2026:Q2 2026/08/05 発表(寄り前)
- 発表翌営業日+4.86%寄付 +5.23%
- 5営業日+8.90%
LLY 2026年Q2決算:売上高48%増の230億ドル、Mounjaro・Zepboundが牽引し通期ガイダンスを再び上方修正
LLYの決算ハイライト
イーライリリーの2026年第2四半期は、売上高が前年同期比48%増の230億ドルに達し、成長を牽引したのはMounjaroとZepboundの旺盛な需要だった。売上増加の内訳は数量が60%増、実現価格が13%減という構図で、価格下押しはあるものの数量の伸びがそれを大きく上回っている。
利益面では、GAAP EPSが前年同期比26%増の7.94ドル、non-GAAP EPSは33%増の8.38ドルとなった。ただし今四半期のEPSには買収に伴うIPR&D(研究開発資産)費用が1株あたり3.03ドル含まれており、前年同期の0.14ドルから大きく膨らんだ点は見逃せない。この費用を除けば実質的な事業成長はさらに力強いものだったといえる。
会社は2026年通期の売上ガイダンスを850億〜870億ドルへ引き上げ、EPSガイダンスの中央値も基礎的な事業成長を反映して2.78ドル分積み上げた一方、四半期中の事業開発によるIPR&D費用3.03ドル分がそれを相殺し、最終的なEPSレンジは35.50〜36.50ドルに更新された。増収の裏で買収投資も積極化している四半期だったことが読み取れる。
抑えておくべきKPI
- 売上高: 230億ドル(前年同期比48%増)
- GAAP EPS / non-GAAP EPS: 7.94ドル(26%増) / 8.38ドル(33%増)
- Mounjaro売上: 99.4億ドル(前年同期比91%増)
- Zepbound(米国)売上: 49.3億ドル(前年同期比46%増)
- 粗利率(non-GAAP): 86.3%(前年同期比1.3ポイント改善)
インサイト
今回の決算で最も目立つのは、肥満・糖尿病領域の主力製品であるMounjaroとZepboundが売上成長の大半を担い続けている構造そのものだ。米国外売上は80%増と特に伸びが大きいが、これは中国のNRDL(国家医療保険薬品リスト)収載に伴う数量拡大の一方で、実現価格が36%下落したことも影響している。量は取れても単価は下がる、という新興市場特有の構図が見える。
一方でIPR&D費用の急増は一時的というより、積極的な事業開発(Orna Therapeutics、Ajax Therapeutics、Centessa Pharmaceuticals、Kelonia Therapeuticsなどの買収)を反映した構造的な動きであり、四半期をまたいでも感染症領域やAtaiBeckleyの買収契約など続いている。研究開発費も14%増、マーケティング・販管費も25%増と、成長投資のペースは緩んでいない。
ローライトとしては、実効税率が23.3%(前年同期16.5%)に上昇した点が挙げられる。これは非課税対象であるIPR&D費用の影響が主因であり、一時的な要因として理解できる。
今後の見どころ
次四半期以降は、次世代の三重作動薬retatrutideの動向が最大の注目点になる。肥満・閉塞性睡眠無呼吸症・膝関節症痛に関するグローバル申請に向けた臨床データパッケージが完成し、2027年第1四半期に米FDAへBLA(Biologics License Application)を提出予定と明言されている。
また、経口GLP-1薬Foundayo(orforglipron)の米国での2型糖尿病適応申請の進展や、インディアナ州製造拠点への45億ドルの追加投資がもたらす供給能力の拡大も、今後の成長ドライバーとして確認していく価値がある。買収による資産拡充が続く中、IPR&D費用がEPSにどの程度影響を与え続けるかも注視したい点だ。
出典
2024:Q4
イーライ・リリー(LLY)の2024年度Q4と通期決算サマリー
売上高と収益
- 売上高:450億4,270万ドル(前年比32%増)
- Q4売上高:135億3,280万ドル(前年比45%増)
- 売上成長の主因:糖尿病・肥満治療薬のMounjaroおよびZepboundの販売増加
- 非インクレチン(非GLP-1系)収益:前年比20%増
利益
- 純利益(GAAP):105億9,000万ドル(前年比102%増)
- 1株当たり利益(GAAP):11.71ドル(前年比102%増)
- 純利益(Non-GAAP):117億4,650万ドル(前年比103%増)
- 1株当たり利益(Non-GAAP):12.99ドル(前年比103%増)
- Q4のEPS(GAAP):4.88ドル(前年比102%増)
研究開発と戦略
- 研究開発費(R&D):109億9,060万ドル(前年比18%増)
- 重要な進展:
Zepboundの適応拡大(米国FDAによりOSA(睡眠時無呼吸症候群)の治療薬として承認)
Crohn病(クローン病)治療薬Omvohの米国承認
Kisunla(アルツハイマー病治療薬)の中国承認
乳がん治療薬Imlunestrantの臨床試験で有望な結果
BTK阻害薬Pirtobrutinibの慢性リンパ性白血病(CLL)治療でポジティブな結果
高リポタンパク(Lp(a))に対する新規経口阻害剤Muvalaplinの有望なフェーズ2結果
地域別の業績
- 米国売上:前年比40%増の90億3,000万ドル
MounjaroおよびZepboundの成長が牽引
– 米国外売上:前年比55%増の45億ドル
MounjaroおよびVerzenioが貢献
将来ガイダンス
- 2025年の売上予想:580億~610億ドル(前年比32%増)
- 2025年のEPS予想(GAAP):22.05~23.55ドル
- 2025年のEPS予想(Non-GAAP):22.50~24.00ドル
- 成長の原動力:
Zepbound、Mounjaro、Jaypirca、Ebglyss、Omvoh、Kisunlaの販売拡大
2025年の製造能力増強により、インクレチン系薬剤の生産量を2024年比で1.6倍に増強予定
新薬Imlunestrant(乳がん治療薬)などの承認・上市
イーライ・リリーは、MounjaroおよびZepboundの売上成長により、収益を大きく拡大。研究開発投資を強化し、新規適応や新薬承認を推進。2025年も成長を見込み、売上とEPSの大幅な増加を予想。インクレチン系治療薬の供給拡大がカギとなる見込み。
2024:Q3
イーライ・リリー(LLY)の2024年度Q3決算サマリー
売上高と収益
- 売上高: 第3四半期の売上は114億3,910万ドルで、前年同期比20%増加。主に、新製品「ムーンジャロ(Mounjaro)」および「ゼップバウンド(Zepbound)」によるボリューム成長が寄与。
- 純利益: 報告ベースで9億7,030万ドル、1株当たり利益(EPS)は1.07ドル。非GAAPベースのEPSは1.18ドル。前年同期は5,740万ドルの損失を計上していた。
- 粗利益率: 81.0%で、前年同期の80.4%から上昇。
注文の増加
- 新製品: ムーンジャロやゼップバウンドが収益に大きく寄与し、ボリューム成長をけん引。非インクレチン系収益も前年同期比で17%増加。
キャッシュフロー
- 研究開発投資: 第3四半期の研究開発費は27億3,410万ドル。特に、ティルゼパチド(tirzepatide)やアミロイド除去に関する臨床試験の進展に投資。
地域別の業績
- 米国市場: 売上高は前年同期比46%増加の78億1,000万ドル。ムーンジャロとゼップバウンドの成長が主な要因。
- 米国外市場: 売上は前年同期比12%減少の36億3,000万ドル。オランザピンポートフォリオ(Zyprexa)の権利売却が影響したが、除くと収益は33%増加。
将来ガイダンス
- 2024年度通年の売上予測: 454億ドルから460億ドルに更新。
- EPSガイダンス: 報告ベースで12.05~12.55ドル、非GAAPベースで13.02~13.52ドルに設定。新製品の供給体制強化と市場拡大に向けた投資を継続。
株価下落の要因
- 通期見通しの下方修正: 同社は通期の売上高予測およびEPS予測を引き下げ、期待を下回る見通しとなった。
- ドル高の影響: ドル高が収益に悪影響を及ぼし、特に米国外での売上が減少。
- 一時費用の増加: 特定の一時費用が利益を圧迫し、業績への影響が発生。
- 主力製品の売上減少: 抗がん剤アリムタの売上が前年同期比74%減少し、競争激化の影響を受けた。
イーライ・リリーは、糖尿病やアルツハイマー病治療の新たな臨床試験データにより、今後も医薬品市場での成長とインパクトの拡大を見据える。
2024:Q2
イーライ・リリー(LLY)の2024年度Q2決算サマリー
- 売上高: $113億ドルで、前年同期の$83億ドルから36%増加。
- 純利益:
GAAP基準で$29.67億ドル、前年同期比68%増加。
一株当たり利益(EPS)は$3.28、前年同期比68%増加。
Non-GAAP基準で$35.41億ドル、前年同期比86%増加。
一株当たり利益(EPS)は$3.92、前年同期比86%増加。
主要製品の売上
- マンジャロ(Mounjaro) $30.91億ドル、前年同期の$9.80億ドルから大幅に増加。特に米国内での需要増が顕著。
- ベージェニオ(Verzenio): 13.32億ドル、前年同期比44%増加。
- ゼップバウンド(Zepbound): 12.43億ドル、前年同期に販売されていなかった新製品。
- トルシティ(Trulicity): 12.46億ドルで、前年同期比31%減少。競争激化と供給制約が影響。
- ジャディアンス(Jardiance): 7.70億ドル、前年同期比15%増加。
- タルツ(Taltz): 8.25億ドル、前年同期比17%増加。
地域別売上
- 米国内売上: $78.4億ドルで、前年同期比42%増加。ZepboundとMounjaroの販売が牽引。
- 米国外売上: $34.7億ドルで、前年同期比25%増加。主にMounjaro KwikPenの各市場での導入が影響。
費用と経費
- 研究開発費: $27.11億ドル、前年同期比15%増加。継続的なポートフォリオへの投資によるもの。
- マーケティング・販売管理費: $21.17億ドル、前年同期比10%増加。新製品の発売と人材投資が要因。
パイプラインと規制進展
- キュラムザ(Kisunla)のFDA承認: アルツハイマー病の治療薬として承認された。
- ジェイピルカ(Jaypirca)の日本での承認: 再発または難治性のマントル細胞リンパ腫に対する治療薬として承認。
- チルゼパチド(Tirzepatide)の申請: 米国およびEUにおいて中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群および肥満の治療薬として申請。
将来の見通し
- 通年の売上ガイダンス: 45.4億ドルから46.6億ドルに上方修正された。
- EPS予測:
GAAP基準で$15.10から$15.60に引き上げ。
Non-GAAP基準で$16.10から$16.60に引き上げ。
イーライ・リリーは、第2四半期において堅調な成長を遂げ、特に新薬のマンジャロとゼップバウンドが売上増加に大きく寄与しました。また、アルツハイマー病治療薬キュラムザのFDA承認など、パイプラインの進展もあり、今後の成長が期待されている。
これより前の決算を表示(1期分)
2024:Q1
イーライ・リリー(LLY)の2024年度Q1決算サマリー
- 売上高: $87.68億ドル、前年同期の$69.60億ドルから26%増加。
- 純利益:
GAAP基準で$22.43億ドル(前年同期比67%増)。
一株当たり利益(EPS)は$2.48(前年同期比66%増)。
Non-GAAP基準で$23.35億ドル(前年同期比60%増)。
一株当たり利益(EPS)は$2.58(前年同期比59%増)。
主要製品の売上
- マウンジャロ(Mounjaro): 売上高は18.06億ドル、前年同期の5.69億ドルから大幅に増加。
- トルシティ(Trulicity): 売上高は14.56億ドル、前年同期比26%減少。
- ヴァージェニオ(Verzenio): 売上高は10.50億ドル、前年同期比40%増加。
- ジャディアンス(Jardiance): 売上高は6.87億ドル、前年同期比19%増加。
- タルツ(Taltz): 売上高は6.04億ドル、前年同期比15%増加。
地域別売上
- 米国内売上: $56.9億ドル、前年同期比28%増加。増加は主にMounjaro、Zepbound、Verzenioの需要増によるもの。
- 米国外売上: $30.7億ドル、前年同期比22%増加。
研究開発および運営費用
- 研究開発費: $25.23億ドル、前年同期比27%増加。これは、後期開発資産の費用増加と早期研究への追加投資による。
- マーケティング、販売、管理費: $19.52億ドル、前年同期比12%増加。これには、新製品のプロモーション活動や報酬費用の増加が含まれる。
主要な進展と見通し
- 臨床試験の成果: Obstructive sleep apnea(閉塞性睡眠時無呼吸)の治療において、tirzepatideのフェーズ3試験で肯定的な結果が得られました。
- 規制申請: mirikizumabをクローン病の治療として米国およびEUに申請しました。また、lebrikizumabをアトピー性皮膚炎の治療として米国に再申請しました。
- 生産能力の拡大: 特にインクレチン系薬の生産能力を大幅に増強し、増加する需要に応じる計画です。
今後の見通し
- 2024年通期の売上予測: $42.4億ドルから$43.6億ドルに上方修正。これは、MounjaroとZepboundの強力なパフォーマンスと生産能力の拡大によるものです。
- 一株当たり利益(EPS)予測:
GAAP基準で$13.05から$13.55。
Non-GAAP基準で$13.50から$14.00。
イーライ・リリーは、2024年第1四半期において大幅な成長を遂げ、特に主要製品の売上増加が顕著でした。研究開発への積極的な投資と生産能力の拡大により、今後も成長が期待されます。
