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- はじめに
- セントラス・エナジー(LEU)とは何の会社、どのような事業をしている?
- セントラス・エナジー(LEU)の主力サービスは?
- HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)とは?LEUとの違いをわかりやすくすると?
- セントラス・エナジー(LEU)のビジネスモデルは?
- セントラス・エナジーの政府との関係と補助金・契約実績は?
- 取引市場は?
- セントラス・エナジー(LEU)のセクター、業種、属するテーマは?
- 配当は?
- セントラス・エナジー(LEU)の競合企業は?
- セントラス・エナジー(LEU)が属する業界の規模と成長性は?
- セントラス・エナジー(LEU)の競合との差別化要素と優位性は?
- セントラス・エナジー(LEU)の業績について
- セントラス・エナジー(LEU)の株価
- セントラス・エナジー(LEU)の将来性と今後の株価見通しは?
- セントラス・エナジー(LEU)の2025年Q1決算サマリー
- セントラス・エナジー(LEU)の株を買える証券会社は?
- まとめ
はじめに
セントラス・エナジー(LEU)は、アメリカを拠点に原子力発電向けのウラン燃料供給を手がける企業です。
特に次世代型小型モジュール炉(SMR)向けの高濃度低濃縮ウラン(HALEU)の生産で注目を集めており、米国エネルギー省(DOE)との連携や、国家エネルギー戦略の一端を担う役割も期待されています。
この企業が話題となっている背景には、小型でニッチな分野ながら、SMR技術の普及や地政学的要因によって今後大きな成長が期待されるポジションにあります。
本記事では、セントラス・エナジー(LEU)の事業内容、ビジネスモデル、属する市場の成長性、競合優位性、株価の動向、そして将来性までを深く掘り下げます。
米国の原子力関連銘柄に興味をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
セントラス・エナジー(LEU)とは何の会社、どのような事業をしている?
セントラス・エナジー(LEU)は、アメリカの原子力燃料供給企業であり、特に商業用原子炉や次世代小型モジュール炉(SMR)向けの濃縮ウラン製造と供給を主軸とする。
前身はアメリカ合衆国エネルギー省(DOE)の民営化プロジェクトとして1990年代に設立された「United States Enrichment Corporation(USEC)」であり、のちにセントラス・エナジーとして独立・上場した経緯を持つ。
同社の企業ミッションは、米国内外のエネルギー需要に安全かつ信頼性のある核燃料を供給することであり、特に米国のエネルギー安全保障政策と連携する形でその役割を強化している。
主な顧客は、商業用原子力発電所を運営する電力会社や、政府関連機関、次世代原子炉の開発企業である。
注目すべきは、セントラス・エナジーが現在米国で唯一HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)を民間生産できる体制を整えている企業である点である。
HALEUは、従来のLEU(低濃縮ウラン)よりも濃度が高く、小型原子炉や先進型原子炉の運用に不可欠とされる燃料であり、今後の原子力産業の鍵を握る技術とされている。
さらに、セントラスはDOEとの提携を通じて、HALEUの試験的生産プロジェクトを進めるなど、国家的エネルギー戦略の一環としての役割も担っている。これは単なる民間企業としてのビジネスを超えた、政策的・安全保障的な意義も含んでいる。
セントラス・エナジー(LEU)の企業情報は以下。
- 会社名:Centrus Energy Corp.
- 設立年:1992年(前身USECとして)/2014年に現社名へ
- 本社所在地:メリーランド州 ベセスダ
- 代表者:Daniel B. Poneman(元米エネルギー副長官)
- 公式サイト:https://www.centrusenergy.com
- 主な事業内容:LEU・HALEUの濃縮・供給、核燃料技術提供、政府機関向けエンジニアリング支援
セントラス・エナジー(LEU)の主力サービスは?
セントラス・エナジー(LEU)の主力サービスは以下の通り。
同社は原子力発電の中でも特に燃料供給の分野において、高度な専門技術と国家的な役割を担っている。
低濃縮ウラン(LEU)の供給
商業用原子炉向け燃料供給
セントラスは、米国および海外の商業用原子力発電所に対し、燃料として使用される低濃縮ウラン(LEU)を供給している。
- ウラン六フッ化物(UF₆)形式での供給
- 濃縮度:3~5%の範囲で調整
- 世界中の電力会社と長期契約ベースで取引
- ウラン濃縮サービスの受託も提供
高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の製造
小型モジュール炉(SMR)や先進型炉向けの次世代燃料
セントラス・エナジーは、米国で唯一、試験的かつ商用レベルのHALEU(High-Assay Low-Enriched Uranium)を生産可能な民間企業である。
- 濃縮度:最大20%までのウラン235を含有
- 次世代原子炉に不可欠な燃料仕様
- DOEとのHALEU Demonstration Programに参画
- 将来的な大規模量産体制を視野に入れたインフラ構築中
技術ソリューション・エンジニアリング支援
政府機関・研究機関・民間企業向けの核関連技術サービス
単なるウラン供給にとどまらず、核燃料サイクル全体における技術的支援やソリューション提供もセントラスの重要な事業である。
- ウラン濃縮施設の設計・建設・運用支援
- DOEや国防関連機関への技術提供
- 施設安全性向上、試験用燃料開発などの受託業務
- 退役炉の処理支援などの環境関連業務
これらの主力製品・サービス群は、単なるエネルギー企業としての枠を超え、次世代の原子力技術や国家安全保障と密接に関わる分野で優位性を持っている点が特。
HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)とは?LEUとの違いをわかりやすくすると?
HALEU(High-Assay Low-Enriched Uranium:高アッセイ低濃縮ウラン)とは、ウラン235の濃縮度が5%超〜20%未満の核燃料を指す。
これは、従来の原子力発電所で使われてきたLEU(低濃縮ウラン:濃縮度5%以下)と比較して、高いエネルギー密度と優れた反応性を持つのが特徴。
LEUとHALEUの違いを簡潔に比較
比較項目 | LEU(低濃縮ウラン) | HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン) |
---|---|---|
濃縮度(ウラン235) | ~5% | 5%超~20%未満 |
主な用途 | 従来型大型原子炉 | 小型モジュール炉(SMR)、先進炉 |
エネルギー密度 | 通常 | 高い(燃料交換頻度を減らせる) |
供給体制 | 既存の商業サプライチェーンが確立 | 供給企業が極めて限定的(LEUが先行) |
扱いの規制 | 国際基準で管理しやすい | 一部国では高リスク扱い、特別な安全規制あり |
なぜHALEUが重要なのか?
- 次世代原子炉(SMRや高速炉)に不可欠:これらは高効率・小型化・モジュール化を目指しており、より濃縮度の高い燃料での運用が前提条件。
- 燃料交換の回数が減る:高濃縮により長期間燃料交換なしで稼働できるため、メンテナンスコストと放射性廃棄物を大幅に削減できる。
- ウラン資源の使用効率が向上:同じ量のウランから得られるエネルギーが大きくなり、より持続可能な原子力利用が可能となる。
- 米国や欧州がロシア製燃料からの脱却を目指している中で、HALEUを国内で製造・供給できる体制の確立は、国家的な優先課題になっている。
なぜ今、HALEUなのか?
現在世界では、ウラン濃縮の大部分をロシアが担っており、HALEUも実質的にロシア依存が続いている。
米国や西側諸国がこの依存を断ち切るため、国内供給網の構築が急務となっており、セントラス・エナジー(LEU)のような企業が政策的にも支援されている。
HALEUは、従来のLEUと比較してエネルギー効率と将来性の面で大きな利点を持ち、次世代原子力の鍵を握る新型燃料となっている。
供給可能な企業がほとんど存在しない中で、セントラス・エナジーはこの分野で世界に先駆ける重要な存在となっている。
セントラス・エナジー(LEU)のビジネスモデルは?
セントラス・エナジー(LEU)のビジネスモデルは、主に濃縮ウランの供給、次世代燃料であるHALEUの開発・提供、そして政府機関向けの技術サービス提供の3本柱で構成されている。
各事業は異なる顧客層と契約形態を持ち、同社の収益基盤を多様化させている。
LEU供給による収益
セントラスは、商業用原子炉向けに使用される低濃縮ウラン(LEU)を長期契約で供給しており、ここから安定的な収益を確保している。
- 主な顧客は北米、欧州、アジアの原子力発電事業者
- 多くが複数年契約で価格が事前に決定される
- 契約には燃料納入スケジュールが組み込まれており、キャッシュフローが予測しやすい
- 一部スポット市場での販売も行うが、全体の収益に占める比率は小さい
HALEU生産による収益
HALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)は、現時点では本格的な商業生産段階には至っていないが、米エネルギー省(DOE)との契約を通じて実証フェーズでの収益を得ている。
- HALEU Demonstration ProgramにおいてDOEから数千万ドル規模の資金を受領
- 今後SMRや先進炉開発企業との供給契約が本格化すれば、新たな成長エンジンとなる
- 民間との初期契約も進行中で、政府主導から民間主導へ移行が期待される
技術ソリューション事業
同社はDOEや国防総省向けに、核燃料技術、施設運用支援、試験開発などの技術的サービスを提供しており、これも堅実な収益源の一つである。
- エンジニアリング設計、環境安全性評価、燃料開発プロジェクトなど
- 取引形態はプロジェクト単位または年次契約
- 顧客の多くは連邦政府やその関連機関であり、信用リスクは極めて低い
セントラス・エナジーのビジネスモデルは、従来型の原子力需要に基づく安定収益(LEU)と、革新的エネルギーソリューションを提供する成長収益(HALEU、技術支援)を組み合わせることで、変化する市場環境に対応可能な構造となっている。
また、同社の特異性として、国家的プロジェクトとの連動性が高いことが、競合との差別化要因としても機能している。
セントラス・エナジーの政府との関係と補助金・契約実績は?
セントラス・エナジー(LEU)は、米国エネルギー省(DOE)との極めて強い関係性を持ち、原子力燃料供給の面で国家戦略の中核を担う存在となっている。
特にHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)に関しては、同社が米国政府によって選定された唯一の民間商業サプライヤーであり、複数の政府契約と資金支援を受けている。
DOEとの主要契約・プロジェクト
HALEU Demonstration Program(実証プロジェクト)
- セントラスはDOEと契約を結び、オハイオ州ピケトンにおいてHALEUの実証生産設備を設置・稼働。
- このプログラムにはDOEから1億1,500万ドル超の補助金が投入され、セントラスはこれに応じて段階的な生産体制を整備。
- 2023年末には、民間企業として初めて商用レベルのHALEUの製造に成功し、DOEからの追加支援を受ける正当性を証明。
次期調達プロジェクト(Commercial HALEU Procurement)
- DOEは2030年までに商業規模でのHALEU供給体制構築を目指しており、2024年から数年にわたりセントラスを含む企業に対し長期供給契約を発注予定。
- セントラスは初期生産実績を持つ唯一の候補として、今後の主要契約獲得がほぼ確実視されている。
政策面での優遇と位置づけ
- セントラスは米国議会によっても「重要鉱物・戦略的燃料サプライチェーンの一部」として法的に定義されており、補助金・税控除・優先調達の対象となる。
- バイデン政権下で発表された「米国製HALEU推進方針」の中でも、セントラスは実名で言及されている数少ない民間企業のひとつ。
- 米国エネルギー省(DOE)や国家核安全保障局(NNSA)といった連邦機関のほか、一部州政府からの政策的支援も存在。
意義と将来性
- セントラスが進めるHALEU供給体制の確立は、単なる企業活動にとどまらず、ロシア依存からの脱却を含むエネルギー安全保障上の国家目標に直結している。
- 政府との連携により、民間市場に先駆けたパイプライン整備と長期契約獲得のアドバンテージを享受しており、競合と比べて圧倒的に有利なスタートラインに立っている。
このように、セントラス・エナジーは政府の意向と強く結びついた国策銘柄であり、将来にわたり安定かつ拡大が見込まれる官民プロジェクトの中核企業として位置づけられている。
取引市場は?
セントラス・エナジー(LEU)は、NYSE American(ニューヨーク証券取引所アメリカン)に上場しており、ティッカーシンボルは「LEU」。
NYSE Americanは、中小型成長株の上場先として知られ、革新的な技術や特殊なニッチ市場で展開する企業が多く属する市場である。
LEUのように次世代エネルギーや国策と連動するビジネスを展開する企業にとって、資金調達や投資家との接点を広げるうえで適した取引所といえる。
セントラス・エナジー(LEU)のセクター、業種、属するテーマは?
セントラス・エナジー(LEU)は、その事業内容と市場位置づけから、以下のセクター・業種・投資テーマに分類される。
セクター:エネルギー
セントラス・エナジーは、原子力燃料を提供する企業であり、広義のエネルギーセクターに属する。石油や天然ガスと並び、原子力も重要な一次エネルギー源であり、特に米国や欧州ではクリーンエネルギー移行の一環として再評価されている。
- 電力インフラを支える基幹エネルギーセクターの一翼
- 天候や供給不安の影響を受けにくい安定電源向け燃料を提供
業種:原子力燃料供給・濃縮サービス
LEUは、エネルギーセクターの中でも「原子力燃料の製造・供給」という極めて専門性の高い業種に属する。
- LEU(低濃縮ウラン)とHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)の加工・供給
- ウラン燃料の設計・技術支援など、核燃料サイクルの一部を担う
- 国家機関との契約を通じた戦略的業務も含む
属するテーマ:クリーンエネルギー/次世代原子炉/エネルギー安全保障
セントラス・エナジーの投資対象としての魅力は、成長テーマとの親和性の高さにある。
- クリーンエネルギー:CO₂を排出しない電源として、原子力は再評価されており、ウラン供給企業もESG投資対象として注目される
- 次世代原子炉(SMR):小型モジュール炉に不可欠なHALEUの供給能力は、将来的な市場独占の可能性を秘めている
- エネルギー安全保障:ロシア依存からの脱却という地政学的課題の中で、米国内HALEU供給能力は戦略的に重要
このように、セントラス・エナジーは複数の成長テーマと重なり合うことで、投資対象としての注目度を高めている。
特にSMRやエネルギー安全保障といった長期的視野を持ったテーマとの親和性が高い点が特徴である。
配当は?
セントラス・エナジー(LEU)は現在、配当を実施していない。
その理由は明確で、同社は成長戦略を最優先とし、収益の大部分を再投資に充てているため。とりわけ、今後の原子力市場の鍵を握るHALEU(高アッセイ低濃縮ウラン)の商業生産体制確立や、DOE(米エネルギー省)との国家的プロジェクトへの参画など、大規模な設備投資や研究開発支出が続いている。
セントラス・エナジー(LEU)の競合企業は?
セントラス・エナジー(LEU)が属する原子力燃料市場は、極めて専門性が高く、参入障壁も非常に高いため、競合企業の数は限られている。
ただし、ウラン供給、濃縮、燃料加工といった各工程において、一定の競争が存在している。
主な競合企業
- カメコ(CCJ):カナダを拠点とする世界最大級のウラン採掘企業。セントラスと異なり採掘を主軸とするが、ウラン供給チェーンにおいては間接的な競合。
- オラノ(非公開):フランスの国営企業。ウラン濃縮から燃料加工までを垂直統合で行う欧州最大級の原子力企業。民間市場でのHALEU供給に関心を示している。
- テネックス(非公開):ロシア国営のウラン濃縮企業。現在世界シェアが大きいが、地政学リスクから西側諸国では依存脱却が進む中でLEUにとっては事実上の構造的ライバル。
- グローバル・レーザー・エンリッチメント(非公開):レーザーによる次世代ウラン濃縮技術を開発している企業。まだ商業段階には至っていないが、技術競争の文脈では注目される存在。
- ウエスティングハウス(非公開):原子炉製造で知られる企業だが、一部燃料供給も手がけており、将来的にHALEU市場での関与が見込まれる。
セントラス・エナジーのポジション
現時点で米国において民間企業としてHALEUの供給能力を持つのはセントラスのみであり、DOEとの実証プロジェクトでもリード役を果たしている。そのため、量的な競合は存在しても、質的には先行優位なポジションにある。
ただし、将来的にSMR市場が拡大する中で、国際的な競合や代替燃料技術を持つ企業の台頭が見込まれるため、同社の優位性を維持するには、技術革新と政策的支援が引き続き重要となる。
セントラス・エナジー(LEU)が属する業界の規模と成長性は?
セントラス・エナジー(LEU)が属する核燃料供給業界は、従来の原子力発電需要に加え、次世代型原子炉(SMR)向けの新たな燃料需要によって、今後大きな成長が見込まれている。
原子力燃料市場の規模と成長性
- 世界の核燃料市場は、2023年時点で約500億ドル規模と推計されており、主にLEUの供給が中心である。
- 市場は保守的ながらも安定しており、老朽化炉の更新、新規建設、ライフタイム延長によって、年平均成長率(CAGR)は2〜3%程度とされている。
- 特にアジア(中国・インド)では原子炉の新設が続き、燃料需要の地域的拡大が起きている。
HALEU市場とSMR市場の成長性
- 高濃度低濃縮ウラン(HALEU)は、従来のLEUでは対応できない次世代原子炉(SMRや先進炉)専用燃料として脚光を浴びている。
- 米国エネルギー省(DOE)の予測では、2030年までに年間40トン以上のHALEU需要が生まれるとされており、2024年時点の供給体制は圧倒的に不足している。
- SMR市場自体は、2030年代半ばに数百基規模での導入が想定されており、2035年には1,000億ドル超の潜在市場になるとの試算もある。
成長ドライバー
- 脱炭素政策の加速:原子力がCO₂を排出しない基幹電源として再評価
- エネルギー安全保障:ロシア依存からの脱却が急務(特にウラン濃縮)
- 技術革新の進展:SMRの小型化・安全性向上による普及加速
- 政策支援:米国やEUによる補助金、税制優遇措置の拡大
特にHALEU市場はまだ黎明期にあるものの、セントラス・エナジーはその中で実用化に最も近いポジションを築いており、今後の業界成長の中心プレイヤーとなる可能性が高い。
セントラス・エナジー(LEU)の競合との差別化要素と優位性は?
セントラス・エナジー(LEU)は、原子力燃料市場において競合企業が限られる中で、技術、顧客基盤、政策連携の面で際立った差別化要素を有している。以下に主な優位性を分類して解説する。
技術的差別化:HALEUの商用生産体制
- セントラスは米国における唯一の民間HALEU供給体制を有する企業である。
- ピケトン(オハイオ州)の実証施設にて、DOEと連携しながらHALEUの商用生産能力を構築済。
- 他社がまだ研究開発段階にある中で、すでに物理的な製造インフラを稼働させている点で技術導入のスピードと信頼性において一歩先んじている。
顧客と契約実績の差別化
- 商業原子炉向けのLEU供給については、北米・欧州・アジアの大手電力企業と複数年契約を締結済み。
- 政府機関向けには、DOE、国防総省(DOD)、国家核安全保障局(NNSA)といった機関に対し、エンジニアリング支援や燃料供給を実施している。
- 民間と政府の双方に信頼される供給実績を持つ企業は稀であり、LEUはその数少ない一社である。
政策連携と国策的な優位性
- セントラスはDOEからの資金供給、技術支援、政策的サポートを受けながら事業を推進しており、国家プロジェクトの一翼としてHALEUインフラ整備を担うポジションにある。
- ロシアのテネックス社に対する依存脱却を目指す米国政策において、セントラスは戦略的に不可欠な役割を担っており、今後も政府とのパートナーシップによる安定成長が期待される。
製品・サービスの専門性と独自性
- 他の大手競合がウラン採掘や原子炉建設にフォーカスしている中、セントラスは燃料供給に特化し、かつ最先端の燃料仕様(HALEU)に集中している。
- 技術支援・試験開発・施設運用までを包括的に担える体制を持つ点で、単なる「ウラン供給業者」ではなく、核燃料エコシステム全体を支える高付加価値型企業である。
これらの要素により、セントラス・エナジーは現在、民間HALEU市場の形成においてほぼ独占的な立ち位置にあり、今後の市場拡大とともに持続的な競争優位を築く可能性が高い。
セントラス・エナジー(LEU)の業績について
セントラス・エナジー(LEU)の会計年度は12月末決算となっている。
すなわち、毎年1月1日から12月31日までが1会計年度となる。
- 第1四半期(Q1):4月上旬〜中旬
- 第2四半期(Q2):8月上旬
- 第3四半期(Q3):11月上旬〜中旬
- 第4四半期(Q4)および通期決算:翌年3月初旬〜中旬
業績開示は一般的に翌四半期の中旬〜下旬に行われる。
セントラス・エナジー(LEU)の株価
セントラス・エナジー(LEU)の現在のリアルタイム株価チャート(TradingView)を表示しています。
チャートには、RSI(Relative Strength Index)を表示しています。相場の過熱感の指標として参考。
※RSIが70%~80%を超えると買われ過ぎ、反対に20%~30%を割り込むと売られ過ぎの目安。
セントラス・エナジー(LEU)の将来性と今後の株価見通しは?
セントラス・エナジー(LEU)の将来性は、現在の核燃料市場における独自ポジションに加え、国家戦略・エネルギー転換・技術革新という3つの主要トレンドと強く結びついている点で、極めて高いと評価される。
将来展望:エネルギー政策とSMR普及の波に乗る
- 米国政府はエネルギー安全保障の観点から、ロシア産ウランへの依存を段階的に縮小する政策を進めており、国産HALEU供給の中核としてLEUが選ばれていること自体が将来性の裏付けである。
- 次世代原子炉(SMR)は、今後10〜20年で本格的に市場導入される見通しであり、これらに必須となるHALEU燃料の民間供給体制をいち早く構築した同社は、ほぼ独占的な初期市場を獲得する可能性が高い。
- 欧州やアジアでもSMR導入計画が進行しており、将来的には国際展開も視野に入る。
業績:収益構造の変化が成長フェーズを加速
- これまでの主力であったLEU(低濃縮ウラン)供給は、比較的安定した収益源でありながら成長性は限定的だったが、今後はHALEU関連契約が本格化することで高成長領域にシフトする。
- DOEからの補助金収入やプロトタイプ製造による収益が、2024年以降の決算に反映され始めており、初期段階ながら事業転換が実現しつつある。
契約/パイプライン:政策主導の安定した案件群
- 米エネルギー省(DOE)とは、既に数千ドル〜数千万ドル規模の複数契約を締結済み。今後も追加契約や量産段階での発注が見込まれる。
- 民間SMR開発企業(例:TerraPower、X-energyなど)との共同検討や供給に向けた協議も進行中とされており、政策と民間市場の両方から将来案件が流入する体制が整っている。
- 製造能力の段階的な増強計画があり、需要拡大に応じたスケーラビリティを確保している点も強み。
これらの要素を総合すると、セントラス・エナジーは「米国のエネルギー安全保障の鍵を握る数少ない企業」として、長期的に市場で重要な役割を担う存在になりうる。
株価の短期的なボラティリティはあるものの、成長性と政策連動性を兼ね備えたユニークな投資先といえる。
セントラス・エナジー(LEU)の2025年Q1決算サマリー
発表日:25/05/08
売上高と収益
- 四半期売上高: 7,310万ドル(前年比+67%)
- LEU(低濃縮ウラン)部門:5,130万ドル(+117%)
- 技術ソリューション部門:2,180万ドル(+8%)
- GAAP純利益: 2,720万ドル(前年同期:▲610万ドル)
- GAAP EPS(1株あたり純利益): 1.60ドル(前年同期:▲0.38ドル)
- 粗利益: 3,290万ドル(前年同期:430万ドル)
営業費用と利益
- 営業利益: 2,050万ドル(前年同期:▲1,060万ドル)
- コストの動き:
- LEU部門の売上原価は2,010万ドル(前年:2,310万ドル)と減少
- 技術ソリューション部門のコストは2,010万ドル(前年:1,630万ドル)と増加(HALEU契約コストの増加による)
- 債務償却による利益: 1,180万ドル(8.25%社債を償還したことによる)
契約と受注(Bookings)
- 受注残高: 38億ドル(2040年まで)
- LEU部門:28億ドル(うち17億ドルが確定契約、4億ドルが合意待ち)
- 技術ソリューション部門:約9億ドル
- 新規契約ハイライト:
- DOE(米エネルギー省)から複数のHALEU・LEU生産・転換契約を獲得(総額34億ドル分の政府資金に裏付け)
キャッシュと財務状況
- 現金・現金同等物(3月末): 6億5,300万ドル
- フリーキャッシュフロー: 3,650万ドル(前年同期:530万ドル)
- 社債償還: 8.25%社債(7,430万ドル)を償還完了し、高金利負債の削減達成
- 株式発行による資金調達: 2,520万ドル
技術・事業ハイライト
- HALEU(高濃縮低濃縮ウラン)生産:
- ピケトン工場でDOE向けにHALEUの生産を継続、累計670kgを納入済み
- 装置・設備提供の遅延で契約期間は2025年6月末まで延長
- 米国唯一の民間ウラン濃縮技術:
- 完全国内技術・供給網を保有する唯一の企業として、国家安全保障上の立ち位置を強調
- 政策支援:
- IRA(インフレ抑制法)に基づく7億ドルを含む、合計34億ドルの予算枠に期待
2025年ガイダンス(将来見通し)
- 政府資金のレビュー(EO 14154): IRA関連の資金支出が一時停止中。レビュー結果により今後の資金流入・契約進捗に影響の可能性あり
- 生産拡大余地: 政府のタスクオーダーや民間資金の獲得次第で、LEU/HALEUの本格商業生産への展開を模索
セントラス・エナジーは、米国政府によるエネルギー安全保障強化の流れの中で、唯一の国産濃縮技術を持つ企業としてのポジションを活かし、大幅な売上・利益の成長を実現。
債務圧縮と強固なキャッシュポジションにより、今後の大規模生産拡大への備えも整っている。
政策資金の動向がカギとなるが、長期的には米国内核燃料供給の中核を担う存在として期待される。
セントラス・エナジー(LEU)の株を買える証券会社は?
セントラス・エナジー(LEU)の株を取り扱っている主要な証券会社をリストアップしました。これらの証券会社では、外国株として直接の株取引のほか、CFD(差金決済取引)としての投資も選択できます。
私自身はSBI証券を主に使用していますが、取り扱い銘柄によっては購入できない場合があります。その際は、サクソバンク証券やIG証券などでCFDを利用することもあります。
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まとめ
セントラス・エナジー(LEU)の事業内容、ビジネスモデル、競合環境、成長市場、株価の特徴、そして将来性について幅広く見てきました。
特に、SMR市場の立ち上がりとともに、HALEUの需要が飛躍的に拡大する中で、セントラスが果たす役割は今後ますます大きくなると考えられます。
現時点では、規模も小さな企業ではありますが、国策との高い連動性と技術的先行優位性を兼ね備えた稀少な成長株であり、中長期視点での投資対象としての魅力は十分にあると言えるでしょう。
個人的にも、原子力関連銘柄の中でもセントラス・エナジーは特に「成長×政策」の両軸を兼ね備えた銘柄として、今後の動向に注目していきたいと考えています。
原子力の再評価が進む中、LEUはその中心となる存在かもしれません。
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