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アーキット・クアンタム(ARQQ)とは?将来性と今後の株価見通し

アーキット・クアンタム(ARQQ)とは?将来性と今後の株価見通し米国投資

このサイトは、私(@mifsee)が個人的に学びながら企業分析や銘柄分析を進め、その成果をまとめたものです。

あくまで私の個人的な分析記録であり、内容には誤りや実際と異なる情報が含まれているかもしれません。ご覧になる場合は予めご了承ください。

▼AIが音声変換したポッドキャスト版はこちらからどうぞ。(Spotifyで再生)

  1. はじめに
  2. アーキット・クアンタム(ARQQ)とは何の会社、どのような事業をしている?
  3. アーキット・クアンタム(ARQQ)の主力製品は?
    1. SKA-Platform™(Symmetric Key Agreement Platform)
    2. NetworkSecure™
    3. TradeSecure™
  4. アーキット・クアンタム(ARQQ)のビジネスモデルは?
    1. PaaS(Platform as a Service)による収益
    2. ライセンス提供と統合ソリューション契約
    3. 導入支援・プロフェッショナルサービス
    4. 顧客層と取引形態
  5. アーキット・クアンタムの経営陣について
    1. デイヴィッド・ウィリアムズ(David Williams) – 共同創業者兼CEO
    2. トム・ジャメソン(Tom Jamison) – CFO(最高財務責任者)
    3. ジェレミー・マクカーシー(Jeremy McCarthy) – CTO(最高技術責任者)
    4. 経営の特徴と評価
  6. アーキット・クアンタムと政府・防衛産業との関係は?
    1. 英国政府との連携
    2. NATOとの提携
    3. 軍事産業との関係
  7. アーキット・クアンタムの技術は量子コンピュータ時代にどのように備えているか?
    1. 1. 対称鍵合意技術(SKA-Platform™)
    2. 2. ソフトウェアベースの軽量実装とスケーラビリティ
    3. 3. NIST標準化プロセスとの整合性と先行対応
  8. 取引市場は?
  9. アーキット・クアンタム(ARQQ)のセクター、業種、属するテーマは?
    1. セクター:情報技術(Information Technology)
    2. 業種:サイバーセキュリティ、量子暗号技術
    3. テーマ:ポスト量子暗号、クラウドセキュリティ、国家安全保障
  10. 配当は?
  11. アーキット・クアンタム(ARQQ)の競合企業は?
  12. アーキット・クアンタム(ARQQ)が属する業界の規模と成長性は?
    1. 量子耐性暗号市場(Post-Quantum Cryptography)
    2. サイバーセキュリティ市場(特にゼロトラスト・クラウドセキュリティ分野)
  13. アーキット・クアンタム(ARQQ)の競合との差別化要素と優位性は?
    1. 技術的差別化:対称鍵合意による革新的暗号方式
    2. 顧客基盤:政府・防衛機関との実績
    3. 製品性能・導入柔軟性:クラウド提供とスケーラビリティ
  14. アーキット・クアンタム(ARQQ)の業績について
  15. アーキット・クアンタム(ARQQ)の株価
  16. アーキット・クアンタム(ARQQ)の将来性と今後の株価見通しは?
    1. 将来展望:ポスト量子時代への備えと標準化の追い風
    2. 業績:商用化初期段階から収益化への移行期へ
    3. 契約/パイプライン:国家・通信・クラウド分野に厚い期待
  17. アーキット・クアンタム(ARQQ)の2025年H1決算サマリー
  18. アーキット・クアンタム(ARQQ)の株を買える証券会社は?
  19. まとめ

はじめに

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、ポスト量子時代における次世代暗号通信の鍵を握る企業として注目を集めています。

従来のRSA暗号などが量子コンピュータによって脆弱化すると言われる中、アーキット・クアンタムは量子耐性を持つ独自の暗号技術を開発し、安全な通信を可能にする革新的なプラットフォームを提供しています。

同社は2021年にSPAC(特別買収目的会社)を通じてNASDAQに上場し、企業や政府、軍事機関など高いセキュリティ要件を持つ顧客からの関心を集めています。とりわけ、英国防省やNATOとの関係を持つことから、国家レベルでのサイバーセキュリティ需要を取り込む立ち位置にもあります。

本記事では、アーキット・クアンタム(ARQQ)の企業概要、主力製品、ビジネスモデル、競合環境、業界の成長性、将来性まで深く掘り下げます。

アーキット・クアンタム(ARQQ)とは何の会社、どのような事業をしている?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、量子コンピュータ時代に対応した暗号通信技術を提供する、英国発のサイバーセキュリティ企業である。
特に「量子耐性暗号(Post-Quantum Cryptography)」の分野で高い専門性を持ち、国家機関レベルの安全性を求められる通信の保護を可能にする技術を開発している。

同社の起源は、創業者であるデイヴィッド・ウィリアムズ氏が英国政府向けの通信インフラを手がけたことに端を発する。

長年にわたり国家機密通信に携わってきた実績をもとに、2017年にアーキット社を設立。
設立当初から「量子以後の世界で必要とされる暗号技術のリーダーとなる」という明確なミッションを掲げてきた。

事業領域は情報セキュリティ・暗号化通信・クラウドセキュリティであり、対象とする市場は政府、防衛、金融、通信など、セキュリティ要求の高い業界に集中している。

特に同社が開発する「対称鍵合意プラットフォーム(SKA)」は、従来の公開鍵基盤を使わずにセキュアな通信を確立できるという独自性を持つ。

アーキットの技術はクラウド上で機能することから、スケーラビリティや導入の柔軟性に優れており、今後のSaaS型セキュリティ市場での競争力にも期待が集まる。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の企業情報は以下。

  • 会社名: Arqit Quantum Inc.(アーキット・クアンタム)
  • 設立年: 2017年
  • 本社所在地: 英国ロンドン
  • 代表者: デイヴィッド・ウィリアムズ(David Williams)
  • 公式サイト: https://www.arqit.uk
  • 主な事業内容: 量子耐性暗号の提供、セキュリティプラットフォームの開発・販売

アーキット・クアンタム(ARQQ)の主力製品は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)の主力サービスは以下の通り。

同社の提供する製品は、量子耐性暗号技術を基盤としており、政府・軍事機関・大手通信会社など高いセキュリティを求める顧客に採用されている。

SKA-Platform™(Symmetric Key Agreement Platform)

概要

アーキットの中核技術であり、量子コンピュータにも破られにくい対称鍵の合意生成をインターネット経由で可能にする。公開鍵暗号に依存しないため、既存のPKIを不要にする革新性を持つ。

主な機能

  • 暗号鍵をインターネット上で安全に合意・共有
  • 鍵は通信の直前に生成され、使い捨てで利用可能
  • クラウド経由で提供されるため、顧客側に特別なハードウェアは不要
  • エンドポイント認証、データ転送、クラウド通信など多様なアプリケーションに対応

NetworkSecure™

概要

企業や政府機関のネットワーク通信全体を保護するためのソリューション。既存ネットワークに容易に統合でき、VPNやゼロトラスト環境との相性が良い。

主な機能

  • リアルタイムで暗号鍵を配布・更新
  • インフラに干渉せずにセキュアチャネルを構築
  • オンプレミスとクラウドのハイブリッドにも対応

TradeSecure™

概要

国際貿易や機密文書のやり取りに特化したセキュリティ製品。特許、契約、軍事関連文書などを暗号化して安全に共有できる。

主な機能

  • 高機密性データの暗号化と転送管理
  • 通信内容の完全性と不可改ざん性の保証
  • 監査ログ機能と利用状況トラッキングによるコンプライアンス支援

アーキット・クアンタムのこれらの製品は、クラウドベースで導入が容易であることに加え、スケーラブルかつ柔軟なライセンス提供により、様々な規模・業種の顧客に対応可能となっている。

アーキット・クアンタム(ARQQ)のビジネスモデルは?

アーキット・クアンタム(ARQQ)のビジネスモデルは、クラウド型暗号セキュリティプラットフォームとしての強みを活かし、主に以下の3つの収益源で構成されている。

特徴的なのは、スケーラブルなSaaS型提供によって、多様な顧客ニーズに対応できる点である。

PaaS(Platform as a Service)による収益

同社の主力サービスであるSKA-Platform™は、クラウドを介して企業や政府機関に提供されるPaaS型セキュリティソリューションである。

利用顧客は毎月または年次契約で使用料を支払う仕組みになっており、継続的なストック型収益が期待できる。

  • 定額課金または使用量ベースの従量課金モデル
  • 導入後の顧客ロックイン効果が高く、解約率が低い
  • 大規模通信事業者や国防系機関との長期契約が増加傾向

ライセンス提供と統合ソリューション契約

アーキットは、特定のパートナー企業(例:通信キャリア、クラウドベンダー)に対して、暗号技術のライセンス提供も行っており、外部企業が自社サービスにアーキットの技術を組み込むことが可能となる。

  • 技術供与型の収益源(OEMビジネス)
  • 大手との提携によるスケール拡大効果
  • 独自アルゴリズムの知財保護による高収益性

導入支援・プロフェッショナルサービス

セキュリティソリューション導入時には、設計・運用支援・教育トレーニングといったプロフェッショナルサービスも提供している。これは単発収益ではあるものの、長期契約のきっかけとしても機能している。

  • 初期導入コンサルティング
  • セキュリティアセスメントやシステム最適化支援
  • 導入後の技術サポートやカスタム対応

顧客層と取引形態

  • 主な顧客層:政府・防衛機関、大手通信キャリア、クラウドベンダー、金融機関
  • 取引形態:直販・代理店経由・ライセンス提携の3本柱
  • 契約の特徴:長期継続性が高く、機密性の高い取引が中心

アーキット・クアンタムのビジネスモデルは、高セキュリティ市場に特化しながらも、柔軟性ある提供形態とスケーラブルなPaaSモデルで構築されており、将来的な収益の安定性と成長性の両立が期待される。

アーキット・クアンタムの経営陣について

アーキット・クアンタム(ARQQ)の経営陣は、国家レベルのセキュリティ、通信、テクノロジー業界で実績を積んできた専門家たちによって構成されている。

特にCEOをはじめとした中核メンバーは、単なるスタートアップ経営者ではなく、政府・軍事・インフラ事業の最前線で活躍してきた人物であり、企業の信頼性と技術力を支える基盤となっている。

デイヴィッド・ウィリアムズ(David Williams) – 共同創業者兼CEO

  • 元Avanti Communications(衛星通信企業)のCEOとして、英国および欧州の政府機関と数十億ドル規模の契約を主導
  • 英国防衛省や国際通信機関との協業実績があり、機密通信分野での豊富なネットワークを持つ
  • アーキットの創業において、「ポスト量子時代のセキュリティ構想」を戦略的に具現化
  • 投資家や機関との信頼関係構築力に優れるリーダーシップが評価されている

トム・ジャメソン(Tom Jamison) – CFO(最高財務責任者)

  • 技術系スタートアップおよび上場企業での財務・IR経験が豊富
  • 上場準備、SPAC合併、資金調達などの複雑な資本市場対応に精通
  • 成長段階の企業におけるコスト管理と財務健全性の両立を推進

ジェレミー・マクカーシー(Jeremy McCarthy) – CTO(最高技術責任者)

  • 情報セキュリティ、クラウドコンピューティング、分散型通信の分野で20年以上の技術開発経験
  • SKAプラットフォームや暗号技術の設計・アーキテクチャを統括する中心人物
  • NISTなどの標準化機関との技術対話や国際的なセキュリティ規格への対応を担う

経営の特徴と評価

  • 官民両方での実務経験を持つリーダー層が揃っており、スタートアップにありがちな経験不足とは無縁
  • 国際案件や政府調達における契約・コンプライアンス面の信頼性が高い
  • 技術開発と資本戦略の両輪がバランスよく機能し、市場拡大と持続的成長を両立できる体制を整えている

アーキット・クアンタムの経営陣は、量子セキュリティという専門性の高い分野において、技術・運営・資本市場のすべてに対応できる高水準のチームであり、これが企業価値と市場評価の裏付けとなっている。

アーキット・クアンタムと政府・防衛産業との関係は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、創業当初から国家レベルのセキュリティニーズに対応することを目的に設計された企業であり、政府および防衛産業との関係はそのビジネス戦略の中核を成している。

特に英国政府やNATOをはじめとした国際的な防衛組織との提携・契約が、同社の信頼性と技術の実用性を裏付けている。

英国政府との連携

アーキットは英国ロンドンを拠点としており、英国防衛省(MoD)との直接的なプロジェクト実績を持つことで知られている。創業者デイヴィッド・ウィリアムズが国防通信の設計に携わった背景もあり、同社の技術は軍事通信や国家インフラ向けのセキュリティ対策として導入されている。

  • 英国政府向けに開発されたSKAプラットフォームの安全性が高く評価
  • 防衛・宇宙・機密文書通信領域への応用が進行
  • 政府主導の量子技術研究・採用プログラムへの継続的参加

NATOとの提携

アーキットはNATO(北大西洋条約機構)とのパートナーシップを発表しており、これは極めて稀な民間企業との協力関係である。

NATOの高度な機密通信を守るために、量子耐性暗号の導入が検討されており、アーキットの技術がその要件を満たす数少ない商用技術と認定されている。

  • NATO通信インフラへの量子安全化ソリューション提供
  • 加盟各国の防衛ネットワークでの導入テスト・実装支援
  • 国際的安全保障における暗号標準の形成に影響を与えるポジション

軍事産業との関係

アーキットは、政府直下の防衛系プロジェクトの請負企業やシステムインテグレーターとの協業も進めており、軍用ドローン、衛星通信、戦術データリンクなど、リアルタイム性とセキュリティが同時に求められる環境での実装が期待されている。

  • 軍需向けOEM製品としての提供可能性
  • 防衛関連ITインフラへのプラグイン対応
  • 米国を含む複数国の国防省関連機関と関係構築中(詳細は非公開)

アーキット・クアンタムの技術と政府・防衛産業との関係性は、単なるセキュリティソリューションベンダーではなく、国家安全保障インフラの一部として組み込まれる水準に達しており、今後の収益安定性と信頼性を支える強力なファンダメンタル要因である。

アーキット・クアンタムの技術は量子コンピュータ時代にどのように備えているか?

量子コンピュータは、RSAや楕円曲線暗号(ECC)といった現代のインターネットセキュリティの基盤をわずかな時間で解読できる可能性を持っており、これに備えるために「ポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography)」の研究と商用化が急務となっている。

アーキットはこの課題に対し、以下の3つの核心的アプローチで未来の暗号インフラを構築している。

1. 対称鍵合意技術(SKA-Platform™)

アーキットの最大の強みは、公開鍵暗号を完全に排除し、クラウド経由で安全に鍵を合意・共有する「対称鍵合意プロトコル」を確立している点である。

  • 公開鍵不要のため、Shorのアルゴリズムに対して無防備にならない
  • 鍵は一時的・使い捨てで生成され、保存されないため漏洩リスクが極小
  • インターネット環境のみで動作可能なため、量子通信(QKD)のような高価な専用インフラを不要とする

この技術は量子コンピュータの攻撃モデルを前提に設計されており、将来のサイバー攻撃手法にも強靭な耐性を持つ

2. ソフトウェアベースの軽量実装とスケーラビリティ

アーキットの技術は、ソフトウェアとクラウドAPIとして提供されるため、あらゆる規模・環境に迅速に展開可能である。これは、量子セキュリティ分野で広がりつつある物理層暗号(例:QKD)に比べて、はるかに商用スケーラビリティに優れる

  • VPNやゼロトラスト環境への即時統合が可能
  • クラウドベースでアップデートされ、標準改訂にも柔軟に対応
  • 通信キャリアやクラウドプロバイダーが自社サービスに組み込みやすい構造

この実装の柔軟性が、標準化の進展に即応できる唯一の商用基盤としての評価につながっている。

3. NIST標準化プロセスとの整合性と先行対応

アーキットは、米国NIST(国立標準技術研究所)が進めるポスト量子暗号の標準化プロセスを綿密に分析し、同時進行でその要件に合致する技術を製品に反映している。

  • 将来のグローバル標準との整合性を担保
  • 早期に政府やインフラ業界が導入を進める際の優先候補となる
  • 自社方式が独自でありながらも他方式との共存・併用が可能

この点により、将来の規制強化や法令対応の面でも優位性を持つ。

アーキット・クアンタムは、量子時代におけるセキュリティの根幹を支えるポジションを狙い、技術・実装・標準対応の全方位から構造的な備えを構築している企業であり、その戦略はすでに商用化と顧客獲得という実績に結びつきつつある。

取引市場は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、米国NASDAQ市場に上場しており、ティッカーシンボルは「ARQQ」。

2021年にSPAC(Centricus Acquisition Corp.)との合併を経て上場を果たし、以降は量子暗号セキュリティ分野に特化した数少ない上場企業として注目を集めている。

アーキット・クアンタム(ARQQ)のセクター、業種、属するテーマは?

セクター:情報技術(Information Technology)

アーキットは、デジタル通信とクラウドインフラの安全性を担保する暗号技術を提供しており、分類上は情報技術セクターに属する。特にサイバーセキュリティ分野における次世代技術開発企業として位置づけられる。

  • 顧客はITシステムの中核に暗号通信を組み込むことが多く、セキュリティインフラの一部として扱われる
  • SaaS型の暗号プラットフォームを提供している点もIT企業としての評価を強める

業種:サイバーセキュリティ、量子暗号技術

事業の本質はサイバーセキュリティの中でも量子暗号技術に特化していることにある。従来の暗号方式に代わる新たな標準を構築するという点で、独自性が際立つ。

  • 量子コンピュータによる既存暗号の脆弱性を前提にした防衛的技術
  • 通信キャリアや政府など高機密通信領域での適用が進む

テーマ:ポスト量子暗号、クラウドセキュリティ、国家安全保障

アーキットは複数の投資テーマに属しており、成長期待の高い以下の分野との関連が強い。

  • ポスト量子暗号:量子コンピュータの実用化に備えたセキュリティ対策を提供
  • クラウドセキュリティ:クラウド経由で提供される暗号プラットフォームとしてゼロトラスト環境にも対応
  • 国家安全保障:NATOや英国政府との関係を有し、インフラ防衛や軍事通信分野にも進出

これらの分類から、アーキット・クアンタムは単なるサイバーセキュリティ企業ではなく、次世代暗号と国防レベルの安全保障領域におけるキープレイヤーといえる存在である。

配当は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は現時点で配当を実施していない
アーキットは企業としての成長段階にあり、得られた収益や調達資金をすべて研究開発および製品の商用化、事業拡大への再投資に充てているためである。

同社は、量子耐性暗号という最先端かつ進化途上の市場において先行優位を築こうとしており、安定配当よりも株主価値の長期的最大化を重視する経営方針を取っている。特にPaaS型ビジネスモデルの構築と大手顧客との契約獲得が進むことで、将来的な利益成長とともに配当余地が生まれる可能性もあるが、短期的な配当期待は低いと見るべき。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の競合企業は?

量子耐性暗号および次世代サイバーセキュリティの分野には、既存のサイバーセキュリティ企業とは異なる新興プレイヤーや研究機関発スタートアップが多く参入している。

特に「量子コンピュータに耐えるセキュリティ」を実現しようとする企業群が、技術革新と商用化を競っている。

以下は、代表的な競合企業。

  • クアントロピ(Quantropi)(非公開)
     カナダを拠点とする量子安全通信のスタートアップ。量子鍵配送(QKD)を使わずに量子安全な鍵管理を行う独自技術を開発。
  • キュリプト(Qrypt)(非公開)
     米国ニューヨークに拠点を置く量子乱数生成(QRNG)を中核に据えたセキュリティ企業。政府向けに強固な鍵生成インフラを提供。
  • IDクアンティーク(ID Quantique)(非公開)
     スイスに本拠を構える老舗の量子暗号企業。世界で初めて商用の量子鍵配送(QKD)システムを市場に導入したパイオニア。
  • ケッツ・クアンタム・セキュリティ(KETS Quantum Security)(非公開)
     英国のスタートアップで、量子耐性セキュリティチップの開発を手がける。小型デバイス向けの暗号化ソリューションを展開。
  • セキュアRF(SecureRF)(非公開)
     超軽量な暗号アルゴリズムでIoT機器に特化した量子耐性技術を提供。車載通信やスマートシティ関連の応用を目指す。

これらの企業はいずれも未上場であり、商用規模や資金調達力の面ではアーキットに及ばないものの、技術革新力とニッチ市場特化という観点では強力なライバルである。

一方、既存の大手セキュリティベンダー(例:パロアルトネットワークス、クラウドストライクなど)は、量子暗号への本格参入はまだ途上にあり、現時点では直接的な競合とは言い難い。

アーキット・クアンタムは、独自技術と商用展開のスピードで一歩先を行く存在として、競合との差別化を図っている。

補足として、同じポスト量子セキュリティ市場に属している企業にシールSQ(LAES)があるが、技術的アプローチとターゲット市場が異なるため、直接的な競合関係とは言えない。 

  • シールSQ(SEALSQ)(LAES)
     ポスト量子暗号(PQC)対応のセキュア半導体とPKIソリューションを提供する企業。PQC対応のセキュリティ半導体を提供し、IoTデバイスやエッジデバイスのセキュリティを強化することに注力している。

以下の記事で、量子コンピュータに関連する銘柄(米株・日本株)を紹介しています。

アーキット・クアンタム(ARQQ)が属する業界の規模と成長性は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)が展開する「量子暗号」および「ポスト量子セキュリティ」の市場は、近年急速に注目度を高めており、今後10年で数倍規模の成長が見込まれている。
以下は主要な市場とその成長性について。

量子耐性暗号市場(Post-Quantum Cryptography)

市場規模と成長性

ポスト量子暗号市場は、2023年時点で数十億ドル規模と推定されており、2030年には100億ドル規模を超えるとする予測もある。CAGR(年平均成長率)は30%前後と非常に高い水準にある。

成長ドライバー

  • 量子コンピュータの進化によるRSA等の既存暗号の脆弱化リスク
  • 米国NIST(国立標準技術研究所)による新暗号方式の標準化プロセスの加速
  • 政府機関やインフラ事業者による安全保障対策としての需要増加
  • 金融、医療、通信といった高機密データを扱う業界での対応義務化

サイバーセキュリティ市場(特にゼロトラスト・クラウドセキュリティ分野)

市場規模と成長性

世界のサイバーセキュリティ市場全体は2024年に2000億ドルを超えると見込まれており、その中でもゼロトラストやクラウドベースの暗号ソリューションは20%超の成長率を維持している。

成長ドライバー

  • リモートワーク普及による境界型セキュリティの限界
  • ゼロトラストモデルの採用拡大
  • 既存VPN・PKIの更新需要と次世代セキュリティ技術への移行
  • 国境を超えたデータ取引に対する規制強化(GDPRや米国CISAなど)

これらの市場動向を背景に、アーキット・クアンタムは量子耐性という明確な技術的差別化を武器に、今後さらに高成長分野への浸透を図る立場にある。

特に政府系および通信インフラ市場での長期的契約による継続的な収益獲得が見込まれており、産業全体の拡大とともに同社の成長も加速していく可能性が高い。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の競合との差別化要素と優位性は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、技術先行型のスタートアップが集まる量子耐性暗号分野において、商用化・スケーラビリティ・顧客基盤の3点で際立った優位性を持っている。

以下は、主要な差別化ポイント。

技術的差別化:対称鍵合意による革新的暗号方式

アーキットは、従来の公開鍵暗号や量子鍵配送(QKD)に依存せず、独自の対称鍵合意プロトコル(SKA-Platform)を開発。これは、インターネット経由で動的に安全な鍵を合意・共有できる方式であり、以下の点が他社と異なる。

  • 公開鍵暗号の脆弱性を根本から回避
  • 物理的な量子通信ネットワーク(光ファイバなど)を必要としない
  • 軽量・高速・安定した商用展開が可能
  • 既存インフラとの互換性が高く、導入が容易

この独自プロトコルはNIST標準化動向にも対応可能な柔軟性を持っており、将来の技術環境変化にも耐えうる基盤といえる。

顧客基盤:政府・防衛機関との実績

競合他社の多くが技術開発段階であるのに対し、アーキットはすでに英国政府・NATO・大手通信事業者との契約実績を持ち、商用レベルでの信頼性を獲得している。

  • NATO向けのセキュリティソリューション納入実績
  • 英国防衛省との長期プロジェクト参加
  • 通信キャリアやクラウドサービス事業者との統合運用が進行中

これらの国家規模の高セキュリティ通信市場における信頼性と実績が、競合との差別化に直結している。

製品性能・導入柔軟性:クラウド提供とスケーラビリティ

アーキットのサービスはクラウドベースでの提供を前提としており、物理設備や専用デバイス不要で導入できるのが大きな特徴である。これにより、小規模組織から大規模インフラまで幅広く対応可能である。

  • SaaSモデルによる迅速な導入と運用コストの低減
  • API経由でのシステム連携が容易
  • スケーラブルな料金設計により、大手顧客との長期契約が可能

この柔軟性と実装スピードは、専用ハードウェアを前提とする他社のQKD企業と比べて、圧倒的に商用適性が高い

アーキット・クアンタムは、こうした技術革新力と現実的な商用展開のバランスにおいて、競合他社をリードする立場にあり、量子耐性暗号分野の先行者利益を着実に築きつつある。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の業績について

アーキット・クアンタム(ARQQ)の財務年度は毎年9月末に終了する。
これに基づき、決算は年次決算(Form 20-F)と中間報告(半期報告書)を通じて公開されている。

  • 財務年度の終了月:9月
  • 決算スケジュール
    • 年次報告:翌年3〜4月に提出されることが多い
    • 中間報告:4〜5月頃、または必要に応じて四半期ベースの更新が行われることもある

同社は海外企業としてSECに登録された外国私企業(Foreign Private Issuer)であり、米国企業と異なり四半期報告義務がない。
そのため、年2回の報告が基本となるが、重要事項については適宜ニュースリリースを通じて開示が行われている。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の最低限の業績分析を行なうための、以下の4つの指標を確認していきます。

  1. 売上:企業の業績と成長しているかを見る指標。
  2. 営業キャッシュフローと営業キャッシュフローマージン:企業がサービスからどれくらい現金を生み出しているかを見る指標。マージンはその比率で15%あると優良とされる。
  3. 営業利益:企業が主力の事業で稼いだ利益。企業の業績を評価する指標。
  4. フリーキャッシュ・フロー:企業が手元に残す自由に使える現金。財務的な柔軟性や、経営の安定性を示す。
  5. EPS:1株当たり純利益で企業の稼ぐ力「収益力」と「成長性」を見る指標。数値が高いほど収益力が高い。

各データは、Investing.comTradingViewより参照。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の株価

アーキット(ARQQ)の現在のリアルタイム株価チャート(TradingView)を表示しています。
チャートには、RSI(Relative Strength Index)を表示しています。相場の過熱感の指標として参考。
※RSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎの目安。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の将来性と今後の株価見通しは?

アーキット・クアンタム(ARQQ)は、量子コンピュータが現実化する次世代インフラの中心となる量子耐性セキュリティの分野で、明確な先行優位性を持っている。

以下は、今後の成長可能性と株価見通しについて。

将来展望:ポスト量子時代への備えと標準化の追い風

世界各国の政府機関や主要インフラ企業が、既存の暗号システムからポスト量子暗号への移行を急ぐ中で、アーキットの技術はそのニーズに合致している。とりわけ米国NISTによる暗号標準の策定が2024〜2025年に本格化することで、民間市場でも実装が一気に進む可能性がある。

  • 量子暗号の標準化が進むほど市場参加障壁が高まり、先行企業に有利
  • 国家主導のインフラセキュリティ計画への組み込みが進展中
  • 欧州・アジア圏での展開拡大も視野に

アーキットは、これらの変化に合わせた製品改良と市場適応力を備えており、標準化の波を成長のドライバーとして取り込む構えである。

業績:商用化初期段階から収益化への移行期へ

同社は現在、商用導入フェーズに入りつつあり、今後数年の注目点は売上拡大と損益の転換にある。すでに大手顧客との導入実績を有しており、以下の要素が業績の底上げに寄与する見通しにある。

  • SKAプラットフォームの継続課金によるストック収益の積み上げ
  • ライセンス契約の増加とOEM展開による高利益率収益の拡大
  • 固定費抑制とスケーラビリティを両立したビジネス構造

これらの収益ベースでの評価が可能となれば、株価にとってもファンダメンタルに基づいた上昇余地が拡大する。

契約/パイプライン:国家・通信・クラウド分野に厚い期待

現在アーキットは、NATO、英国防省、大手通信キャリアなど戦略的顧客との関係構築が進んでおり、パイプラインは拡大基調にある。特に以下の分野での契約が見込まれる。

  • 通信インフラ:5G・IoT基盤との統合
  • クラウドベンダー:ゼロトラストセキュリティとの組み合わせ提案
  • 国防・航空:国家安全保障向けの専用実装需要

これらの導入実績が積み重なることで、投資家からの信頼性も高まり、中長期の株価評価が改善する可能性が高い

アーキット・クアンタムは、量子セキュリティ分野の構造的成長を背景に、今後数年でビジネスの実装段階から収益性フェーズへと移行しようとしている。その転換点を迎える今、同社に対する市場の評価は、より本質的なものへと進化していく局面にある。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の2025年H1決算サマリー

売上高と収益

  • 売上高: 6.7万ドル(前年同期:11.9万ドル、▲44%)
  • GAAP純損失: ▲1,716.6万ドル(前年同期:▲4,767.2万ドル)
  • 営業損失: ▲1,779.5万ドル(前年同期:▲1,663.8万ドル)
  • 営業費用: 月平均2.4百万ドル
  • SKA-Platform™およびNetworkSecure™の収益: 5.24万ドル
  • プロフェッショナルサービスおよびメンテナンス収益: 1.45万ドル
  • 売上減の要因: エンドユーザーの導入遅れと販売モデルの変更(直接販売→チャネル販売)

営業費用と利益

  • 管理費(オペレーション費用): 1,796.3万ドル(前年同期:1,675.7万ドル)
    • 人件費:982.2万ドル(前年:1,200.6万ドル)
    • 外貨損失:454.2万ドル(前年は為替差益)
    • 減価償却・償却費:計44万ドル
    • 株式報酬費用:▲137.9万ドル(前年:▲29.3万ドル)

キャッシュと財務状況

  • 現金・現金同等物: 2,478.1万ドル(前期末:1,870.5万ドル)
  • 営業キャッシュフロー: ▲1,247.6万ドル(前年同期:▲2,265.5万ドル)
  • 投資キャッシュフロー: +31.3万ドル(前年:▲40万ドル)
  • 財務キャッシュフロー: +1,821.7万ドル(主に株式発行による資金調達)
  • ATMプログラムによる発行株式: 約114万株で1,655万ドルを調達

技術・事業ハイライト

  • 米国国防総省(DoD)向け初契約を獲得
    • パートナー企業を通じたSKAソフトウェアの提供
    • 米国NSAのCSfC基準に準拠、国防分野の拡大を目指す
  • 欧州大手IT企業とのエンタープライズセキュリティ契約を締結
  • 欧州Tier1通信事業者との3年契約
    • Arqit NetworkSecure™をNaaSの一部として導入
  • Intelとの提携強化
    • TDXチップレベルでの「秘密計算」との統合実証に成功
    • 通信/AI/仮想HSM領域への適用展開中
  • 世界初:CSfC準拠の量子セーフMACPアーキテクチャをIntelと開発

今後の指針と注力分野

  • 重点市場:
    • 通信(Telco)
    • 政府・国防(特に米国、欧州)
  • 展開戦略:
    • 直接販売からB2B2Bモデル(OEM/パートナー経由販売)への転換
    • 体制効率化:全社員数は72名(予算83名)、必要部門への再配置を実施
  • 想定される将来市場:
    • 金融(取引インフラの保護)
    • 製薬(知財保護)
    • データセンター(マルチドメイン下の秘密計算)

アーキットは2025年前半で新たな大型契約(米国DoD・Tier1通信事業者)を獲得し、商用フェーズへ本格移行を始めた。
売上自体はまだ少額だが、製品がようやく稼働し始めたばかりであり、今後の収益認識と継続契約への転換が進めば黒字化も視野に入る展開

量子耐性暗号の需要拡大を背景に、政府・インフラ・通信領域での競争優位性が鮮明になってきており、「Q Day(量子攻撃リスク)」に備えた移行ソリューションの中核銘柄として注目度が高い内容となっている。

アーキット・クアンタム(ARQQ)の株を買える証券会社は?

アーキット・クアンタム(ARQQ)の株を取り扱っている主要な証券会社をリストアップしました。これらの証券会社では、外国株として直接の株取引のほか、CFD(差金決済取引)としての投資も選択できます。

私自身はSBI証券を主に使用していますが、取り扱い銘柄によっては購入できない場合があります。その際は、サクソバンク証券やIG証券などでCFDを利用することもあります。

人気の証券会社株取引CFD取引
SBI証券
松井証券
楽天証券
マネックス証券
三菱UFJ eスマート証券
DMM株
サクソバンク証券
IG証券
GMOクリック証券
moomoo証券
アーキット・クアンタム(ARQQ)の株を取り扱っている主要な証券会社

まとめ

アーキット・クアンタム(ARQQ)の企業概要、主力サービス、ビジネスモデル、業界の成長性、競合環境、そして将来性と株価見通しまで幅広く見てきました。

アーキットは独自の対称鍵合意プロトコルを中核技術とし、公開鍵に依存しないという革新性を武器に、量子コンピュータ時代における根本的な通信インフラの再構築を可能にしています。

政府・防衛分野を含む高セキュリティ市場への参入実績、クラウド対応のスケーラブルなPaaSモデル、そして技術的差別化による競合優位性は、将来の成長ドライバーとして大きな魅力を放っています。

また、量子耐性暗号の標準化が進む中、アーキットの技術は今後さらに重要性を増すことが予想されます。

量子コンピュータの実用化が急速に進み始めている中、量子セキュリティという分野において注目すべき存在と言えるでしょう。

以下の記事で、量子コンピュータに関連する銘柄(米株・日本株)を紹介しています。

 

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