このマクロ市場分析は、私(@mifsee)が米国市場への投資判断に際し、日々のマクロ環境を俯瞰的に捉えるための個人的な学習記録としてアウトプットしているものです。内容には誤りや実際の状況と異なる点を含む可能性があります。あらかじめご了承のうえ、ご覧ください。
注目の上昇銘柄(ウォッチリストから)
上昇銘柄ウォッチリスト(2025/10/22 終値ベース)
名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
---|---|---|---|---|
VICR(バイコー) | 85.76 | +30.33% | 電源モジュール・パワー半導体 | Q3売上$110M・EPS$0.63で予想大幅超過 |
IBIO(アイバイオ) | 1.39 | +25.23% | 抗体創薬・AI創薬基盤 | 通期決算ヘッドラインと役員ストックオプション開示の思惑 |
BIOA(バイオエイジ・ラボ) | 6.05 | +14.15% | 肥満治療創薬 | Citiが「買い」へ格上げ・目標$10へ引き上げ |
ISRG(イントゥイティブ・サージカル) | 527.03 | +13.89% | 手術支援ロボット | Q3売上$2.51B・EPS$2.40で大幅ビート・通期見通し上方修正 |
UUUU(エナジー・フューエルズ) | 22.74 | +10.23% | ウラン・レアアース | HCWが目標$27.5へ引き上げ報道 |
FLUX(フラックス・パワー) | 6.66 | +7.59% | 産業用Liイオン電池(GSE/物流) | Nasdaq上場維持要件の適合回復を材料視 |
APH(アンフェノール) | 128.93 | +3.61% | コネクタ・インタコネクト | Q3過去最高・配当52%増配発表 |
下落銘柄
名柄 | 終値 | 変動率 | テーマ | インサイト |
---|---|---|---|---|
LEU(セントラス・エナジー) | 314.83 | -16.49% | 濃縮ウラン・原子力燃料 | 2032年満期の転換社債$650M発行による希薄化懸念継続・高騰後の利確加速 |
QBTS(ディーウェーブ・クアンタム) | 27.29 | -15.22% | 量子計算 | ワラント償還・希薄化報道を嫌気 |
OKLO(オクロ) | 120.12 | -13.86% | 小型原子炉(SMR) | 高バリュエーション警戒と収益化遠期観測 |
SES(エスイーエスAI) | 2.48 | -12.68% | 次世代リチウム金属電池 | 赤字継続・売上未達報道による戻り売り |
QS(クアンタムスケープ) | 13.58 | -12.50% | 全固体電池 | 決算発表前の警戒と利確 |
BITF(ビットファームズ) | 3.94 | -12.25% | ビットコイン採掘 | BTC下落と転換社債発行後の需給悪化 |
個人的所感
決算ビートとレーティング要因が素直に株価へ反映。
医療機器ではイントゥイティブ・サージカル(ISRG)が、Q3で売上・EPSともに市場予想を上回り、
新型da Vinci 5の普及という明快なヘッドラインが買いの中心。
テック寄り製造業ではバイコー(VICR)が電源モジュールの好決算を受けて急伸。AIサーバー周辺の実需の強さを改めて印象づける。
産業サプライのアンフェノール(APH)も過去最高の四半期業績と増配が評価され、ディフェンシブセクターへの資金流入が確認された。
中小型株では、フラックス・パワー(FLUX)のNasdaq適合回復が再評価のきっかけとなり、思惑資金の流入が入りやすい地合いを形成。
資源サイドのエナジー・フューエルズ(UUUU)は目標株価引き上げを支えに、レアアース/ウランテーマへの関心をつなぎ直した。
バイオ関連では、バイオエイジ(BIOA)がCitiの「買い」格上げで素直に反応。
iBio(IBIO)は通期決算ヘッドラインと役員オプション開示が短期物色を誘発。
一方で、セントラス・エナジー(LEU)は、夏に実施した転換社債発行という明確なオーバーハング要因が、直近の大幅高を受けた利確の引き金となり下落。
オクロ(OKLO)は、高バリュエーションへの警戒感が強まり、収益化までの距離の長さが意識。
電池関連では、SESとクアンタムスケープ(QS)がいずれも業績面の弱さや決算前の不安を背景に売られ、テーマ株の脆さを露呈。
暗号資産関連のビットファームズ(BITF)も、BTC続落に加え、転換社債発行後の需給悪化が重しとなり、値動きの荒さが際立った。
市場インサイト
【分析日】2025/10/22
全体ムード
米主要決算の強弱錯綜と米中通商リスク再燃が併走。
既存住宅販売の弱さ観測と米10年金利4%攻防が続き、金利・為替の癖が強まる展開。
金は急落後の下げ止まりを模索し、原油は需給緩みが続くことで、資源関連は手控えムード。
米国株市場は、好決算銘柄への個別物色と金融・素材の重さが綱引き。
欧州市場は、景況感の持ち直しが支えとなる一方、エネルギー・化学セクターの上値の重さが意識された。
東京市場は、高値圏での利食い優先と円の戻り一服による様子見色の一日。
総じて、決算の分岐と通商不確実性が交錯、方向感に乏しいながらも選別意識が強まる地合いの様相。
エクイティ
指数 | 終値 | 前日比 | 背景 |
---|---|---|---|
ダウ | 46,590.41 | −334.33 (−0.71%) | 決算消化と通商不安で景気敏感に売り |
S&P500 | 6,699.40 | −35.95 (−0.53%) | ディフェンシブ回帰と大型グロースの選別 |
ナスダック | 22,884.81 | −68.86 (−0.30%) | 半導体・ソフトはまちまち、金利膠着で方向感限定 |
日経225 | 49,252.03 | −64.03 (−0.13%) | 高値圏の利益確定と円の戻り一服 |
STOXX600 | 566.10 | −2.10 (−0.37%) | 素材・エネルギーの重さと決算選別の拮抗 |
債券
国 | 10年利回り | 前日比(bp) | コメント |
---|---|---|---|
米国 | 4.06 % | +3 | 4%攻防のレンジ上振れ |
ドイツ | 2.59 % | +1 | 景況感改善のヘッジと供給要因の小幅上振れ |
日本 | 1.64 % | +1 | 株高一服下の金利正常化観測 |
為替
- USD/JPY 151.52(+0.11%):米金利僅かな持ち直しと介入警戒の綱引き
- EUR/USD 1.1660(−0.21%):ドル高地合いと独景況改善織り込みの一服
- USD/CNY 7.1230(+0.01%):強め仲値運用下のレンジ推移
コモディティ
品目 | 終値 | 前日比 | ドライバー |
---|---|---|---|
WTI原油 | $57.05/bbl | −0.30% | 在庫増思惑と需要鈍化懸念 |
Brent原油 | $60.98/bbl | −0.55% | 需給緩み観測とマクロ不安 |
天然ガス | $2.97/MMBtu | +0.34% | 気温見通しとショートカバー |
金(現物) | $4,050.00/oz | −1.59% | 過熱修正後の持ち直し探りとドル高 |
銀 | $47.80/oz | −1.42% | 金連動と工業需給の不透明感 |
銅 | $4.9050/lb | −0.30% | 在庫低位も中国需要不確実の重石 |
クリプト
- ビットコイン $108,500.00(+0.28%):金利安定とテック地合いの支援
- イーサリアム $3,980.00(+0.13%):イベント待ちの相対安定とアルト循環鈍化
マクロイベント焦点(今後3–4営業日)
- 2025/10/23(木)グローバルPMI速報(米・欧・英):需要減速度合いと価格指数の転機
- 2025/10/24(金)日本・全国CPI:基調インフレの減速度と政策手掛かり
- 2025/10/28(火)米・消費者信頼感(Conference Board):家計マインドと雇用見通し
- 2025/10/30(木)米・Q3 GDP(速報):成長モメンタムと物価の同時点検
インサイトまとめ
- クリプト:BTCは105–110kレンジの値固め観察、ETHは軽量スタンス維持が良さげ
- 株式:クオリティ成長×ディフェンシブの比重維持が無難
- 債券:米10年は4%前後の往来継続観、デュレーション中立やや長めが妥当
- 為替:ドル高一服待ち、USD/JPYは150後半の押し目拾いが良さげ
- 原油:需給緩み優勢で戻り売りが妥当
- 貴金属:金は段階的な押し目買い、銀は短期回転が無難