このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
注目の上昇銘柄(ウォッチリストから)
上昇銘柄ウォッチリスト(2025/11/19 終値ベース)
| 名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
|---|---|---|---|---|
| SGML(シグマ・リチウム) | 10.36 | +33.33% | リチウム鉱山・EV電池素材 | Q3決算での収益改善とブラジル生産拡張計画報道を受けたEV向けリチウム供給拡大期待 |
| EXAS(エグザクト・サイエンシズ) | 86.18 | +23.68% | がんスクリーニング・診断薬 | アボットによる買収交渉が進展との報道を受けたM&Aプレミアム織り込み |
| BFLY(バタフライ・ネットワーク) | 2.40 | +19.40% | ポータブル超音波・デジタルヘルス | 特になし |
| TMDX(トランスメディクス・グループ) | 133.47 | +14.01% | 臓器移植プラットフォーム・医療機器 | Q3決算の大幅EPSビートと増収トレンドに加えCEOによる自社株買い報道を材料とした成長期待継続 |
| SLI(スタンダード・リチウム) | 4.09 | +11.14% | リチウム資源開発 | アナリスト複数社の買い継続・目標株価引き上げを伝えるレポートを背景とした評価修正買い |
| LITE(ルーメンタム・ホールディングス) | 268.92 | +8.69% | 光通信デバイス・データセンター向けレーザー | 特になし |
| LEU(セントラス・エナジー) | 264.27 | +7.39% | 原子力燃料・ウラン濃縮 | 特になし |
| OKLO(オクロ) | 102.86 | +6.45% | 小型モジュール炉(SMR)・次世代原子力 | 原子力株特集とコンセンサス目標株価106ドル超が紹介されたレポートを手掛かりとした原子力テーマ買い |
| NBIS(ネビウス・グループ) | 95.07 | +5.00% | AIクラウド・生成AIインフラ | 新規カバレッジ開始と複数アナリストの強気目標株価提示を材料としたAIインフラ成長期待 |
下落銘柄
| 名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
|---|---|---|---|---|
| ES(エバーソース・エナジー) | 65.26 USD | -12.45% | 公益電力・水道子会社売却 | コネチカット州規制当局が子会社「Aquarion Water Company(アクエリオン・ウォーター)」の24 億ドル売却を却下し事業環境への懸念強まる。 |
| POWL(パウエル・インダストリーズ) | 285.29 USD | -11.31% | 電力設備・制御システム | Q4業績は好調だが、受注が前期比で減少しており将来成長への疑念が表面化。 |
| PLUG(プラグ・パワー) | 1.90 USD | -11.21% | 水素燃料電池・代替エネルギー | 約3.75億ドルの転換社債発行を発表、既存株主の希薄化懸念と資金繰り不安が株価を圧迫。 |
個人的所感
シグマ・リチウム(SGML)は、Q3決算で売上拡大と損失縮小を示したうえで、ブラジルの生産拡張計画とEVメーカーとの協業可能性が解説されたレポートが出ており、供給拡大と需要取り込みの両面を評価したリチウム再評価の象徴的な動き。ス
タンダード・リチウム(SLI)は、目標株価7.5ドルなど強気なアナリストレポートと「Buy」コンセンサスがあらためて整理される記事が同日に出ており、リチウム開発銘柄としての中長期ストーリーを再確認する動きが株価上昇に波及した形。
セントラス・エナジー(LEU)とオクロ(OKLO)は、個別に新しい好材料は見当たらないものの、核燃料・SMR関連の特集記事や高い目標株価レンジが繰り返し紹介されており、原子力セクター全体のモメンタムとテクニカルな買い戻しが主因の様子。
エグザクト・サイエンシズ(EXAS)は、アボットが買収を検討しているとのBloomberg報道を複数メディアが伝え、終値ベースで20%超の急騰となった典型的なM&Aテーマ株。買収プレミアムを意識した裁定的な資金も入り、出来高急増とテクニカルなブレイクアウトが重なった形。
トランスメディクス・グループ(TMDX)は、直前のQ3決算でEPSが予想0.36ドルに対し0.66ドルと大きく上振れたうえ、11月18日にCEOが約100万ドル相当の株式を買い増したことが報じられており、経営陣の自信と高成長ストーリーを市場が再確認した上昇の様子。
ネビウス・グループ(NBIS)は、Citizens JMPによる新規「アウトパフォーム」開始とBWS Financialなど複数社の強気レーティング再確認が同日に報じられ、AIクラウド「Nebius AI」とTolokaを軸にした生成AIインフラ成長シナリオが強く意識されたセクター内ローテーション。
一方、バタフライ・ネットワーク(BFLY)とルーメンタム(LITE)については、直近四半期決算や欧州セキュリティ認証取得などの中期的な材料はあるものの、この日に直接結び付けられる新規ニュースは確認できず、短期資金による小型ヘルスケア・光通信株への物色要因が中心の可能性。
一方下落銘柄では、エバーソース・エナジー(ES)は水事業売却の規制拒否という明確な逆風を受けた公益株の逆回転。パウエル・インダストリーズ(POWL)は決算そのものは悪くないものの、受注減少という将来の成長フローに対する投資家の疑念が売りに転じた典型。プラグ・パワー(PLUG)は水素燃料という将来期待が高かったが、資金調達による希薄化と収益化遅延懸念が先に株価に跳ね返った様子。
市場インサイト
【分析日】2025/11/19
全体ムード
NVIDIA決算前のポジション軽量化と議事要旨消化の交錯。生成AI関連のガイダンス不確実性を意識しつつ、米金利は小幅上昇圏、ドル高・円安進行。欧州はエネルギー在庫増観測と需要減速懸念の重石。日本は円安進行にもかかわらず、景気減速観測と外部イベント待ちの様子見。原油は在庫増で続落基調、金は安全資産需要で小幅高。暗号資産はボラ拡大下の続落基調。
エクイティ
| 指数 | 終値 | 前日比 | 背景 |
|---|---|---|---|
| ダウ | 46,138.77 | +47.03 (+0.10%) | 大型イベント前の買い戻しとディフェンシブ選好 |
| S&P500 | 6,642.16 | +24.84 (+0.38%) | メガテックの持ち直しと金利安定の安心感 |
| ナスダック | 22,564.23 | +131.38 (+0.59%) | 半導体・AI関連の思惑買いとショートカバー |
| 日経225 | 48,537.70 | -165.28 (-0.34%) | 外部イベント待ちと景気減速懸念の上値抑制 |
| STOXX600 | 561.71 | -0.15 (-0.03%) | 成長鈍化観測と資源・高級消費の重し |
債券
| 国 | 10年利回り | 前日比(bp) | コメント |
|---|---|---|---|
| 米国 | 4.14 % | +2 | 議事要旨通過後の小幅ベア寄りのセンチメント |
| ドイツ | 2.72 % | +1 | 米金利連動と景気指標待ちの小動き |
| 日本 | 1.77 % | +3 | 財政拡張思惑とグローバル金利の波及 |
為替
- USD/JPY 157.08(+1.00%):金利差意識とイベント前のドル需要。
- EUR/USD 1.1539(-0.36%):成長不安とドル高観測の綱引き。
- USD/CNY 7.1116(+0.05%):当局のレンジ管理下の小幅ドル高。
コモディティ
| 品目 | 終値 | 前日比 | ドライバー |
|---|---|---|---|
| WTI原油 | $59.42/bbl | -2.06% | 米在庫増と需要減速観測 |
| Brent原油 | $63.66/bbl | -1.90% | 同上とリスク資産調整 |
| 天然ガス | $4.55/MMBtu | +4.10% | 気温見通しと需給タイト化観測 |
| 金(現物) | $4,083.40/oz | +0.16% | リスク回避の受け皿と実質金利横ばい |
| 銀 | $52.32/oz | +2.85% | 金連動と投機需要の戻り |
| 銅 | $5.02/lb | +1.35% | 供給制約観測と在庫低下の思惑 |
クリプト
- ビットコイン $91,431.00(-1.90%):イベント前のリスク縮小と流動性低下。
- イーサリアム $2,983.01(-4.50%):アルト優先の手仕舞いとガス代動向の警戒。
マクロイベント焦点(今後3–4営業日)
- 2025/11/20(木)NVIDIA決算:データセンター需要と在庫計画の示唆。
- 2025/11/21(金)米EIA原油在庫:在庫積み増しの持続性と製品マージン。
- 2025/11/21(金)ユーロ圏・英国PMI速報:サービス減速の深さと価格指数。
- 2025/11/25(火)米耐久財受注:設備投資サイクルの減速度合い。
インサイトまとめ
- AI関連はガイダンス確認まで中立〜軽めが無難。決算内容次第で分散の再構築が良さげ。
- 米金利は4.0–4.3%の往来想定。ディフェンシブ・高配当の厚み維持が妥当。
- 原油は戻り売り優位の継続。在庫動向とOPEC+ヘッドラインの逆張り短期回転が良さげ。
- 金は段階的な押し目拾い、銀は値幅取り中心。過熱局面は利食い優先が無難。
- ドル円は157台の滞留警戒。イベント跨ぎのオプションヘッジ厚めが良さげ。


