容量を持つことが設計されており、いくつかの主要なEVモデルで使用されている2170バッテリーは、一般的に約4.5〜5Ahの容量を持っている。
クアンタム・スケープ(QS)の2024年度Q1決算サマリー
主要な進展と技術ハイライト
- Alpha-2プロトタイプバッテリーセルの出荷: 6層のAlpha-2プロトタイプバッテリーセルを自動車顧客に出荷開始。Alpha-2は従来のA0プロトタイプよりもエネルギー密度が高く、QSE-5商業製品のコアを形成する重要な設計。
- 放電性能の強化: Alpha-2プロトタイプセルは、従来のリチウムイオンセルよりも高い放電能力を持ち、高性能車両の加速性能に直結する。
- 急速充電: Alpha-2プロトタイプは、10%から80%の充電状態まで15分以内で急速充電できる能力を示した。これはQSE-5の目標と一致する。
- 低温性能: Alpha-2は低温環境下でも優れたエネルギー密度を維持でき、冷気でも良好な性能を発揮する。
製造とプロセスの展望
- Raptorファストセパレーター生産: Raptorプロセスの増産により、セル組立の工程開発を加速し、安全性と信頼性の向上を検証するためのセル試験データを収集。
- Cobraプロセスの準備: Raptorの成功に基づき、Cobraプロセスは高速セパレーター生産の完全な潜在能力を実現するために設計されています。2025年にQSE-5プロトタイプの生産量を増加させる予定。
財務見通し
- キャッシュフローと資本支出: 第1四半期の資本支出は1410万ドルで、主に低量産のQSE-5プロトタイプ生産とCobraプロセスの準備に使用されました。2024年度全体での資本支出は7000万ドルから1億2000万ドルの範囲を予測。
- 現金および流動性: 第1四半期末の流動性は10億1000万ドルで、2026年後半までの資金調達が可能と見込んでいる。
トヨタ自動車の全固体電池開発について
トヨタ自動車が全固体電池の開発について、リリースしています。
比較要素として、その内容も押さえておきます。
- 全固体電池の開発:トヨタは、高性能の全固体電池とその他の技術を導入することで、未来の電気自動車(EV)の走行範囲を改善し、コストを削減することを目指している。これは、急速に成長するEV市場で競争するための戦略的な転換であり、その結果、トヨタの株価は上昇している。
- 全固体電池の商用化:トヨタは、全固体電池の耐久性問題に対する「技術的な突破」を発表し、これらのバッテリーを大量生産する手段を開発している。そして、2027年から2028年にかけての商用化を目指している。
- 全固体電池を搭載したEVの性能:全固体電池を搭載したEVは、1,200kmの走行範囲を持ち、充電時間はわずか10分となるとトヨタは述べている。これに対して、現在最大の充電ネットワークを持つTeslaのスーパーチャージャーは、15分で321km分の充電が可能。
- 全固体電池の開発スケジュール:トヨタは、2026年から次世代のリチウムイオンバッテリーを導入し、より長い走行範囲とより速い充電を提供することを目指している。また、高級市場向けには、1,000km(621マイル)の走行範囲を持つより効率的なリチウムイオンバッテリーを搭載したEVを生産する予定。
まとめ
クアンタムスケープは、電気自動車のバッテリー技術を革新し、優れた性能のEVバッテリーの実現を目指しています。
彼らの全固体電池技術は、高エネルギー密度、長寿命、高速充電、そして安全性という、電気自動車バッテリーに求められる主要な要素をすべて満たし、従来のリチウムイオン電池や他の全固体電池と比較して優れた性能を発揮します。
また、クアンタムスケープは、フォルクスワーゲンを含む複数の自動車メーカーと協力関係を築いており、さらに、クアンタムスケープは、全固体電池技術に関する多数の特許を保有しており、自社の技術を保護し、競合他社による模倣を防ぐことができます。
クアンタムスケープの今後の展開としては、長いテスト期間経て、2024年に商業生産を開始する予定であり、フォルクスワーゲン社のバッテリー部門PowerCo社と大量生産するライセンスを締結、本格的な躍進が期待できます。
クアンタムスケープは、全固体電池市場で競争力を持ち、電気自動車の未来を大きく変えることが期待されています。
株価は長らく10ドル近辺のレンジであますが、2024年からの展開が楽しみな銘柄です。
クアンタムスケープの株を取り扱っている証券会社一覧
さいごに、クアンタムスケープの株を取り扱っている人気の証券会社をリストアップしました。
これらの証券会社では、外国株として直接の株取引のほか、CFD(差金決済取引)としての投資も選択できます。
私自身はSBI証券を主に使用していますが、取り扱い銘柄によっては購入できない場合があります。その際は、サクソバンク証券やIG証券などでCFDを利用した短期売買をすることもあります。